39 盗まれた品
あれから四日が過ぎた。起き上がれなかった二人の少年もウォルト君も外に出て海辺の散歩を楽しめる程体は回復した。
少年は十三歳で名前はテオ、もう一人は十一歳のクルト。
テオ君は自分の村から父親と野菜を売りに少し大きな町に出掛けた帰りに盗賊達に襲われて父親を殺され攫われてしまった。
クルト君は行商人の家族で馬車で移動中にやはり盗賊に襲われ、家族を殺されて攫われて来たと語った。
テオ君の家族も父親だけだったので二人とも天涯孤独になってしまった。
ここにいる五人の子供は盗賊達によって全員孤児になってしまった。
この子達はこれからどうやって生きて行くのだろう。
ヴィルさんに聞いたら王都や領地に孤児院が作られていて、親のいない子供達はそこで生活する事になるが、環境は良いとは言えないらしい。
食事も固いパン一切れと野菜の切れ端が入った暖かいスープが付く位で子供達は皆痩せ細っていると言っていた。
レイラちゃんとロウ君は彼らの親が運んでいた物資やお金が彼等の親の物だと確認が取れたのでそのまま二人に渡される。物資は布製品や宝石の原石、仕立ての良い服やナイフ等、レイラちゃんは親が何処でどれを仕入れたかを覚えていたのだ。
ロウ君の場合は荷物に商家のマークが付いていて判別出来たようだ。
そして父親達の持っていたお金の入れ物がどんな物だったかを二人は細かく覚えていたのだった。
ウォルト君には父親の形見の剣と、レイラちゃんとロウ君の二人を守りきったと言う事で、商隊の護衛達が貰う事になっていたギルドからの報酬を受け取れる事になった。
テオ君もクルト君も父親のお金入れの形や色を覚えていて、捕まった盗賊達の持ち物から同じ物が見つかったので、二人に返されるようだ。
クルト君は更に荷台に積まれていた荷物とそれに付けられていた刻印の形を伝えていたので、あの洞穴から見つかった刻印の付いた物を返して貰えるそうだ。
馬車と荷馬車にも刻印が彫られていた。馬車と荷馬車二台の合計三台は刻印の為に売ることが出来ずに森の中に木の枝で隠されていたのが見つかった。
外は普通の馬車だが、中は貴族が使うそれよりももっと上等の設備だった。
馬は既に売られていたようだ。
* * *
クルトの荷物の中身を見たギルドの職員とヴィルさんは彼をこれからどう扱うかを迷って何度も話あった。
何故ならその箱のなかには大金と沢山の宝石が入っていた。そしてヴィルフリートが住んでいる国の先の先、一国を跨いだ所の国の刻印が彫られた見事な短剣や食器があったのだった。
その国には確かそれぞれ違った母を持つ王子が三人いた筈だ。一番下の王子が確か十歳くらいだった。
どう言う事情でこの国まで来たのだろうか。
いや、まだ少年が王子だとは判明していない。体も散歩出来るようにはなったが、旅に出れる程にはまだ回復していない。
どこか目的地に行くにしても彼が父親と言う者と仲間は殺され、彼一人だけしか残って居ないのだ。
まずは話を聞いてみよう。
どうするのか、どうしたいのか聞いて、体力をつけなが彼が動けるように出来れば良いか。
ギルド長達とこの事はまだ内密にした。
どうしたいのか本人が元気になってから決めて、中身が満タンに詰まったこの五箱は、衣装箱の三箱と馬車や荷馬車も合わせて本人に返すまでギルド長が預かる事になった。
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