27
肩を揺さぶられ目を覚ましたカナデ。
聖女はホッとした顔を見せて涙を流した。
「成功です。カナデさん、胸を見て下さい。」
言われるがまま自分の胸を見ると何か紋様のような跡が残っていた。
「…これは、何ですか?」
擦っても落ちない不思議な紋様。
「水の神殿が貴女を巫女として受け入れたのです。つまり貴女は清浄な存在。加護を得た今、何も恐ることはありません。」
勝手に震える唇。
「…これで、アレン様の側に居ても良いのでしょうか?」
「えぇ!勿論です!アレン様にとって貴女がどれだけ大切な存在か…!」
感極まった聖女はカナデの手を持って泣く。ぼろぼろといくつも頬を涙が伝っていた。
カナデもその姿を見ていたら自然と涙が溢れ出る。
「…帰りたいですっ…!アレン様のいるお家へ…!」
ひっく、ひっく、と啜り泣き目を擦り言いたくても言えなかった甘えを今一度口にした。
カナデは聖女に服を着させてもらいながら帰り支度をする。
そこへ高位の教会関係者が禁区の森入口の点検に来た。
封印が解除されていることで教会の者は不審に思い水の神殿前までやって来た。
そして、聖女と女が一人。本来なら聖女のみが許された場所におり、教会の者は何故なのか問いかけてくる。
「聖女様!どういうことですか!?」
「神聖な場所です。お静かにしてくださいませ。それに、何も問題は御座いません。この方は水の神殿が認めた巫女様です。これからは私の補佐をお願いするつもりです。」
ふんっ、と胸を張り教会の者に臆することなく言い放つ。小声で話を合わせるようカナデに囁く。
「…こ、これからよろしくお願い致します。」
ぺこりと礼をし、巫女の証である胸元の紋様の一部をほんの少し見せて教会関係者を黙らせる。
「…し、しかしっ…前例も無く、聖女様ぁ…」
どよめきの中、全く気にせず腰に手を当てて胸を張り高圧的に聖女は振る舞った。
「前例なんて、無くて結構。これは聖女ユウリと水の神殿が選んだ決定事項です。今後この件に関して意を唱える者は教会を追放させます!」
ピシャリと言い切った聖女になす術なく、教会関係者達は押し黙った。
凡ゆる疑問や意見を受け入れず、聖女はカナデの手を取り、帰路につく。
揺れる馬車の中でカナデは疲れたように目を擦りながら話し始める。
「聖女様、かっこよかったです…。私、何だか生まれ直した気分です。」
眠たそうに手で隠しながら欠伸をするカナデ。聖女は彼女の頭を横にするよう促した。膝枕だ。
「生まれ直したって、表現。合っていると思います。貴女は確かに清浄な存在。水の巫女。ふふっ、到着するまで眠っていて大丈夫ですわ。」
眠りにつくカナデの頭を撫でながら聖女は馬車の窓を見やる。これからの事に想いを馳せながら。
いいね、ブックマーク、評価ありがとうございます!




