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一晩考えて、結局のところ見た目が好みのという理由で聖女ユウリと貴族であり爵位も持っているエメロードの結婚は王宮で執り行われた。
王様をはじめ、大勢の有力貴族達が祝福の中、1人だけ気持ちが憂いていた。
聖女ユウリ、彼女は美醜だけでエメロードを伴侶に選んだが会話も少なく事務的なことしか話せてはいない。
「これで俺も王宮での立ち位置が上がる。ユウリのお陰だ。」
「…それは、良かったです。」
甘えられない空気に言葉数は少なくなる。
確かに選んだ男達の中でも好みの顔。だが、アレンのような優しい空気は纏ってはいない。
「わかっていると思うが、君の我儘を聞くのは国の為。これからも宮殿での祈りは一日も欠かさず続けてくれ。」
緑の瞳に見つめられ萎縮する聖女。こんな筈じゃ無かった。
もっと、アレンとカナデの仲のような関係になりたかった。いや、諦めるのはまだ早いと、思い直し、聖女も負けずに見つめ返す。彼女はこの世界では美しいはずだ。
「はい、エメロード様。お役に立てるよう頑張りますので夫婦としても仲良くしていきましょうね。」
彼はその言葉にふっと鼻で笑うと颯爽と宮廷魔術師団が集まる会場へ向かって行った。
何かおかしなことを口にしただろうか?聖女は頭を悩ます。
エメロードは聖女との婚姻によって宮廷魔術師団での位が上がりアレンと同じ特等魔術師になった。
聖女の加護が魔術に作用してより一層の力が着いたことによる理由であった。今まで彼の容姿を醜いと蔑んできた者を蹴散らし、今後開かれる魔術大会でもきっと良い成績を残すだろう。
「エメロード、ちょっと待ってくれ。」
「何だアレン、俺は忙しいんだ。早めに切り上げてくれ。」
廊下で声をかけたのはアレン。忙しなく書類の束を持ち直し素っ気なく返事をする。
「あれでも聖女様だ、面倒かもしれないが国の魔力の流れが変わるようなことがあったら、」
「あったら、国の一大事だから優しくしてやってくれ?」
だろ?、と片手で長い前髪を掻き上げた。
それにアレンはわかっているなら良いと、話を切り上げ一緒に廊下を歩き出す。
横並びに歩く速度は早く二人の忙しさが垣間見える。
エメロードは溜息をつく。
「俺は美しいからといって、彼女の全てを愛せない。」
お前が羨ましいよ。と、呟いた。
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