20 続、お好み焼き
「エルフさん。お代わりまだ有りますよ。私も二枚はいつも食べるので、男性ならまだ入りますよね?」
「ん? い、いや、其方の分が無いのでは?」
「私、これを作る時は大量に作って、いつでも食べれるように冷凍しておくんです。今回も沢山作るので、遠慮しないで下さいね。」
「それならばお願いする。これは何という料理だ?野菜も練り込んであるし、あの薄オレンジの物は海で取れる物か?実に美味い。」
「薄オレンジ?ああ、エビですね。美味しいですよね。私も大好きです。これは『お好み焼き』といいます。小麦粉と山芋、卵、あとは刻んだキャベツと好きな具材を入れて混ぜるだけですよ。」
「小麦粉か、パンを作るだけではなく、このような料理に使えるのか。地方によって使い方が色々だな。
上に乗っている二種類のソースはこれ迄に出会った事の無い美味しさだ其方は素晴らしい料理人だな。」
「いえ、あのソースは二種類とも買って来た物ですよ。ソースは作ると大変手間が掛かります。それに、私、料理人では無いです。ついこの前まで普通の会社員だったんですよ。」
「料理人では無いのか、いや、これほど美味しい物が作れるならば私の国では料理人で食べて行ける筈だ。
うーん、残念だ。ソースの作り方が分かればレシピを買い取りたかったのだが、仕方無い。それならばもう一つ、聞いていいかな?」
寡黙かと思ったが、割と喋るエルフだわ。レシピは調べれば分かるけど、そこまで親しくないし、いいか。どうしても欲しいと言うなら一、二本は買ってきてあげてもいいわね。工事費払ってないからね。
「はい、構いませんよ。」
「この中に入っていたのは何だろうか?この白っぽくて伸びるものは。」
「それはチーズです。牛の乳から作られる物です。」
「牛の乳から出来ているのか、美味いな。其方、このチーズも作ってはいないのか?」
「ええ、これも買ったものです。作った事は無いです。チーズは何種類もあるんですよ。」
「コレが何種類も?食してみたいな。」
「買い物する所に何種類売ってるか分かりませんが、次回行く時に買って来ましょうか。他の買い物も有りますし、沢山は持てないので、少量ずつですが。」
「少量ずつで構わない。お願い出来るかな。」
「買い物には一週間に一度しかいかないので、そうですね、七日後以降に来てくださればご用意しておきます。」
「忝い、では七日後にまた訪ねよう。」
「分かりました。先ほど食べたチーズは今お持ちしますね。」
スライスチーズの伸びないバージョンを持って来た。溶けるとトロンとなるのでエルフは伸びると言っていたが、これは伸びる方のチーズではないのだ。
「これはまた薄いな、一枚だけ包んであるのか、他の物に触れないから傷みにくくなるのかな?」
「そうですね。私達が普段食べているパンは、四角の薄いパンなんです。この薄さと大きさはそのパンに乗せ安い形に作られているんだと思います。この幕の様な物、フィルムはエルフさんの言われる様に、傷み防止にもなって、一枚ずつ取り出しやすくする為だと思います。」
「良く出来ているな。この薄い幕を作るのも大変そうだ。」
「そうですね。石油製品から出来る物だと思いますが、どうやって作られているのかは私では分かりません。」
「そうか、残念だ。ここはずいぶん進んだ文明のようだな。
ん、チーズだけでも美味いな。成る程これはパンに乗せて食すと合いそうだな。」
この後お好み焼きをもう二枚食べてコーヒーを飲んで満足して帰っていかれた。玄関で脱いだブーツを履いて、
「七日後また来る。あんな料理は他には無い。素晴らしい。」
と言って目の前で消えたのだった。
いや、魔法使える方が素晴らしいと思うよ。美味しいのはソースとマヨネーズの力だしね。
そして日本の家屋は土足ではないからね。エルフといえど靴は確り脱いで上がって貰いました。
読んでくださりありがとうございます。




