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41 依頼主




 かつての婚約者の訪れを拒んだ彼女は、心の傷を負って一人この場所に留まる決意をしていた事を目撃したヴィルフリート。


 話し相手もいないこの島に一人で居るのは彼女に取って余り良い事に思えなかった。


 かと言って親を亡くした子供達を都合よく押し付けるような形でここで留まらせるのも彼女の負担になるだろう、子供達をどうするか、十分に考えねばならぬ事案であった。


 それは違う文化を持つ世界の者が訪れる事が有るこの場所だからという事も大きな理由でもある。


 この島の水の事で私に指名依頼をして来た者に合わなければならないとヴィルフリートは考えていた。

 何故この島の事を知っていたのか、彼女の事も知っているのか、彼女の世界と私の世界が繋がれているこの場所はどう言う場所なのか、等色々聞きたい事がある。


 彼女も自分の世界では、その領地に税を払わねばならぬ立場であろう。この島に我らの国の者が訪れて宿泊して、果たして彼女はその税を納める事が出来るのか?


 我が国で流通しているのは銅銭、銀銭、金銭、この金の両替が出来るのだろうか?


 ギルド長に水の魔石の設置の依頼主に会いたいと頼んでおいた。


 依頼主に会える事になったが、訪問する事になった建物は私の国の神殿だった。


 通された部屋で私を迎えた者はこの国で聖女と呼ばれる方だった。

 薄いベールで隠されたその顔はどこかで見た事のある顔だった。


 聖女はあの島の事を理解しており、繋がった世界の事も把握していると言っていた。


 この国の金銭の両替は自分の知り合いに頼んでおくので、島の客が、この国の者達であっても、あちらの国の者達であっても良いので、その島の管理者がしたいようにさせておいてくれと言い、あの島の管理をしてくれている彼女には、この国からも給料が支払われると言っていた。

 彼女があの場所にいる事でこのアステラ王国の者が他の場所に迷い込む事が無くなるのだという。

 

 私が不思議に思っている事を感じ取った聖女は、また何かあったら尋ねて来るようにと言ったが、私はつい聞いてしまった。島の管理人は貴方の血縁者なのかと。


 聖女はふっと寂しそうに目を伏せ言った。


「彼女は私の娘です。」



   *     *     *



 子供達がここに保護されてから三週間が過ぎ一旦ギルドへと皆呼ばれた。

 五人の子供を一人ずつ運び話を聞こうとしたが、レイラとロウはユミと離れるのを酷く恐れユミに抱きついて手を離さなかった。

 その様子を見てユミは、私も付き添うからと言ってくれたので、先に年長のテオをギルドに送り、ギルドに来ていたA級冒険者であり、自分の弟子であるライナーに、ユミを連れて来るので彼女を守るように頼んだ。そしてロウ、レイラ、クルト、ウォルトの順で運んで来た。

 護衛の見習いだったウォルトは殿を務めると言って来た。ロウとレイラが不安にならないようにしてくれたのだろう。


 王都のギルドでは親を亡くし、自らも攫われ大変な目に遭った彼らに遺族が残した物が渡された。子供にとっては大きなお金である。

 お金を持っていると、十三歳のウォルトであっても騙されて、或いは暴力で奪われる事が有るだろう。まして六歳のレイラや三歳のロウが管理する事は難しい。彼らの後見人が必要だ。


 ヴィルフリートは子供達の後見人になる事をギルド長に話していた。


 孤児院を数回訪れて様子を見たが、子供達は襤褸を着て痩せ細っていた。

 勿論王都の孤児院は城や貴族達の支援がそれなりに有る筈だが、子供達に与えられていないのだ。そこを任されている者が肥え太っているのだった。


 ヴィルフリートはその事を城の管轄している部署に報告したが、直ぐに改善されないであろう。そこを任されている子爵に力があるのか、金を掴まされ同じ水を啜っているのだろう。


 子供達は空腹が我慢出来ず孤児院を飛び出して、十歳になると冒険者に登録して自分で稼いで生きて行くのを選ぶ子供も居る。

 そういう子の面倒をギルドは暖かく見守り、教え、生き抜く術を援助してくれるし、かつて孤児だった冒険者が指導してくれたりする事も有るが、無茶をして命を落とす子供も少なくない現実がある。


 持っている金を巻き上げられ、充分な食事を与えて貰えない事が明白な孤児院に入れよう等とは真面な人間は考えないだろう。

 貴族であれば、自分の屋敷で下働きをする為に雇い入れる形を取る筈だ。そうしたら、食事も取れるし、仕事も教えて貰え生きて行く術を習う事が出来るのだ。


 ただ、今回はもしかしたら異国の王子であろう者が居るので、彼の目的を聞かねばならなかった。






読んで下さりありがとうございます。


少し時間が有り、投稿する事が出来ました。


次回の投稿は九日になると思います。

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