17 メモ
二月に入った。
管理人さんが去って行った翌日、私は管理人用の建物に引っ越した。
外から見たら小さめのログハウスで可愛いと思っていたが、中に入ると意外と広い。六畳のダイニングキッチンに四畳半の寝室、クローゼットと押入れ、トイレとお風呂付き。ロフトもあって、そこにはベッドが二つ置いてあった。お布団セットの新品もベッドの上に袋に入ったまま置かれていた。
一階のベッドにも、古い布団は無く、新しい布団セットが袋に入ったまま置かれていた。部屋は綺麗に使ってありタバコも吸わない人だったみたいでヤニの汚れも無かった。お掃除もされていて、軽く拭き掃除だけをして荷を運んだ。
この島に来てから使わせて貰っていたログハウスのお布団をそのまま持って来て、ここのと交換した。
この新しいお布団は数年前に交換した時のを管理人さんは使わずにいたのだろうか。まさか新しく用意した訳では無いだろうと思うが。
管理人のお爺さんが引っ越す時に船に運んだあのゴミはきっと布団だったんだ、とこの時私は気づいた。飛ぶ鳥後を濁さず。天晴れである。
元々荷物が少ない私は午前中に引越しが終わったので、裏の方にある畑を見に行った。今は冬なので何も無いが、畑の周りには今は咲いてないが、花や木も植えてあった。何の花か分からないが、早く咲かないかなと待つのも楽しみだ。
そういえばこの近くに水を引いて欲しいとエルフに頼んだのだった。
十日後と言ったので、明日、本当にくるかな?
あの人本物のエルフなんだよね。どこから来るの?
この前管理人さんに前に私を尋ねて来た人の顔覚えてますか?って聞いたら、顔は覚えてないが、作業着を着た三十位の男の人だったと言っていた。
外人さんでしたよね?と質問したら、
「んーにゃあれは日本人ばい、顔は見んやっとね?」
【いいや、あれは日本人だよ、顔を見なかったのかい?】
と反対に聞かれたので、いや、芸能人の誰かにそっくりだと思ったので、聞いてみたんです。と答えておいた。
本当に幻影魔法を掛けていたのだろうか、エルフの言った通りだった。
ではこの島が本当は小さな島って事?管理人さんを送った後、買い物リストのメモの一番上に書いていたメモを見た。
[島を出たら島の広さを島以外の場所で書く事]
あの時エルフに言われて書いたメモだ。
新しいメモのページにこう記してあった。
[島の広さはぐるりと歩いて約一時間、大体四キロメートル程の周囲、広いと思う。角の兎とエルフにも会った。二月一日、最寄りの駅にて記載。(島以外の場所)]
島の外でも、島に戻っても記憶は変わらない。私だけが特別なの?もしかして島の持ち主だから?だって、水道業者が行くからって言ってたのはあの事務所の部長さんだ。名刺も貰ってる。
電話して聞く?エルフに水道工事頼みましたか?って。いやいやいや、頭可笑しいと思われてしまうわ。
私は携帯の地図でこのあたりの島の大きさを見てみた。
無い、周囲が四キロもある島なんて、この辺りには無い。
わりと近い場所に少し大きめの島はあるが、そこは周囲が六.五キロメートルだ。それにこの島には島民が居る。この島では無いし、多分私の島より少し大きい。
地図で見ると本当に豆粒みたいな島が沢山ある所に私の島はある筈なのだ。いや、有るのだろう。ただ、この島に上陸すると何故だか島が広がっているのだ。摩訶不思議である。
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