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43 クルトニコス




 クルトはやはりこの国の隣のレーン王国の先にあるコバルト王国の第三王子、クルトニコス・アルベルト・アスムス・コバルトであった。


 クルトもまたヴィルフリートの元で強い冒険者となれるようにウォルトと共に鍛えて貰うようだ。

 馬車に乗っていた沢山の資産や馬車は当面の資金以外はヴィルフリートが預かり、彼のマジックバックの中に仕舞われた。馬車が三台入ってしまう程のマジックバックは見た目は小さな巾着だった。



  *     *     *



 コバルト王国の第一王子が何者かに毒を盛られ重体となった時、クルトニコスの母親は直ぐに自分の父親の侯爵の元に使いを送り、我が子を守る為に城から逃したのであった。

 第一王子が狙われたという事はいずれ我が子の第三王子にも手を出す者が居るという事を母親は察知していた。


 しかしクルトニコスは母から離れて一人で遠くへは行きたくなかった。狙われるのは王子だけではない事をクルトニコスは知っていたからだ。

 しかし第三王子の宮を訪れた母に諭されたのだった。


 「私の子は貴方だけなの、そのたった一人の子も守れぬ親に私をさせないで。

 何処に居ても、どのように生きようとも貴方は私の子。城で権力争いをして生き残っても虚しいだけ。どうか一生を終える時に自分の人生が良い物であったと思える生き方をして頂戴。愛してるわ。たとえこの先会えなくてもずっと愛してる。最初で最後の母の我儘を聞いてくれるわね。」


 と言い、クルトニコスを抱きしめた。


「母様も一緒に行きましょう。私と一緒に!」


「ありがとう。でも母様はここに残るわ。母様が逃亡したと知られれば貴方のお爺さま、侯爵家が罰を受けるわ。

 貴方一人だと、誰かに攫われたか、権力争いの為に始末されたと思われるだけ。母様がそう見えるように手を打つから、貴方だけで逃げるのよ。王になりたいのではないでしょう?だったら逃げなさい。そして自分の人生を母様の分まで楽しんで欲しいの。」


 クルトニコスは何も言えなかった。母の言葉に渋々頷く事しか出来なかった。


 第三王子の祖父である侯爵は、貴族でありながらも貴族らしい野望を持たない穏和な人であった為、孫を王に据え、自分の良いように国を動かそうという考えは無かった。家族の命の方が大事だと娘の言う通りに自分の家臣に言いつけ、クルトニコスを逃したのだった。


 なるだけ遠くの国へ行って冒険者でも、商家にでもなり、第三王子が好きなように生き、この国には新王が決まる迄はくれぐれも近づかないようクルトニコスと彼に付けた家臣に言いつけた。


 王子の身を隠す為、その家臣はクルトニコスの父親と名乗り王子の名は唯のクルトとした。

 一緒に同行する希望者を募り、護衛として古参の元騎士隊長以下、家族のいない独り身の者達五人がこの王子の旅に追随したのであった。

 城へ登った侯爵家の姫の為、病気の家族の為に骨を折ってくれた現侯爵の為、騎士隊長であった者への恩返しの為と追随者の其々の集った理由は違いはしたが、第三王子を守る目的は皆一緒であった。


 王子の護衛として七人という人数は心許ないものであったが、国から去るのに大人数で行動する事は憚られた。


 この三倍の護衛を募り、二手か三手に分かれて国外で合流するようにしていればと父親役の家臣は後悔したが、周りを大勢の盗賊達に囲まれた今ではどうにも出来ない事であった。


 せめてクルトの命だけでも助かる事が出来ればと祈り盗賊達に立ち向かって行った。

 初恋の人の一人息子を護る為に。






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