15
遂にこの日が訪れた。
アレン様と結婚。私は浮き足だって緊張していた。
真っ白いウェディングドレスを身に纏い、キラにベールをセットしてもらう。
「お美しいです…女神様のようです。」
ミラとキラは初めて会ってからずっと世話をしてくれていたので、私の小さな変化にもよく気づいてくれていた。
今日の私は美醜を超えた美しさがある、とミラが言った。
白いドレスに白いベール。全身白くてブーケも白薔薇だ。
窓から入る日差しで白が反射して自分が眩しい。
「私、アレン様と結婚できるんですよね…。」
改めて、奴隷として買われた身。舞い上がる気持ちの前に身分差に急に不安に陥る。ぽつり、奴隷だったしなぁ…呟く。
「そんなもの関係ない。」
部屋に入って来たのはアレン様。
呟いた言葉はしっかり聞かれており、愛を持って否定してくれる。
「…アレン様、いつも美しいけど、今日は一段と綺麗でカッコいいです。」
白いタキシードに左胸に白薔薇。
白にサラサラの黒髪が映えてとても綺麗。アメジストの瞳も真っ白い姿の私を映すと更に輝いて見えた。
「カナデは俺の宝物だ。とても綺麗だよ。」
するりと私の頬を手の甲で撫でて笑った。
小さなチャペル。屋敷の庭で執り行うことになった。
色とりどりの植物や花がとても綺麗な庭。大きな木は私がアレン様の側にいようと誓った場所。
客人は少なくアレン様の気を許した方々のみの参列だった。
その中にルディ様もお祝いにやって来てくれた。
「結婚おめでとう。アレンに飽きたら俺のとこに来ると良い。ははっ!」
参列者達は先に立食でお酒も出ていたのを思い出す。ルディ様はもうお酒が回っている様子で心配をする。
「ルディ様、大丈夫でしょうか?」
「あぁ、適当に呑んでるんだろう平気だ。」
白い手袋をつけた手で私の手を引いてエスコートしてくれるアレン様。歓声の中、赤く長細い絨毯の上を歩いてゆく。
おめでとうの声が沢山聞こえてくる。
陽だまりの中、花弁が舞っておりとても綺麗。
神父様の前に2人が揃うと祝福の言葉を述べられる。
異世界ながら洋風の式典のようで安心感があった。指輪の交換もあり元の世界に戻ったような感覚が湧き上がる。
私のリングは内側にアメジストの石が埋め込まれたプラチナのリングだ。アレン様の指輪はブラックダイヤが埋め込まれている。互いの瞳の色を持とうと約束をしていた。
そして、誓いのキスを。
ゆっくりと私のベールを上げて顔を上に向けられる。身長差があるため、アレン様が少し屈むような形でキスをする。
唇がくっつき、離れ、またくっつく。何度も繰り返すものだから私はアレン様の胸をとんと緩く叩く。
「…すまない。俺の方が舞い上がっているようだ。」
「…いえ、私の方こそ。」
かぁっと顔を赤くしてアレン様を見つめる。最後に私から背伸びをしてキスをする。
それには客人達は最高に盛り上がっていた。
心地よい晴れの日。世界で一番幸せだと感じた瞬間だ。
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