14 エルフ
早速工事してもらった飲める水でお湯を沸かしている。ガスではなくIHだ。水道管に溜まってた雨水を出し切って、綺麗な水を汲んだ。
「紅茶が良いですか?コーヒーが良いですか?」
「コーヒー?とは?」
「飲んだ事ありませんか?では飲んで見ます?インスタントですが。」
「では、そのコーヒーとやらをお願いする。」
「はい、どうぞ。良かったらお煎餅も食べて下さい。コーヒーには合わないかもしれませんが。
コーヒーは甘い方が良ければ砂糖とミルクをどうぞ。入れてかき混ぜると円やかになりますよ。」
「そうか、先ずは入れないで試してみよう。ん、香りはいいな。・・・ほう、これは美味い。アッサリしているがこの香りが何とも良い。口の中から鼻に広がるな。残りの半分は砂糖とミルクとやらを入れて頂こう。」
「半分なら、お砂糖は少しで良いですよ、スプーンに摺り切り一杯程とミルクは私が入れましょう。」
「うむ、すまないな。これを混ぜればいいのだな。・・・おお、こちらもまた美味いな。体を動かした後はこちらを飲みたくなるかもしれんな。ほんのりと甘い。」
「そうですね。ところで、お話とは?」
「そうであった、其方には私の姿がエルフに見えているのだったな。」
「ええ、そう見えてますよ。」
「初めに会ったあのご老人は、私の事は灰色の作業服を来た、黒髪短髪の其方の国の男と認識しているはずだ。」
「え?どう言う事ですか?」
「私が幻影の魔法でそのように見えるようにしたのだ。エルフであると認識すれば何処から来たのかと要らぬ憶測をするであろう?」
「ま、まあ、そうですね。何処から来たのですか?」
「この世界では無い所だ。」
「そーなんですね。なるほど。凄いですね。」
「いや、信じて無いだろう。」
「いえいえ、そう本人がおっしゃるのならばそうなんでしょう。日本にもいらっしゃいましたよ。そう言う方が、何とか星から来た、何とかリンって名前だったかしら?」
「やはり信じて無いな。まぁしょうがない。信じ無くとも一応話しておく。
この島は私の世界にある島と重ねてこの大きさになっている。本来のこの島はずっとずっと小さいのだ。
島の外から見る人には、いつもの小さい島のままに見えている筈だ。
この島に入った者はこの広さを知るが、島を出ると記憶が小さい島で過ごしたようにすり替えられているから、この世界の者が気付く事は無い。」
「え?私の記憶は広い島のままでしたよ?」
「島を出ての記憶か?」
「そうです。」
「それは又島に来たから記憶が正常になったのではないか?自分では気付か無い筈だ。」
「んーそうなのでしょうか?東京に居た時も、あの兎は何だったのだろうって考えて、島を一周一時間掛けて歩いた事もあちらで思い出していましたよ。」
「そう言われてもな、ここに来たのでそういう記憶になったのかもしれん。
次回この島を出た時に紙に記しておくといい、島の外でその事を記すように今記した方がよいぞ、[島を出たら島の広さを島以外の場所で書く事。]とな。」
「成る程、島を出ると記す事まで忘れてしまうって事ですね。分かりました。スマホにメモしておきます。」
「うん、何かに記すのだな。そうした方がいい。それで確かめられるだろう。今兎を見たと言っていたな、それはこちらの生き物ではないのか?」
「私が見たのはおでこに赤い角のある白い兎です。その兎に突撃されそうになったんです。」
「角の有る兎か、それと遭遇したのは何処だ?案内してくれ。」
「良いですよ、ちょっと待って下さい、カバンを持って来ますから。」
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