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2 事務所


読んで下さりありがとうございます。


 



 階段を登って三階のドアを開けると、こざっぱりとした応接間付きの事務所があった。


 ソファーに案内され、事務所の部長と呼ばれる人が対応してくれた。


「おめでとうございます。うちの会社始まって以来の大きなプレゼントなんですよ。島では泳ぐ事も出来ますし、釣りも楽しめます。ログハウスが三棟建っていますので、長期休暇を取って仲間とバカンスするも良し、ゴールデンウィークや冬季休暇を一人で過ごすも良し、人に貸しても、自分が永住するのも良いですよ。」


「すみません、突然の事で、あの、島って、屋久島や大島の、あの島ですか?」


「ああ、そうです。その島です。あんなに広くは無いですがね。

 元々私共の会社の持ち物だったもので、社員の福利厚生にと購入して、設備も備わっているんですよ。」


「はぁ、あの、島って貰える物なんですか?税金とか凄くかかるんじゃないですか?」


「そうですね。固定資産税はうちの会社では年間一万五千円程だったと思います。個人持ちだと良く分かりませんが、小さな島なので。高くても三万は行かないと思いますよ。」


「えっ?そんなに安いんですか?というか、何処に有る島なんでしょうか?」


「場所はですね。九州の長崎になるんです。えーっと地図は、と、これですね。この辺の場所の小さな島ですよ。この地図では確認出来ないですね。スマホで見ると分かるかな?」


 ここって、お婆ちゃん家から近いわ。けど、小さな島って、船でいくの?


「場所は大体分かりました。島に行くには船で行くんですよね?定期的に船が出てる訳ではないでしょう?」


「ええ、最寄りの港町の漁師さんと契約して送ってもらうんですよ。海が荒れるとダメですがね。行く時は食料と飲み物は多めに持って行って下さいね。海が時化(しけ)て船が迎えに行けない時のために。」


「分かりました。」


「ここにはうちの会社で使っていたログハウスが三棟あります。

 私も何度か子供が小さい時に夏休みに行ったんですよ。

 しかし東京からこの場所に行くまでが遠くて、以前はバスが空港から直接近くのバス停迄行けてたんですが、利用者が少なくなると、その便も無くなってしまったんです。

 朝出発して、乗り換えを何回かしながら行くと到着するのはもう夕方なんですよ。帰りも同じ時間かかるので休みが往復の移動の為に二日消えるんです。それで社員も足が遠のいてしまいましてね。」


「あー、はい、分かります。うちの祖母がこの辺りに住んでるので、里帰りにも一日かかります。」


「そうなんですか!それならば良かった。里帰りついでにこの島で休日を過ごせますね。

 うちの会社もあそこを管理する為に人を雇ってたんですが、その方もお年で、近々辞めて島を出たいと言われてね。どうしようか考えて、それならば今年のイベントの商品にしようと言う事になったんですよ。」


「そうなんですね。あの、電気は通ってるんですか?」


「あー、そうそう、この島、十年前にソーラーシステムの板が取り付けられたので、その電気で灯とクーラーは点けられますよ。

 水は無いので雨水をタンクに溜めて濾過して風呂やトイレに使っています。飲み水は船で自分で運ぶ形になります。」


「建物に電気もクーラーもあるんですね。」


「そうです。でももう建物は三十年以上、電気類は十年経っていて古いですが、一応使用は出来ますよ。」


「どういう所か、一回見てから頂く事は出来ますか?」


「すみません。こちら当選品ですので今サインが頂けないのであればこの話は無かった事になります。

 貰っておいて、見に行って気に入らなければすぐに売却する事も出来ますから、気軽に考えて宜しいかと思いますよ。

 現地を見たいのであれば、まだ一月一杯は管理人さんが居るので、その間であれば現地のご案内は出来ますよ。」


「受け取ってからの見学と言う事ですね。」


「そうなりますが、お正月は私達も休みなので、その間でしたら見学も大丈夫です。行かれるのであれば、今日のうちには連絡致しますよ。明日から管理人さんはお休みになるので。」


「丁度明日から祖母の家に里帰りするので、一月六日迄ならば見に行く事が出来ます。」


「そうですか、ならば一月六日の日に現地見学と言う事で宜しいですか?船はこちらで漁師さんに頼んでおきましょう。では一月六日、現地の港の佐竹さんという漁師さんに頼んでおきますので、この佐竹さんの電話番号を控えて下さい。六日の朝九時の待ち合わせで宜しいでしょうか?。では詳しい待ち合わせ場所はお電話で直接お聞き下さい。」


「わかりました。お願いいたします。手続きの方は?」


「後日、住民票と印鑑証明とその印鑑が必要です。取り敢えず今日はご署名だけでも頂きたいですが、宜しいですか?こちらを良くお読みになって署名して下さい。」


 うん、証書にはおかしな所は無さそう。住所の場所の土地と建物を年末のくじの景品としてお譲りする旨が記載されている。譲り受ける人、新所有者の欄に私の住所と名前を記載した。



「残りの書類は年が開けてから早めにこの事務所にご持参下さい。私の名刺をお渡ししておきますね。」



よろしくお願いします。

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