16 別れ
管理人さんがいる間に島の仕事を一緒にやりながら教えてもらった。
浜に打ち上げられる漂流物、主にゴミを拾ってゴミ袋に詰め、漁師の佐竹さんが来て買い物に行く時に一緒に船に乗せて向こうの港の側のゴミの収集場まで運ぶ。
乾いた漂流物の木は炊き出し場の側に積んである。以前は薪代わりに使われていたらしいが、量が少なかったので、火を使う人は個人で炭を持ってきて貰っていたようだ。今は使う人も居なくなったので結構な量積んである。たまに管理人さんが、取れた魚や買って来た肉を焼くのに使っていたそうだ。
山に行く道とログハウスの周りは草が茂るので毎年草刈りが欠かせないという。若い時には鎌でかっていたが、腰を悪くしてからは草刈機が会社から支給されて楽になったと言っていた。
管理人用のログハウスの裏に道具が置かれている物置があった。見せてもらったら、結構広い小屋だった。
大小のスコップ、鍬、箒、塵取り、熊手とテミ、落ち葉をかき集めるのが熊手で塵取り代わりがテミだ。テミは袋に入れる時に便利な籠でここのはプラスチックで出来ているが、祖母の家には竹で編んだ物があった。
あとはバケツや鎌、鉈と斧、ノコギリ、ハンマーやタガネ、薪割りの台だった切り株の様な木、これらは昔使っていたそうだ。
ソーラーパネルが出来るまでは薪で沸かす風呂が大きな建物だけに付いていて、お客さんが来たら沸かしていたそうだ。
だから薪割の道具があるのか。
草刈機もここに仕舞われていた。使い方を教えてもらった。
石を弾く事があるので安全メガネと帽子を被り、長袖長ズボンで作業する。足場の確りした所を確認して動かすように言われた。足を滑らせ転ぶと危険だ。躓かないようにゆっくり移動しながら草を刈っていく。
他にも背負い籠や釣り道具、ドライバー、釘、ビス、インパクト、電動ドリル、軽量なチェーンソー、木の板、噴霧器、ハッカ油もあった。
作業する前にハッカ油を服にシュッとスプレーしておくと虫が近づかないらしい。ハッカ油は私も持ってて、布団に掛けてダニ予防にしていた。
個人用に長靴と蜂に刺された時用にポイズンリムーバーという毒を吸い出すものがあるといいと教えてもらった。
こんな道具使うのかな?大工さん?と思うような物が沢山詰まっていたが、いつかお世話になるかもしれない。
物置には去年蒔いた残りの野菜の種もあった。
春や秋になると山道からちょっと逸れると山菜やきのこが取れ、桑の実やアケビも取れるそうだ。
これは胸が踊る。春になったら山菜取って、その次は桑の実だな。野菜も春先に植えよう。
管理人さんとは一緒に釣りもして、この砂浜では貝が取れる、あそこでは大きい魚が釣れると何から何まで教わった。
管理人の大瀬さんは一月三十一日まで確り働いて、二月一日に迎えの船に乗り込んだ。街の港まで私も一緒に船に乗った。電車で福岡まで行くそうだ。
駅まで行って漁師さんと二人で見送った。大瀬さんはやっと孫に会える、とめじりの皺を深くして黄色の幸せ色の電車に乗って去って行った。
お孫さんがまだかまだかと首を長くして待ってるだろう。そう想像すると自分の口角も上がっていた。
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