18
古くからある魔術師の祭典とも言われる魔術大会。
私はアレン様を応援すべく関係者席にミラとキラを連れて観戦に会場へ来た。
会場は屋外でアリーナ席もあり一般の民も観戦が可能でとても広い。
「私が対戦するわけじゃないのに緊張してきました…。」
「アレン様が負けるわけがありません。安心してご観戦下さい。」
キラが緊張をほぐすよう、カートで運んできた香りの良いフルーツティーを淹れてくれた。
それをこくこくと飲むと一息。
周囲の歓声が大きくなり、開会式が始まることを知らせた。
私は大勢の参加者の中からすぐにアレン様を見つける。
黒い軍帽に黒い軍服姿。仮面でありながら所作が一つ一つ美しいアレン様を見間違うようなことはあり得ない。
いつもより勇ましい姿に惚れ惚れする。
「ミラ、キラ、アレン様凄く素敵ですよね。」
「「えぇ、素敵です。」」
二人は声を合わせて応えてくれる。
「あ、こっちを見てくださった!」
ほんの些細な事に私は一喜一憂。彼に翻弄されるのはむず痒くも嬉しい自分がいた。
小さく手を振ってみると、アメジストの瞳が細められた。
関係者席は会場に一番近い席。遠いように思えたが小さな動きもしっかり見ることができた。
「はぁ、アレン様…カッコいい…。」
素敵、カッコいいを繰り返す私をクスッと笑い合うミラとキラ。アレン様に夢中ですね、とフルーツティーのおかわりを注いでくれた。
今まで魔術師団のローブ姿かタキシード姿しか見たことが無かったから軍服姿は新鮮だし勇ましくてあまりに素敵過ぎて心を持ってかれる。
これからはたまに着てほしいと頼んでみようかと考える。
そうこうしている間に開会式は終わり。第一開戦が始まる。アレン様は優勝三連覇中なのでシード権がついていた。
つまり出番はまだまだということ。
戦いが始まる。
ぶわっと風が舞い、慌ててスカートを押さえる。選手の風魔法が観戦席まで届くなんてレベルの高さが伺える。
それでも詠唱破棄をする人はおらずアレン様がやはり凄い人なのがわかった。
第一開戦は深緑の髪の方が勝利した。仮面をつけておらず、私の目では素敵には見えないが観客席からは黄色い声が上がっていた。
そうだ、美醜の価値観が違う事を思い出す。
関係者席に知り合いでもいるのかウインクをこちらに寄越す。一体誰に送ったのか知らないが全くときめかない。
「カナデ様、大丈夫ですか?」
「えっ?何がですか?」
キラは私の目が特殊だということを知っているから先程の光景について平気か聞いてくれたのだった。
「あぁ、大丈夫ですよ!ミラとキラで目の保養するから。」
二人は仮面越しにぽぅっと赤面した。
「本当は外して欲しいけど、外だし我慢してます。」
「カナデ様、お気遣いありがとうございます。」
二人は頭を下げて礼をする。
耳まで赤くなったキラは話を逸らすように第二開戦が始まることを教えてくれた。
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