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側に居るお仕事とは、一体なんだろう。
私なりに考え、秘書的なものが思い浮かんだが異世界の常識さえ知らないのだから邪魔にしかならない。
はてさて、今日はどうコミュニケーションが取れるか。
屋敷の敷地内にある大きな木の根元で本を読んでいるご主人様。それに付き添い側に居る私。
流れる時はゆったりと、優しい時間が過ぎる。
チラリと盗み見ると改めて、異世界の美醜の常識がおかしいと思う。
どう見ても美しいご主人様。けれど仮面をつけて生きていた程この世界では醜いとされているんだろう。
風に靡く漆黒のサラサラした髪にアメジストのような煌めきのある瞳。主張し過ぎない高く形の良い鼻に色っぽい口元。
手足が長く本当にモデルさんのよう。
私は自分が面食いだとは思っていなかったけどこれほど美しい人を目の当たりにすると、どうしてもうっとりと見惚れてしまう。
「…カエデ、そんなに、その、見られると。」
恥ずかしい、と照れ始めるご主人様。その照れ方も可愛いくて何とも素敵だ。
「すみませんご主人様、見惚れてしまって。」
「そんなはず無いだろう?」
不思議そうにこちらを見る。
私は素直に答えたが中々わかってもらえないジレンマ。
「私の目にはご主人様はとても綺麗に見えてますよ。」
微笑んでご主人様の手に触れる。
顔を赤く染めながら触れた指先が動いて握り返してくる。
「…カナデは特別な子だな。」
手を握り合って話は続いた。
そろそろ名前を呼んでくれないか?と、紫の瞳に見つめられる。ご主人様の名前はアレンというらしい。
「ではこれからはアレン様、と呼びますね。」
とても嬉しそうに微笑むアレン様。
そんな優しい表情ができるのに美醜の価値観で避けられていたなんて信じられない。
私は元の世界へ戻れるまで彼の側にいようと自分に誓った。
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