55 異世界?日本?
ヴィルさん達がローレンツさん達の島に行って来た翌日、永沢さんから電話が有った。
私の買い出しの手伝いや、島との行き来の船を頼んだが順調に行ってるかの確認の電話だった。
水道工事もこの永沢さんという、あの年末セールのくじ引きの会社の部長と呼ばれてるこの人が手配してくれて、その水道工事に来たのが、ヴィルフリート・フォン・バッツドルフという名のエルフだった。
永沢さんが異世界の何処かと繋がっているんだろう事は何となく察しているが、突っ込んで聞こうとは思わない。聞いていいのかも戸惑うし、普通の日本人が異世界と繋がりがあるなんて、ちょっと怖い。
永沢さんもこの異世界と繋がるこの島を私にくじの商品として渡した事をどう思っているのかは、こうやって電話で、不便ではないかを確認してくれ、手配してくれている事で心配してくれてると分かる。
普通はくじの商品は渡したらそれでお終い。その後は関係ない筈なのに、彼の心遣いには感謝しかない。
永沢さんの気遣いからこの島で不便なく暮らして欲しいという気持ちが伝わってくるのだ。
それで、この永沢さんにも保護した人達の事を話した。
ヴィルさんが保護して来た事と、服装や彼らの丸太をくり抜いて作られた簡素な船の形。
言葉は通じているが、日本語ではない事。
ドワーフという、私の世界には居ないであろう人種の夫婦が二組居る事。
そして総勢二十三人という人数で、今はロッジに泊めているが、客が来た時に彼等の泊まる場所が無い事を。
「それは大変ですね。何処か住む所を探さないと。」
「それなんですが、ヴィルさんが、私の貰った小さな島と、異世界の部分を結界で分離してくれたので、私の世界の人に彼等が目撃される心配は少なくなりました。
彼等に家が用意出来れば新たな棲家の場所が見つかる迄はこの島に居て貰っても大丈夫です。」
「それでは急いで必要なのは住居という事ですね。」
「それなんですが、日本の空き家を、家の部分だけ譲って貰って移動出来ないかと今探しているんです。
ヴィルさんが移動には協力して下さるそうなので、日本の空き家問題の解決の一つにもなるかなぁ、なんて。」
「成る程、それではその家の事は私の方で探してしておきます。
田中様には子供達もお世話になっているとお聞きしております。
これ以上お手数をお掛けする事はできません。
宿としてのお仕事もこのままではお困りでしょうが、暫く、暫くお待ち下さい、早急に手配いたします。失礼致します。」
と私が返事をする間も無く電話は切れてしまった。
お任せしていいのだろうか?
ヴィルさんに水道工事を依頼した人からの電話の事を話した。
それなら任せて大丈夫だとヴィルさんが言ったので、何処かで繋がりがあるのだろう。お任せする事にした。
一つやる事が減ったので、私には見えてるが、他の人には見えない島の部分の海が異世界なのか、日本のままなのか、結界の外の異世界の浜辺に繋がっている海は、どちらの世界の海かを一緒に調べて貰う事にした。
ヴィルさんの船に乗せて貰って私の島を一周した。
「えっ?小さい。」
今迄は割と大きな島だったのに、今見えている島は本当に小さい。
この島を船で一周するのに十分もかからない、いや、五分位じゃ無いかしら?本来の島の姿が目に映っている。
先程、大正丸と書かれた日本の船が島の船着場とは逆の島のむこう側、本来なら大きく見えていた島のあった所の海を通過して行った。
という事はこの島の周りは日本の海で間違いない。
自由に日本の船が往来できるのだから。
この小さな島に繋がった異世界の島は海の上から見た限り存在してないのだった。
島に戻って異世界部分の島の浜から周りの景色を見てみると、そこに見える筈の周りの小さな島々が見えなかった。そして私の故郷の陸地も見えない。
やはり異世界と繋がってる海は異世界だった。
島だけが異世界という訳では無かったのだった。
でもこれでローレンツさんとマルセルさんは夜では無く昼間に漁が出来るようになった。
ヴィルさんは異世界の海だと確認した後、買い物に行って来ると船に載って出て行った。
白いシャツにジーンズ姿のヴィルさんを見送った。
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