49 船
船が停泊したので子供達はロッジで待ってて貰い船着場に向かった。
船から降りて来たのはヴィルさんだった。あれ?ヴィルさんだよね?
いつもと違う服装なのだ。
ジーンズに白いTシャツと黒いジャンバーを着て、銀髪は後ろでポニーテールにしていた。
顔をみるとやはりヴィルさんだ。
え?船を操縦して来たの?これ多分私の世界の船だよね?
ヴィルさんの世界はまだモーターとか出来てないと思う。だって、乗り物が馬か馬車だもの。
「ヴィルさん、船を操縦出来るんですか?」
「ああ、習って免許を取ってきた。」
「え?免許を取った?いつの間に!船は借りたんですか?」
「いや、購入した。」
「え?船って凄く高いですよね。しかもこれ、オシャレなクルーザーとか言う船じゃないですか?詳しくは知りませんが。」
「ああ、確かにクルーザーと言っていたな。」
「ど、ど、どうしたんですか?クルーザーって、何千万もするでしょう?」
「この船は知り合いの知り合いがもう使わないと言う事で安く譲ってもらえたんだ。
しかも、こちらで金貨を売ると高額で買ってくれるそうだ。だから安く買えたのだ。こんな機能の船を我が国で買うと白金貨百枚でも買えないだろう。」
「き、金貨を売ったんですか?私の世界で?」
「知り合いに頼んでな。船は一千万リロで釣りがあったぞ。こちらの通貨は私は使わないから釣りはユミ殿にお渡ししよう。」
「いや、受け取れませんよ。また何か買うかもしれないから、取っておかれた方が良いと思いますよ。」
「買う物か、そうだ、買い物の時にこちらの世界の酒を買いに行こう。
これからは私があちらの岸まで送って行ける。あちら側の停泊許可も取ってあるから大丈夫だ。買い物も付き合おう。
遠慮はいらない、ギルドからまた依頼が来ていたんだ。君の送迎を頼める人が誰か居ないかと聞かれたらから、私がやると引き受けた。私は特別に君の世界に行ける許可を取っている。心配は無用だ。」
子供達にはこの島が私の世界の島で、私の住んでいる世界と、子供達の住んでいる世界は違う事を話した。
子供達のいる世界の島と私の島が繋がっている事、私の世界へは危ないので、向こうの岸へは行けないことを伝えてはいるが、レイラとロウがちゃんと理解しているかは疑問だ。
ウォルトやクルト、テオはログハウスに有る炊飯器や洗濯機等で、違いが解っていたようだ。
「えっと、ヴィルさんが受けたその仕事のお給料では、この船は買えないのでは?」
「金の事は心配要らない。船を買う金も用意すると言われたが断った。受け取ると船は私の物でなくなるからな。
冒険者の時も、城に勤めている時も金が入るばかりで使い道がなかったのだ。」
「いや、しかし、船まで買わなくても・・・」
「船は私の世界でも使う事が出来る。ちゃんと元は取れるから心配要らない。」
「そうなんですか。あ、マジックバックに入れて持って行けるんですね。」
「その手があったな!だが、そうではない。夜になるとこの周りの海は私の世界の海となっているのだ。夜に船を運転して私の国へも行けるだろう。」
「夜はこの島が繋がっている異世界の島の場所に変わってるって事ですか?」
「そう言う事だ」
「なんだか理解が追いつかなくて、頭がクラクラしますよ。
この島の有る場所からアステラ王国迄は近いのですか?」
「いや、遠いな、大陸をぐるりと大回りしなければ行けないからかなり遠いな。」
「それじゃ燃料が足りなくなって漂流してしまいますよ。」
「ああ、本当に行くわけでは無いが、せっかく船が操縦出来るようになったのだ。近場の島位は行ってみたい。それに燃料は心配無い。魔石で動くように改造してある船を買ったからな。」
「本当に私の脳みそでは処理出来ない事ばかりです。どなたから買ったかは聞かないでおきます。」
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