42 子供達
テオは父親と乗っていた荷馬車と馬、そして父が持っていた縞模様の小銭入れのお金をギルドで受け取った。その日野菜を売ったお金が入っていた。荷馬車と馬は盗賊が乗って逃げようとしていた所を捕まえる時に没収していたようだ。
テオは一回ヴィルフリートに連れられ自分の家に帰っていた。
田舎の村の粗末な掘立小屋で少しの着替えと鍋を持った。そして寝床の下の板を外すと僅かばかりのお金が隠されていた。
父の遺体は村が近かったので、村まで運ばれて村人達が眠る墓地に葬られていた。
テオは墓に花を添え、この村を出る決意を父親に報告した。
この村で耕していた土地は村長から借りている物で、今年の借り賃は半分もう払っていた。
村長もテオが村を出ていくのを承知し、残りの五ヶ月分の賃料はテオに返してくれた。
テオは由美が作って食べさせてくれた料理が余りにも美味しくて、由美の元で料理人になりたいと思ったのだった。
あの場所を宿として貸し出すならば料理人も居る筈だとテオは思った。
それで、ヴィルフリートに将来何かやりたい事はあるか聞かれた時に、由美の所で料理人になりたいと言った。料理の仕方を教えて欲しいと。
ヴィルフリートはその事をユミに伝えた。
由美は簡単な物しか教えられないが、それで良ければ手伝って欲しいと了解したのだった。
レイラとロウの親は商人だった為商売の為仕入れや販売したお金と商品の品物を馬車に乗せていた。そして遺体にギルドカードが残されていたので、商業ギルドに預けているお金も遺族であるレイラとロウはそれぞれ親の物を受け取れたのであった。
品物はギルドが適正な値段で買い取ってくれると言うので、持ち帰る事が出来ない多くの品はギルドの言う通り買い取ってもらった。
レイラとロウはこの先何になりたいのかと聞かれたが、今はまだ分からないと言う。
ただ、ウォルトと由美の側を離れるのは嫌だと言った。お手伝いをするので由美の所で働かせて欲しいとレイラが言うと、ロウも
『僕もお手ちゅだいするから働かせてくだちゃい』
といった。
まだ六歳と三歳だ、商人になりたいと思ってもどうすれば良いのか分からないだろうし、あんな怖い目に遭うのなら旅商人にはなりたいという気も起きないかもしれない。
私は、二人の子供を預かれる?自分に問うてみた。ご飯は自分の作る物を少し多めに作れば良い。ミルクをあげたりおむつの必要な赤子でも無いので、夜寝れないという事はなさそう。
いろんな危険な事を教えていけば大丈夫だろうか。ただ、料理の見習い人が一人居ると言っても、あのロッジが仕事になるか?それが心配と言えば心配だ。
あと、この子達は私の国の子供では無いので、社会的な手続きは多分このアステラ王国と言うこの国でしなければならないのだろう。
「テオとウォルト、レイラとロウ、それからクルトの後見人には私がなろう。君はこの国に身分を証明する物がないからな。」
成る程、やはりそうなるよね。
「後見人と子供達は一緒に住まなければならない規則とか有りますか?」
「いや、その子達の面倒は見なければならないが、私が雇う家令やメイドに見て貰っても大丈夫だ。彼らが君から離れたく無いのだから、私が君を雇っても良い。」
「そうですか、しかし私はあの島でこれから商売をしようとしているので、出来ればこの子達も一緒にあの島に住みたいのですが。」
「住む所は島で構わない。私もあの島の家を借り受けよう。王都との二重生活になるが、直ぐに移動できるので負担にはならない。」
「え?ロッジを借りるって事ですか?」
「ああ、家賃は支払う。子供の世話代も含めて、大人が一人でも多く一緒に居た方が良いだろう?」
「あ、ああはい、勿論です、その方が助かります。ロッジは一軒丸々ですか?高くなりますよ?」
「大丈夫だ。それなら子供達も島に住める。」
ヴィルフリートは五人の子供達の後見人になり、テオとレイラ、ロウは由美の元で生活する事になった。
由美の元で生活すると言っても、後見人のヴィルフリートはロッジBを由美から借りて少年達と住む事にしたのだった。
由美は家賃収入が入るし、少しでも世話をした子達の様子をずっと見守れるので願っても無い申し入れだった。
ロウはまだ幼く、レイラは女の子なので、暫くは由美と管理人のログハウスで暮らす事になる。
ウォルトはヴィルフリートやA級冒険者のライナーの仲間達の元で修行しながら、自らも冒険者となり生活していく事を決めた。
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