5 雨水
管理人の大瀬さんの説明を聞きながら島をゆっくり周ると一時間半程で元の場所に戻ってきた。
管理人用のログハウスの横を抜けて、登れば山下ると浜に続く道を横切って行くとログハウスが見えてきた。少し間隔を離して三棟が三角形の位置に建っている。
ログハウスの周りは平たく整地されていて、建物の側に木のテーブルとベンチが作りつけてあった。
三件のログハウスの建つ真ん中の位置に屋根付きで床と二面の壁がコンクリートになっている炊き出し場が設置されていた。他の二面はぽっかり空いていて、出入りが出来るようになっている。壁は大人の胸位の高さまであり、その上は窓も壁もなく、木の骨組みだけになっている。火を使う所なので煙を逃がして、雨と風を避けて食事を楽しむ事が出来るようにしてあるようだ。
ここにもテーブルとベンチが四セット設置され、雨水では有るが水場も有るので洗い物も出来る。
洗剤は石鹸系の物しか使ってはいけない事になっている。環境汚染防止の為だね。
ではお風呂もそうなのか聞いたら、そこまでは徹底してないので、好きなボディソープやシャンプーを自分達で用意して貰っていたそうだ。大きい容器の物を持ってきてそのまま置いて行く人が居るので持ち忘れても大丈夫みたい。
生活排水は合併浄化槽が埋め込んであり、綺麗にされた処理水は海に流れて行くらしい。
洗い場は炊き出し場の屋根に降った雨を溜めてるタンクが側に三つ段々に並べて置いてあった。
タンクから蛇口に水が引いて有るので使用は出来るが、この水(一応濾過器は付いてる)を沸かしてお湯で洗う事になる。
調理には自分達で持って来た水を使う。
大瀬さんは雨水で洗って鍋に入れ、お茶碗ごと湯を沸かして煮沸してるそうだ。その方が楽だし、清潔そう。
管理人さんは自分の飲み水は週一回買い物の時に佐竹さんの所の水道水を二十リットルのポリタンクに五つ分貰って船で運んでいる。
佐竹さんに水代を渡そうとしても要らないと受け取らないから年末にお歳暮にお酒を送ってるそうだ。
お婆ちゃんもこっちの水道代は安いと言ってたな。私が住んでいる所の水道料金の値段を聞いて吃驚していた。
「水はあんたさんの時も同じごてしてくれるごと佐竹さんに言うちょくけん、心配せんでよか。」
【水は貴方の時にも私と同じ様にして下さいと佐竹さんに言っておくから、心配はしなくて良いよ。】
って言って下さった。
私も来た時はそうして貰うと助かるので、宜しくお願いしますと言っておいた。
この島で井戸を掘るのは無理だろうか?
無理な場合は永住は出来そうもないな。お湯にするとしてもお風呂のお湯はは沸騰させたものではないだろうから、ずっとその水を使うのは躊躇してしまう。せめて湧水であれば良いのだけど。贅沢だろうか。
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