表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/60

7 兎


 しかし、良い眺めだった、三百六十度の大パノラマ、近くの島も、お婆ちゃんの住んでる半島とその向かいの県も海の向こうに見えていた。ここにログハウスが有れば最高なのにな。等と考えながら山を降りている。


 あれ?十分は歩いたのに中程にあった太陽光パネルが見えない。考え事してて、見過ごしたかな?まあ、管理人さんが迷子にはならないって言ってたから、このまま進めばいいでしょ。


 山道を下って行くと、行きには気がつかなかったが、道が二股になっていた。多分このまま下に向かって行けば山を降りれる筈だが、横に伸びるこの分かれ道の先から、水の音がするのよね。川?水が湧いてるのかな?まだ迎えの時間には余裕があるから、ちょっとだけ寄り道しても平気そうだ。


 水の音のする方へと足を踏み入れた。なんだか、空気が変わった?澄んだような感じがする。そのまま進むと五分もしないうちに水が流れ落ちている岩の所に出た。


 水があるじゃない!手で掬ってみると冬なの然程冷たくは無い。湧水は一年中温度が一定だからかな。この水が飲めるなら向こうから運んで来なくてすむのにな。


 何処に流れているのかな?島をくるっと一周したけど、小川も細い水の筋も見なかったけど。


 大きな岩の割れ目のような所から出ている水は、流れ落ちた下の岩の窪みに少し溜まり、そこから少しずつ流れ出して、辿って行くと途中から流れは消えてしまった。多分地中に流れ込んでいるんだね。

 割と水の量が有る、小さなミニ滝のようだけど、まさか海水でも無いよね。

 戻って水を掬いちょっとだけ舐めてみた。真水だ。塩味がしなくてよかった。


ガサッガサッ


 何か白いのが見えた、あれ?うさぎ、ちょっと大きな白兎だ可愛い。可愛いけど、目が鋭いよ。えっ?なに?こっちに突進して来た。慌てて飛び退けるとドスンとさっき私が立ってた所の後ろの岩に体当たりして、余りの勢いで失神したようだ。大丈夫かな?

 心配でうさぎを覗き込むとおでこから血が出ていた。こんな大きな岩にあのスピードでぶつかれば怪我するわよね。

 兎のぶつかった辺りを見ると、何か落ちてる三角に尖った小さい角のようだけど、赤くて、まるでルビーで出来てるようだ。これにも血が付いてた。

 ・・・角?兎のおでこの傷と大きさがピッタリだ。何?新種?倒れているうさぎを落ちていた棒で突くが目が覚めない。少し揺すると口が空いて舌が、だらりと覗いた。

 あ、これ死んでる。自爆しちゃった。どうしよう。

 

 拾った棒で穴を堀り、死んだ兎を埋めて水で手を洗った。角はティッシュに包んでバックに放り込んだ。


 別れ道まで引き返し山を降りた。上りとは違う所に出た。どうやら山道は一本ではないみたいだ。


 船着場の方に行くと向こうの方に迎えの船が見えてきた。船に気づいて船着場まで来てくれた管理人さんにお礼を言って船に乗った。

 


   *     *     *



 少し離れた木の影から女性の様子を見ていた者は女性を追ったが見えなくなって諦めた。帰りに死んだ兎を掘り起こし持ち帰った。



読んでくださりありがとうございます。

ブックマーク、やアクションにいつも励まされております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ