かかしにご注意!
ストローマン論法の解説と対処方法です。
ストローマン論法というものがあります。つまりかかしの論法ですね。
ストローマン論法は相手の主張の一部を誇大させ、歪ませて反駁する。時には前提としてあり得ない理論で批判を展開するものです。
とある作品の感想で典型的なかかしさんを発見したのですが、実例として紹介するのは控えます。
例えば、ダイエットで一番大切なことはバランスの良い食事を取りつつ、アンダーカロリーになるようにコントロールすることだ、という主張があるとしましょう。
かかしさんは「アンダーカロリーなら何も食べないことが正しいと言うことだが、それでは死んでしまうから間違いだ」みたいなことを言うわけです。
かかしさんは主張の一部である「アンダーカロリー」という部分だけを切り取り、その上で「カロリー摂取を少なくすることが正しいなら、つまりは0にすることが最も正しいと主張している」とねじ曲げて、「そんな不可能なことは間違いだ」と反駁するわけです。
こうした論法の厄介な所は一見すると正しそうに見えるところ、一応は主張に沿って見えるために反論が難しいところです。
上記の場合ですと、「アンダーカロリー」というのはあくまでも「総摂取カロリーが1日の消費カロリーを下回ること」を指すものであり、決して0にすることが正しいとは言っていない。そう反論できます。
こうしたかかしさんには2種類の人がいます。
相手の主張を理解し、自身の論法が間違っていることも理解した上で相手を言い負かすためにわざとやっているタイプ。
自身の主張を間違っていると思っておらず、本心から主張しているタイプ。
どちらも厄介ですが、厄介度では後者が圧倒的です。
ではかかしさんにはどう対処すべきでしょうか。
まず、相手の主張の論理が飛躍している部分を丁寧に見つけます。
ストローマン論法では必ず論理の飛躍、破綻があります。そもそもの主張の要点や対立軸をねじ曲げて、批判のために凡そ受け入れられない条件へと誇大するためです。
ですから、その齟齬を洗い出し、自身の主張との相違点をつくこと、自身の主張とかかしさんの反論が噛み合っていないことをつくんです。
この場合、かかしさんの対応は概ね2通りです。
間違いを認めるかわりに、別の箇所をまたねじ曲げてくる。
間違いを認めず、自身の主張の正当性を訴える。
上のパターンはわかってやってるタイプの方がやりますね。無理筋の言い分であるとわかっていて、弁論に勝つためにやっていますから、不利を悟れば、一旦引いて、別の場所を攻めてきます。
上の例文なら、「バランスの良い食事をするためには食費がかかり、自炊しなければいけないので時間もかかるので無理だ」とかですね。
これも一見すると正論のようですが、「バランスの良い食事」=「自炊」という図式は成立していませんよね。食品に含まれる栄養素は外食でも、加工品でも「表記」されていますから、そこから割り出せますし、確かに「ジャンクフード」に比べてバランスの良い食事は高くなりがちですが、一般の方が健康に気を付けて食事する範囲なら「無理なほど高額」になるとも言い切れません。
そもそも、この主張は「正しいダイエットの方法」なんであって「方法を行うさいの負担」は余程非現実的な水準でない限りは論点にはならない筈です。
対立軸としては「ダイエット方法の是非」であるべきなんです。なので対案を出すのが正しいんですよ。
かかしさんは「主張自体の正当性」を認めた上で反駁したいがために「主張と直接関係ない」ところを争点にするんです。
なので、対案を要求してみましょう。
後者の間違いを認めず、正当性を訴えるパターンの場合は、とにかく自分の主張が正しいと思っているタイプに多いでしょう。
これは対処が難しいです。
何せ、話が通じませんから。スルー出来るならスルーしてしまうのが正解ですが、そうでない場合は相手の主張の破綻を丁寧に解説し続けるしかありませんが、だいたい徒労で終わるので厄介です。
ひとつ方法があるとすると、このタイプは詰まる所はあなたの主張自体を間違いと決め付けているか、認めたくないのです。
上の例文なら「ダイエットはアンダーカロリーで食事をしながら時間をかけて行うしかない」という主張を間違いだと思いたい、反対に考えたなら「楽で一杯食べて短時間で痩せたい」という理想が崩されたくないと考えることが出来ます。
こうして、相手の「理想」を浮き彫りにすることで
「あなたは楽に短時間でたくさん食べて痩せられるという方法を知っているのでしょう。なら教えてください」
こう言って見るのです。
これに対して、そんなもの知らないと言えば反駁している論拠が無くなってしまいます。
知っているとあれこれと理論を出して来たなら、その理論の矛盾や間違いを指摘していけばいい。
ここまでしても、結果として主張を曲げてくれない方もいますが、周りで見てる方にはどちらが正しいかは理解してもらえると思います。
ディベートなどでも使われる「ストローマン論法」ですので、対処方法を知っていると便利です。
かかしさんはとにかく、前提条件がおかしいことを、さも正論のように聞こえる内容にして攻めてきますから、中身が空っぽの「ストロー」だと見抜くことが大切です。
役に立てたら幸いです。