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47 畑

 


 買い物した日の夕食の時にヴィルさんやウォルト、クルトも一緒にロッジAで全員で食事をした。


 ウォルトとクルトは朝早くから剣の練習と魔法の練習をして、夜は薬草や魔物の勉強をしているそうだ。

 昼間はギルドの簡単な仕事は二人で組んで狩りをしたり、つい最近にA級冒険者のライナーさんの所属している(そよ)ぐ風の冒険者メンバー達と一緒に、少年達には少しレベルの高い魔物を倒す仕事に参加させて貰ってとても良い経験をしたようだ。


 ヴィルさんに文字と計算の練習を子供達に教えてくれる人がいるか聞いた。その時出来れば私も異世界の文字を習いたい事を話したら、誰か探してくれると言ってくれた。


 明日畑の横の土地を少し整地して買ってきた苗木を植える予定だという話をしたらヴィルさんもウォルトもクルトも手伝ってくれると言うので皆んなでやる事になった。



「この辺りを平たくすれば良いのだな?」


「はい、畑も広げたいので、畑の山側に果物の苗木を植えようとおもいます。葡萄の木も二種類のを三本ずつ買って来たので、少し大きく育ったら、蔓が巻き付くように葡萄棚を二ヶ所作りたいと思っているので、葡萄は種類別に少し離れた所に植えようと思ってます。」


「分かった。皆少し後ろへ下がっていてくれ。」


 ヴィルさんが何か呟くと二十メートル幅の地面が五十メートル程先まで平たく整地された。

 千平方メートルは確か三百坪の広さ、それを平たく整地し、しかもフカフカの土になっている。立派な畑が一瞬で出来上がっていた。

 山側には三メートルおきに穴が開いている。


「凄い、ありがとうございます。」


 買って来た苗木をその穴に皆んなで植えて行った。

 小さなロウも二十センチ程のスコップで少しずつ苗木に土を掛けて穴を埋めていく。

 種類はバラバラだが、その分色んな果物が楽しめると思うと


「早く大きくなって!」


 と言いながら木を撫で撫でしてしまった。

 それ見ていたレイラとロウも真似をして


「早く大きくなってね」

「早く大きくなーれ」


 と言いながら小さな苗木を順番に撫でていた。

 この子達はなんて可愛いんでしょう。

 頭をぐりぐり撫でたかったけど、手が汚れていたので残念ながら出来なかった。

 ウォルトとクルトとテオもそれを微笑みながら見ていた。

 みんな笑顔が出るようになって良かった。


 葡萄は前あった畑と新しく作った畑の間に一つと、新しい畑の奥の端に距離を置いて違う種類のを植えて、添木を差した。

 少し成長したら葡萄棚を作ろうと思う。


 皆んなでやったので苗木はあっという間に植え終わった。まだみんな時間はあると言うのでジャガイモもサツマイモも畝を作って植えて行った。


 畝は見本を見せたらヴィルさんがささっと魔法で作ってくれた。有難き魔法の世界よ。私も使ってみたい。


 ジャガイモは四分の一に切って植えるので結構な量になったが、テオの手際の良い事、お父さんを手伝って農作業を頑張っていたのが良く分かる。

 ロウも土いじりがお気に召したようで、ジャガイモの上にスコップで土を喜んで被せている。


 サツマイモの苗も差し終わり、そろそろお昼の時間だ。


 皆んなで手を洗ってお昼ご飯は焼きそば入りのお好み焼きにした。


 マジックバックを借りたので、色んな物を買ってくる事が出来た。


 ヴィルさんへの御礼にちょっと高いワインを奮発して買ってきたのを昨夜渡したら喜んで貰えたようだ。

 先ほど、ワインをありがとう美味しかった、とお礼を言われた。早速開けて飲んでくれたのね。冷やしたのをあげたからね。


「言うのを忘れていたが、マジックバックの中に入れると時間が止まって、いつまでも入れた時のまま鮮度が保たれる。早くダメになりそうな物はずっと入れておくといい。」


 と教えてくれた。


 時間停止機能付きのマジックバック!なんてファンタジーな!もう返したくなくなる奴だ!いや、お返ししますけれど。



 体を動かした後の食事はいっそう美味しく感じる。


 お腹一杯になってお茶を飲んでいると、私の携帯が鳴った。誰だろう?

 見ると漁師の佐竹さんの名前が掲示されている。


「もしもし、田中さんですか?」


「はい、田中です。佐竹さんからの電話なんて、珍しいですね。何かありました?」


「そがんですよ、私が朝から家ん小屋ん屋根ば直そうと脚立に登ったら、滑って落ちてしもうて、脚ば骨折して入院したんですたい。

 そっけん治るまで船で送り迎えの出来ん事なったんですよ。

 すまんばってん、会社の人に電話したけん、足が直るまでは違う人ば頼むごと言うちょったけん。会社からも連絡ばするて言いよらしたけん、そちらにも連絡ん来ると思いますわ。

 ほんとすいません。迷惑ばかくっけど、宜しく頼んます。」

【そうなんですよ、私が朝、家の

 小屋の屋根を直そうと、脚立に乗ったら、滑って落ちてしまって、脚を骨折して入院してしまったんですよ。

 だから治るまで船での送り迎えが出来なくなったんです。

 すみませんが、島の持ち主の会社の人にも電話して、足が治るまでは違う人に頼んで下さいと言っておきました。会社からも田中さんに連絡すると言っていたからそちらに連絡が来ると思います。本当にすみません。迷惑をお掛けしますが、宜しく頼みます。】


「脚を骨折ですか!それは大変ですね、お大事にして下さいね。会社の方にも連絡してくださったんでさね、ありがとうございます。私も連絡を取ってみます。ゆっくりおやすみ下さいね。」


 佐竹さんからの電話を切るとすぐにまた電話が鳴った。あの会社の永沢さんからだ。


「もしもし、田中様のお電話でしょうか?」


「はい田中です。先ほど佐竹さんから電話を頂き骨折で送迎が出来ない事をお聞きしました。」


「それでしたら、話が早いですね。それで、代わりの漁師さんを探していたんですが、なかなか見つからなくて、もし四日以上見つからない場合は食糧の方は異世界の方から持っていくように手配致しますので、暫くそれでしのいで下されば助かります。

 なるべく早く代わりの船を探しますので、宜しくお願いします。」


「分かりました。宜しくお願いします。」


「船で買い物に出れなくなったのか?」


「ええ、一週間程は何とかなりますが、その先は、ヴィルさんの国の物を買わないといけないわ。」


「そうか、いざとなれば私が買い出しに行く事も出来る、心配は無用だ。」






いつもお読みいただきありがとうございます。

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