61 妖精
原木を運んで貰ったお礼に運んでくれた人と皆で苺を摘んで村に持ち帰って貰った。
苺は株が増えて行くので株分して村でも植えておけば子供達のおやつにもなるだろう。
私達の味見分は確り確保したので後で洗ってみんなで初物を頂こう。
日が暮れてからヴィルさんがウォルトとクルトを順番に連れ帰った。しかしヴィルさんは食事をするとまた出かけて行った。とても忙しそうだ。
ウォルトとクルトも疲れたのか夕食後部屋に戻って寝てしまったようだった。
私達も夕飯を食べてお風呂に入って部屋でまったりしていた。
すると窓ガラスを素通りして小さな灯りがスッと部屋の中に入って来た。よく見ると今朝出会ったあの妖精だった。
「ふぅーただいまぁー」
「お帰りなさい?」
「何故疑問形?」
「えっっと、貴方がただいまって言ったから?」
「あ、そうか、今迄見えて無かったんだよね。私、貴方がこの島に住むようになってから、ずっと一緒に住んでるのよ。」
「えっ?そうなの?」
「そうよ、だから『ただいま』なの」
「そうなのね、お帰りなさい。今迄働らいていたの?」
「そうよ、でも休息も取ってお昼寝したから大丈夫。」
「良かった。もう暗くなってるからね、こんな遅くまでずっと働き詰めかと思ったわ。
妖精は食事するの?」
「普段は食べなくても平気よ。貴方の漏れ出ている魔力もらってるから。でも時々人間の作った食事も少し分けて貰っているわ。貴方の作る物は美味しいわね。」
「私の作った物美味しいの?」
「ええ、美味しいわ。多分貴方の魔力が混ざってるんじゃないかしら?だから美味しく感じるのかもね。」
「私に魔力があるのはヴィルさんから聞いて何となくそうなのか、と思ってはいたけど、ねえ、魔力があると魔法が使えるの?」
「そうね、訓練すれば使えるようになる人もいるわね。でも貴方が使えなくても妖精が手を貸すわよ。火が欲しかったら火の妖精が、水が欲しいなら水の妖精が手伝うわ。」
「そ、そうなの?野菜や果物を実らせてくれるだけではなく?他の事も手伝ってくれるの?」
「ええ、泥棒が入ったら捕まえるし、何でも手伝うわよ。必要な時は呼んでくれればいいわ。」
「貴方は何の妖精なの?」
「私は緑の妖精よ。植物を育てるのが得意なの。」
「緑の妖精さんなのね。貴方のこと何て呼んだらいい?貴方の名前を呼べば良いの?」
「私には名前は無いわ、来てって呼んでくれたら来るから。」
「それじゃ誰を呼んでるか分からないんじゃない?
名前つけてもいい?渾名でもいいし。」
「名前付けてくれるの?嬉しい。」
「そうなの?それじゃーどんな名前何がいいかしらね?んーんーんーーーー、そうね、リラは?貴方のその薄紫色の髪とドレスがかわいいライラックの花のようだからリラ、ライラックの別名がリラなのよ。」
「リラ、私の名前リラ、嬉しい。」
そう言うとリラの体が一瞬輝き、その眩しさに目を閉じた。
そっと目を開けると十センチ程の身長だったリラが私と同じ程の大きさになっていた。
「ありがとう、私、貴方の眷属になったわこれで貴方が何処にいても居場所が分かるし、心の中で私の事を呼ぶだけで駆けつけられるわよ。体の大きさもこのとおり、変えられるの。」
といってリラは元の小さな姿に戻っていた。
「え、眷属?え、居場所ってGPS?声に出さなくても呼ぶと来てくれるの?凄い。ファンタジーだわ。」
「そう言う事で、これから宜しくね。」
「こちらこそお世話になります。これから葡萄畑を作るつもりだからリラに沢山手伝って貰う事になると思うわ。」
「葡萄畑ね。任せて。」
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