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狂戦士は平凡な貴族になりたい ~新米領主の領地開拓スローターライフ~  作者: 結城 からく


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第81話 新米貴族は観戦する

 決闘の準備を進めていると、遠くから歓声が聞こえてきた。

 どうやら闘技場で何か動きがあったらしい。


「どれどれ」


 オレは机に置かれた箱型の魔道具を弄る。

 すると、壁の一面に映像が投射された。

 ちょうど闘技場の中央部を映している。


 たくさんの観客が盛り上がる中、二つの出入り口からそれぞれ男が登場した。


 一方は剣を持つ禿げ頭の戦士だ。

 もう一方は両手に鉤爪を装着した長身の戦士である。


 互いに防具は最低限で、革と鎧を貼り合わせただけのものだった。

 かなり心許なく、相手の攻撃を防ぎ切るほどの性能はないだろう。


 二人の戦士は一定の距離を保って対峙する。

 合図を待っているのか、殺気を高めながらも動かない。


 映像では音声が聞こえないが、たぶん戦士達の説明がされているのだろう。

 おおよその段取りについては知っている。


 これは賭け試合だ。

 オレとランクレイの決闘の前座に違いない。


 せっかくなので大々的な催しにしようという魂胆だろうか。

 これだけの娯楽は滅多に開かれない。

 息抜きだけでなく、経済も循環するはずだ。

 映像越しでも、飲食店らしき屋台が設けられているのが分かる。


 オレは椅子に腰かけると、ボトル入りのワインを呷りながら映像に注目した。


 ほどなくして戦士達が同時に動き出した。

 互いに距離を詰めて戦闘を開始する。


 剣と鉤爪が衝突し、火花が散った。

 続けて禿げ頭の男が刺突を繰り出す。

 長身の男は、鉤爪で弾いて危なげなくやり過ごした。

 禿げ頭の男は休まずに突進し、真正面から斬りかかる。


「ほう」


 オレはその足運びに注目した。

 その動きになんとなく違和感を覚える。

 純粋な剣士かと思いきや、そういうわけではないらしい。

 隙あらば強烈な蹴りを放つだろう。


 対する長身の男は斬撃を的確に防いでいく。

 連撃を捌きつつ、合間に反撃を割り込ませていた。


 禿げ頭の身体に細かい傷が増えていくが、僅かに血が滲むばかりだ。

 強靭な肉体を死に至らしめるほどではない。


(ほぼ互角か)


 オレは巨大な燻製肉に齧りつきながら考察する。


 どちらもそれなりに戦い慣れている。

 暴力と技巧を掛け合わせた展開になりそうだった。

 一戦目から意外と悪くない試合である。

 出番が来るまで退屈になるかと思ったが、しばらくは楽しめそうだ。

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