表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/74

69 牛




「牛とは?」


「ミルクを沢山出してくれる家畜なんですよ。そのミルクは、これから大きくなる子供達に必要な栄養が含まれているので、子供達の為に村で飼えないかと思いまして。あ、そうだ、牛の写真があったはず。」


 私は自分の携帯を持ち出して写真のフォルダーから牛が写っている物を探し出し皆に見せた。


「牛っていうのはこんな動物なんですが、ヴィルさんの国にもいますか?」


「成る程、モースタインの事か、私の国で飼ってる者はいないが、海の先にある大陸では飼われていると聞いた事がある。」


「海の向こうの国では手に入れるのは難しいですよね。」


「モースタインならレーン王国とアステラ王国の国境の近くで野生の群を見た事がありますよ。凄く大きな群れで百頭以上いたと思います。確か肉が美味いと聞きました。」


「クルト、それはどれぐらい前の事だ?」


「僕がこの国に着いた時だから、五ヶ月程前でしょうか?半年は経ってないと思います。」


「そうか。半年近く経っているなら餌を求めて移動しているかもしれんな。」


「俺モースタインの肉食べた事ありますよ。

 商人達の護衛の旅で、赤い服を着た旅商人がモースタインに襲われてたのを俺らの一行が助けに入って狩ったんです。

 大きな雄のモースタインだったので襲われていた商人にも肉を分けてあげたらお礼を弾んでくれて、皮も高値で買い取ってくれたって聞きました。肉も凄く美味しかった事を覚えてます。この国にいるのなら是非狩りに行きましょう。」


「え、えーっとね、生きたまま連れて来て欲しいんだけど。乳搾りしたいから。」


「そうか、ミルクとは乳の事か。生きたまま連れてくるなら、乳離れしたモースタインの子がいいな。既に大きく成長したものは調教が難しいからな。」


「生け取りですか、俺も行きたいです。」


「僕も一緒に連れて行ってください。」


「そうだな、ウォルトにクルト。ブラックブルよりは穏やかな性格だが、何せ大きいからな、子を攫ったら反撃されるぞ。」


「風魔法で避けられます。」


「俺も身体強化出来るようになったし、逃げるのは大丈夫です。」


 いやいやいや、君たち逃げるって、牛に追われて逃げ切れるものじゃ無いでしょ。


「そうか、それなら大丈夫だな。」


え、大丈夫なの?


「ウォルトやクルトがうし、いや、そのモースタインを捕まえられるんですか?危なくないですか?」


「モースタインは魔物ではなく動物だ。体が大きいので力はあるが魔物程の危険性は無い。

 戦ぐ風のメンバーも誘うとしよう。美味しい肉にありつけるならライナー達も来るだろう。私も行くし彼等が一緒なら安心だ。

 沢山狩れば肉も売れる。魔物のブラックブルよりは大人しいが、百頭以上の群れだと旅人がモースタインの移動に巻き込まれると危ない事もある。ギルドにも大きな群れがいる事を報告しておこう。国境近くのギルドで討伐の仕事が既に出されているかもしれん。」


 ブラックブルって、いつか貰ったステーキ肉、あれも牛の肉だと思ってたけど、ブラックブルというモースタインに似た黒い毛並みの魔物だそうだ。あの肉も美味しかったなぁ。

 いやいや、今回の目的は牛乳だ。


 戦ぐ風のメンバーの今請け負っている仕事が終わったらヴィルさんとウォルトとクルトを連れてモォースタイン狩りに行く事になった。


 しかしモースタイン狩りの旅に出掛ける前に、ヴィルさんと戦ぐ風のメンバーには他の大きな仕事が入ってしまった。

 この島で牛を飼えるのはもう少し先になりそうだ。




   *     *     *




「どうだ動きはあったか?」


「はい、例のもの達があの船の者と接触して高級レストランへと連れ立って入っていきました。」


「そうか、その時の話の内容は押さえられたか?」


「はい、獲物は今回五十八匹だと、どれ程欲しいかと船の者が聞いておりました。奴らは全部買い取るつもりです。他に荷は無いのかと聞いていました。船側は珍しい穀類と途中の国で仕入れた果物があると言っていました。」


「獲物、それを奴らは全て買い取って売り捌くつもりか。船のことはギルドに知らせてあるな?」


「はい、団長、船の船首にイルカの彫刻がある船が港に停泊したり、目撃した者がいるなら知らせて欲しいと言われてましたので既に連絡済みです。」


「分かった。奴らが荷を受け取るとしたら夜だろう。そのまま警戒し、監視して荷を受け取る所か、荷が運び込まれる所を調べて取り押さえよう。自分の屋敷には運び込まないだろうからな。見失わないように気をつけろ。」


「はっ、了解致しました。」






「そうか、あの船が、それなら村の者に確認して貰おう。すぐに連れてくる。そのまま港に向かうがいいか?」


「大丈夫だ、確認が取れたらギルドにも知らせてくれ、俺から騎士団の方には知らせる。」


「分かった、では行ってくる。確認が取れたら直ぐ戻る」





「ローレンツかマルセル、悪いが私と一緒に来て、あの島に来た人攫い達の船かどうか確認して欲しい。」


「え、人攫いの船ですか、分かりました俺が行きます。」


「すまないローレンツ、すぐ出発だ。」





「間違いないです。仲間を攫って行った船です。あのイルカの彫刻と青と白の帆の色の組み合わせも同じです。」


「分かったありがとう、今日はこれで戻ろう。正規の場で証言してもらう事になるかもしれん、その時はまた協力を頼む。」


「はい、奴等を捕まえてくれるんですね?」


「ああ、その為の確認だ、もう少し待っていてくれ。」


「ありがとうございます。」


 いつもお読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ