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72 イルカの船 3

 


 大商会の屋敷の牢の鍵は会長が持っていた。


 そこから助け出された奴隷の首輪を嵌めた者達は大人五人子供八人だった。

 そして三人の子供は首輪は無く、この国で攫われた子で、運んできた荷馬車の帰りに乗せられてイルカの船に売られることになっていたが、騎士団が突入して来た為馬車に積み込む事が出来ずにそのまま牢に残されていたのだった。


 荷馬車に大商会の会長アードルフ・ビュシュケンスと白髭の魔導士ゲアトという男、荷馬車の御者、地下の牢から助け出された五人の大人と六人の子供を乗せ、残りの五人の子供は荷馬車がいっぱいで乗れないので騎士達と一人ずつ馬に乗せた。

 奴隷を運んだり売り買いする者等はグルグル巻きで床に転がされている。


 大商会の会長の屋敷の執事と使用人、商会の者達は馬車には乗れないので、騎士を五人残し、迎えの馬車が来るまでこの場で待機させた。


 自分は荷馬車の御者をする。そこにシュバルツを何とか乗せた。シュバルツのお腹の隙間に自分は座り込んだ、何とか座れてる形だ。

 この荷馬車はなかなか大きいがシュバルツの尻尾は車体から丸ごと飛び出している。

 飛び出た尻尾が馬車の車輪に巻き込まれないように私の膝の上に乗せ脚で挟んだ。ダークウルフの成体はそれ程大きい。


 ダークウルフの子のモーントとゴルトには馬車と騎士達の馬の後ろから少し離れて追って来るように言いきかせた。 

 シュバルツを乗せたせいで荷馬車の馬がビクビクしている。私の命令が無ければ危害は加えないのだが、馬には分かるまい。

 加えてもう二頭もダークウルフが近くにいると動けそうに無いから離れて貰った。



 城に戻ると先に出た三台の荷馬車とその取引関係者が捕まり奴隷と共に既に騎士団によって取り調べられているところだった。


 イルカの船にも騎士団が向かい既に船の中を調べている頃だという。船の周りにも船乗りが逃げられないように魔導士が行って結界を張っているそうだ。

 まだ暗い中海に飛び込んで逃げる者を見つけるのは大変だから先手を打っていた。


 この城では魔導士達と騎士団の連結も取れている。

 合同演習をし、演習場で料理も一緒に作り同じ釜の飯を食す仲になったのも元魔導士長のおかげだ。

 仲間で争い合っても無意味だと、それまで犬猿の仲だった魔導士達と騎士団の壁を崩して、協力して働けるように導いてくれたのだった。




 騎士団から連絡を受けたギルドはヴィルフリートに魔法で手紙を飛ばしていた。

 ヴィルフリートは直ぐにギルドに飛ぶとA級冒険者のライナー達と共にオットマー・フォン・グールブリュン子爵の屋敷へと向かった。

 子爵家はオットマーの代になってから外国との貿易で大分儲けているという噂があった。

 数年前に建てたこの屋敷はなかなか大きな屋敷だ、儲かっているのは一目で分かる。


 グールブリュン子爵の屋敷を交代で見張っていた戦ぐ風のジーモン・アンガーマンは屋敷に動きはないと報告した。だが、動きが無さすぎるのが不気味に感じる事も伝えた。

 この子爵は商人達と商売をしているのか、頻繁に商人達が出入りしているのだ。

 この屋敷の使用人達は皆通いで朝やってくる。夕飯の用意が済んでからなのか夕方日の暮れる時間には皆屋敷を出て帰って行く。屋敷の執事までもが通いで来ていた。日が沈んでからは屋敷には商人達が良く出入りしていた。


 ヴィルフリートは屋敷の中を探索した。人が二人か、ん?地下が有るのかそこにも人の気配がする六人程居るようだ。


 城からヴィルフリートに手紙が魔法で届いた。やはりグールブリュン子爵は奴隷の取り引きに関係していたようだ。家の中へ踏み込む許可が騎士団から降りた。


「騎士団からお許しが出た。踏み込むぞ。子爵達は一階の部屋に二人で居る。ジーモンは私と子爵達を捉える。

 ライナーは地下へ行って誰が居るのか確認してくれ。保護が必要なら保護を、騎士団も今こちらに向かっている。」


「了解」

「分かりました。」



 玄関の大きな扉を魔法で無理矢理開け中に入ると結界が張ってあった。結界を壊して人の気配のする方へ向かう。この部屋だな。

 ドアを開けると炎の球が飛んで来たので風魔法で避けると炎は天井にぶつかり穴を開けた。幸い燃えはしなかったが黒焦げだ。


 グールブリュン子爵が魔法を使ったのかと思ったが中に居たのは頬に傷のある男一人だった。

 また炎を投げようと言葉を唱えているが遅い。


 ジーモンが闇魔法で男の後ろの陰に移動して素早く男を取り押さえた。


「子爵はどこだ!どこに逃げた!」


「し、知らない、結界が壊されるとすぐに移転リボンを使って一人だけ逃げやがった。」


「どの場所に行くリボンかは聞いて無いのか!」


「聞いて無い、子爵は誰も信じていないから逃げ場所は教え無い。」


「今一歩だったのに。移転のリボンまで用意していたのか!」


 この屋敷の地下の牢には子供が六人閉じ込められていた。みなこの国の子供達で攫われて来たのだと言う。

 五歳から十歳位の幼い子供達だった。


 頬に傷のある男の話では、子供達は外国に貿易品と一緒に売る事になっていたという。

 大きな角の付いたイルカの船かと聞くと、今回はその船だと言う。


 他の船とも取り引きをしていたのか、城で全部吐いて貰おう。


 屋敷に着いた騎士団に話して、子爵家が交易のあった全ての船を調べると共に、傷の男ハンスの行っている事と合っているか検証するように伝えた。





読んで下さりありがとうございます。

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