48 収穫
漁師さんの骨折報告から二週間が過ぎたが送迎してくれる人がまだ見つからない。
送迎は週に一回だけなのだが、それが毎日だと仕事として請け負うと言う人はいるみたいたが、毎日は必要無いものね。
とりあえず食糧はヴィルさんがギルドに頼まれたらしく、ここへ食料を運ぶ事を仕事として請け負ったようで、困る事はなかった。
永沢さんから食糧配達の仕事を発注したと電話があったので、水道工事の時と同じようにしてくれたのだろう。
永沢さんが何処とどう繋がっているか不思議だが、聞いて藪蛇になっても嫌なので聞かない事にする。世の中不思議な事は色々とあるものだ。
実体験しているから良く理解出来る。
それよりもこの困った事態をどうにかしてくれていると言う事実に感謝している。
種を蒔いて苗木も植えてから約二週間。朝食を済ませた後、レイラに手を引かれてロウと畑に行くと、“なんじゃこらー!“な体験をした。
畑一杯にナス、ニンジン、トマト、きゅうり、ピーマン、枝豆、大根、キャベツ、ブロッコリーにとうもろこしまでもが艶々と実っているではないですか。
ロウは目を丸くして
「うわーー」
と感嘆の声を上げている。
そしてヴィルさんが耕してくれた畑の山側の木が?あれ?植え替えられた?私の背丈よりももっと大きな木に花が咲いている。だが、葉を見ると、私たちが植えた果物の木だった。
葡萄棚を作ろうと思っていた場所には立派な棚ができあがり、その棚一杯に葡萄の蔓が絡んでいて、大きな葉が茂っていた。
木の手前の畑にはジャガイモとサツマイモの葉が青々と茂っている。
これは一体どうなってるの?こんな急に育つなんて、魔法じゃなきゃ出来ないわよ。
成る程、魔法か!そういえばこの島にはエルフという種族が住み着いたのだ。エルフと言えば緑に愛される種族、エルフが居ると言うだけでこんな祝福が齎されるの?それともヴィルさんが急成長する魔法を掛けてたの?
ヴィルさんは色んな事を手伝ってくれるし、子供達とも離れずに暮らせるようになったし、誰が一番得しているかって、私だ。
島が当たった事も、水が自由に使えるようになった事も、エルフのヴィルさんがここに住むようになった事も、全てはあの嫌な男との婚約破棄から始まった幸運な日々。
お婆ちゃんが亡くなったのは悲しかったけど、あのまま私が東京の方に住んでいたら、連絡してくれる人も無くお婆ちゃんの死を知らずにいただろう。
最後の後始末等が滞りなく出来たのは私がこちらに帰って来てたからだ。転じて幸運だと思う。
っと、愁傷に駆られている場合では無い。
私はレイラの頭を撫でて知らせてくれた事の礼を言った。ついでにロウの頭も撫でておく。ついよ、つい、可愛い子達には触れたくなるから仕方ないわよね。
レイラが食後の片付けをしているテオを呼びに行った。
今日は冒険者のお客さんも居ないし、四人で収穫祭だ!
でも、消費出来るだけにしておこう、あ、マジックバックに入れておけば良いから、取り過ぎてもだいじょうか。
ロウとレイラにテオがとうもろこしのもぎ方を教えていた。
レイラは直ぐにコツを掴んでポキッと収穫出来た。
ロウは小さくてチカラが無いので格闘していたが、自分の体重を乗せて横にポキッと折る技術を見つけたようだ。
どうだとドヤ顔をしてテオを見ている。
テオは良くやったとロウの頭をグリグリと撫でてあげていた。
ニコッと笑った天使のロウやレイラ達をホンワカと私は観察していた。至福の時間だ。
テオは十三歳でもう頭を撫でられるのは嫌かもしれないが、これを逃すと撫でる時が無くなる。
「テオ、とっても分かりやすい教え方ね、いい先生だわ。」
と言い訳じみた台詞を口にしてテオの頭も撫で撫で撫で。
ちょっと長く撫で過ぎたが、テオは嫌がらずにニコッと笑い、褒めた事に対してお礼を言ってきた。はぁー至福だ。
小さな子もかわいいが、これくらいの子もまた可愛い。
トマトをもぎ取りながらふと船着場の方を見ると白い船が入って来る所だ。
誰か送迎の人が見つかったのだろうか?
いつもお読みいただきありがとうございます。
体調を崩しがちで、すみませんがゆっくり投稿していきます。




