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63 ヴィルフリート視点

 


 今日ユミ殿と子供達に魔法の指南をしたが、驚いた。

 普通魔法を使えるのは貴族に多く、稀に貴族から嫁に行った豪商の子孫達が生活魔法等が使える程度だと私は認識している。


 魔法を使える者達はずっと昔から貴族に取り込まれてきたので今は平民の中には魔法を使える者は稀だ。


 レイラとロウは商人の子供達なので或いは貴族の血が何処かで混ざって居るのかもしれないが、テオは両親とも代々畑を耕す平民であったそうだ。

 しかし今日途中から参加したテオも魔力の巡りを教えると何とか炎を出す事が出来た。彼は水を出すにはかなり手こずっていたが、レイラが水を出すのを良く観察して、何度もチャレンジして日が沈む前には何とか水も出せるようになった。


 これは訓練すると平民も魔法が使えると言う事なのか?勿論平民でも魔力は僅かだが皆持っている。しかし炎や水を出せる程の魔力量ではないのだ。


 クルトとウォルトも魔法の訓練を始めて二ヶ月が過ぎた。二人共生活魔法の火と水、風を操り濡れた体を乾かす事も出来る。


 冒険者を目指している彼等は魔法が使えると自分を魔物から守る術が多くなる。

 冬場の雨や雪の中移動すると体温を奪われその為に命を落とす者もいるのだ。だから最低限生活魔法を操れるようになると生存率がぐんと上がる。

 その為にたとえ魔物を攻撃出来なくても生活魔法だけでも身に付けさせたいと訓練を始めた。


 クルトは流石王族とあって豊富な魔力で難なく魔法を使えるようになると思っていた。期待を裏切る事なく今では風の刃も使い熟している。


 ウォルトは父親が冒険者だったようだが、平民だ。魔力は多くはないが、せめて水だけでも出せるようになればと訓練に参加させたが、彼も生活魔法は難なく熟せた。今では火の玉も出す事が出来る。訓練して行くうちに魔力量も増えている。

 平民でありながらここに住んでいる四人共魔法が使えるなんて偶然だろうか?


 レイラとロウは魔法を使うのは無理だろうと思っていたのだ。


 生活魔法とは毎日生活する為に必要な竈門の火、飲み水、洗濯等を乾かす風を出せる魔法の事だ。



 ユミ殿は漏れ出す程の魔力を持っていたので魔法が使えるだろうとは思っていたが、彼女の住む世界では魔法が存在しないという。


 彼女の国では色んな道具がある。

 人を運ぶ船やバスという乗り物は馬車のように揺れもしない快適な乗り心地。

 エンペラーサーペントのように長い胴体を持って大勢を運ぶ乗り物も有るらしい。

 水は水道の蛇口の側にあるハンドルを回すか、上下させるだけで出て来る。

 火はスイッチと言う物を押すとカチカチカチという音とともに炎が湧き上がる。

 濡れた髪を乾かす温風の出てくる筒。

 透明な濁りも歪みもない透けた窓を閉めると風も雨も入って来ない、二重の窓ならば遮音も出来る。

 空には人を沢山乗せて遥か遠くまで移動出来る飛行機という鉄のドラゴンが飛んでいる。

 遠くに住んでる人の顔を見ながら会話が出来る魔法のような手のひらサイズの板は誰もが持っている。

 そして魔物が存在しない。

 彼女の国では、殆どの人は毎日戦わなくても安全に暮らせるという。

 彼女がいうには魔法の代わりに科学という物が発展した結果だと、そしてまだ発展し続けているという。

 だからユミ殿はあり余る魔力がありながら魔法が使えなかった。使う必要もなかった。


 だがここに住むのであれば魔法は使えた方が良い。魔物と出会した時に対処出来るように幾つかの攻撃魔法を覚えて欲しい。

 結界を張ってはいるが、迷いの森から迷って来るのは人ばかりでは無いのだ。


 それに魔物だけでなく盗賊も居る世界だ。ウォルトとクルト、テオを攫って売り飛ばそうとしていた盗賊を動かしていた貴族とその仲間二人がまだ捕まって居ないのだ。

 いや、捕まえていないと言った方が正しい。今は泳がせて何処と繋がっているかを調べるのだと王国騎士団の団長は話していた。


 数日前にそのうちの一人をウォルトとクルトと共に一日尾行していたがその日は何も情報を得られなかった。子供達を保護してからもうそろそろ三ヶ月経つがあいつ等は用心深い。


 相手に気づかれないように町の人の服装を着た騎士たちや冒険者達も協力して毎日交代で尾行しているが、どうやら港の方に時々出かけては数日そこに宿泊して王都に帰ってくるようだ。港に何かあるのだろうという事だけしか分かっていない。まだ沢山の仲間が居るのかもしれない。


 私が毎日側に居られればユミ殿も魔法の腕を磨かなくてもいいのだが。

 楽しそうに訓練していたので、案外早く身に付けられるかもしれないな。





いつもお読み頂きありがとうございます。


小さな所をちょくちょく訂正しております大筋に変更はございませんがお詫びをしておきます。すみません。

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