33 囚われていた子供達
ウォルト君を家に上げ、取り敢えず水をあげた。喉が渇いていたらしくゴクゴクと勢いよく飲み干して行く。大きめのコップに二杯飲み終わると満足したようだ。
足を引きずっていたので、椅子に座らせて見せて貰うとパンパンに腫れていた。盗賊と揉み合った時に挫いたそうだ。ビニール袋に氷を詰めて濡れたタオルで巻いた足に、救急箱に入っていた包帯で巻いて軽く固定した。顔にも痣があった。今は痛く無いと言っていたが、タオルを濡らしてこちらも冷やした。
「寒く感じたら氷は取り外しても良いわ、でも濡れたタオルはそのままで冷やしていた方が良いわ。ここで暫く待っててね。」
ウォルト君にはここでレイラちゃん達と待ってて貰う。ヴィルさんが直ぐに身体の動けない子を連れて来るので、ロッジAの鍵を持って開けに行った。
既にヴィルさんが玄関で待っていた。
「すみません、今開けますね。」
「慌てなくて大丈夫だ、今来たばかりだ。」
一階の寝室のベッドに布団をセットしてそこに寝かせる。
ヴィルさんが少年にクリーンを掛けてベッドに下ろした。
「取り敢えず水をあげましょうか?」
「保護して直ぐに水はあげたが、沢山は飲めて無い。お願い出来るか?」
「ええ、今持って来ます。」
塩と砂糖を混ぜた水とストローを持って少年に飲んで貰おうとするが寝ているので経口補水液につけたストローの端を押さえ先から少しずつ水を出して口の中に入れた。咳き込まないように少しずつ入れると嚥下した。何回か繰り返しコップの三分の一程を飲ませることが出来た。
次に運ばれて来た子供はウォルト君位の年齢に見えた。さっきの子の隣のベッドにクリーンを掛けてヴィルさんが寝かせた。
用意していた補水液をストローで同じようにあげていたら目を覚ました。
「大丈夫?このお水もう少し飲んでね。今から食事を作るから食事はもう少し待ってて。トイレは?行きたくなったら聞いてね。ちょっと留守にするから私が居なくても吃驚しないで、ここでゆっくり寝てていいからね。」
と言うとコクリと頷いた。
ロッジを出ようとしたらヴィルさんが身なりの良い子供を連れて来た。靴を脱ぐのに『えっ!』と言う顔をしていた。
ヴィルさんはもう一人連れて来ると言って上がらずに消えた。
靴を下駄箱に入れて部屋を案内した。
「熱いお茶が良い?水が良い?」
「すまない、熱いお茶を頂けるだろうか。」
ウォルト君より少し幼く見えるこの子は喋り方がレイラちゃん達とは違う。
食堂の椅子に座って貰う。
誰か怪我をしたりしていると消毒にお湯を使うかもと大きな薬缶にお湯を沸かしていた。そのお湯を保温の出来るポットに移してお茶を入れ差し出す。
緑茶だ。
「随分変わった茶だな、香りが良いし、後味がサッパリしている。美味い。」
おー初めての緑茶なのに味が分かるのね!高級品では無いがお婆ちゃんの田舎で作られているこのお茶は美味しい。
「お口に合って良かったわ。
私はもう一人の子の怪我を見て来るからこの部屋でも、さっき案内した部屋でも好きな所に居ていいわ。
後から連れて来られる子がお茶を飲みたいなら、ここを押すとお湯が出るから、これに入れて、このカップに注いで飲むように説明してくれる?ヴィルさんにも同じくね。お願いします。」
「分かった。任されよ。」
「ふふ、では行ってきますね。」
管理人の家に戻った。
ずっと椅子に座っているのが辛かったら床に移動しても良いわよ。その座布団の上に座ってね。と伝えたら床に座り直していた。
捕まっている時に食事は出して貰えてたか聞くと一日に一回固いパンの切れ端と水を貰っていたそうだが、今日はまだ何も食べて無いらしい。
お菓子をお茶と一緒に出した。
まだ夕飯が出来るまで時間があるから少しお腹に入れて待っててと話した。
ロウ君の熱を測ると平熱に下がっていた。取り敢えず安心した。レイラちゃん達にもお菓子とお茶を出して留守を頼んだ。
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