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狂戦士は平凡な貴族になりたい ~新米領主の領地開拓スローターライフ~  作者: 結城 からく


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第79話 新米貴族は決闘に備える

 それからの日々は愉快なものだった。

 オレは復活した三人の王を連れ回して、付近の賞金首を片っ端から抹殺していった。

 復旧作業中の傭兵ギルドで報酬を荒稼ぎし、その金で王都内に屋敷を購入した。

 没落した貴族から徴収されたものらしく、寝泊まりに城を使うのも面倒になってきたので購入したのだ。


 金については報酬だけで足りた。

 それどころか、余った分で毎日のように贅沢三昧をしている。

 使い切れないほどの金は三人の王にも分け与えていた。


 屍王は土産を大量に購入した。

 特産の菓子や紅茶等を山のように収集していた。


 その中には無骨な魔術武器や、精巧な調度品も含まれていた。

 どちらも屍王の好みと外れている気がする。

 訊けば留守番を担う炎王と氷王のために渡すつもりらしい。


 意外な答えだった。

 五人の王はあまり仲が良くない。

 最低限のやり取りすら難しい者もおり、屍王もその一人だった。


 他の王には嫌悪と無関心を半分ずつ抱いていた印象だったが、色々と心境の変化があったらしい。

 まあ、単純に他の王と結託して、オレを殺したがっているだけかもしれないが。

 エリスを好む彼女は、一方でオレを毛嫌いしている。


 雷王は配下として使えそうな奴隷を購入していた。

 ロードレスに送って鍛え上げる予定らしい。


 奴隷には同情してしまう。

 あの雷王に見込まれた以上、死なないように頑張るしかない。

 半年後には屈強な兵士になっているだろう。


 雷王の配下には楽しい連中が多い。

 オレをそれなりに楽しませられる実力者もいた。

 人間という枠組みを捨てて、アンデッド化することで限界を超越する者も多い。

 そこには少なからず雷王への畏怖と憧れがあった。


 個人的には好ましい感情だ。

 闘争と勝利のために他を捨てられる者は強い。

 もちろんオレ自身もその類に入っているだろう。


 毒王は怪しげな呪術道具を購入していた。

 それに加えて、独自の拠点を確保した。


 賞金首狩りには参加せず、いきなり行方を眩ませることがあった。

 たぶん独自拠点に籠っていたのだと思う。

 次の日には帰ってくるので気にしていなかったが、彼女の中で何らかの作業が進んでいたようだ。


 密かに調査していたラトエッダに尋ねると、オレの暗殺と王都の支配を企んでいることが判明した。

 この国そのものを乗っ取ろうとしているそうだ。

 引きこもり体質のくせに、随分と大それた計画である。


 とりあえず毒王を拘束して、何度か半死半生にして、心が折れたところで話し合いの場を設けた。

 結果、しっかりと反省してくれた。


 別に王都がどうなろうと興味はない。

 今の時期に余計な悪事を働かれるのは面倒だ。

 せめて決闘が終わってからにしてほしいものである。


 そのような出来事を挟みながらも、決闘開催の当日が訪れた。

 朝から俺達は闘技場へと向かう。


 周囲を歩く人々も揃って同じ方向に歩いていた。

 俺達はその中を紛れるようにして移動している。


 彼らは闘技場の観客だ。

 死闘を楽しみにしている連中であった。

 賭けに興じる者も少なくないだろう。


 彼らがオレに向ける視線には、普段の怯えとは異なるものがあった。

 それは熱意を含んだ期待。

 久々の娯楽に浮き足立っているらしい。


「鬱陶しいな。皆殺しにしてやろうか」


 オレは舌打ちしたい気持ちを抑えて呟く。

 無意識に滲む殺気が場を軋ませていた。

 それによって近くにいた数人の住民が悲鳴を上げる。


「落ち着きたまえ。彼らに当たり散らしたところで意味はないよ」


「意味は無くともスカッとするぜ」


「その時は彼らに止めてもらうことにするよ」


 ラトエッダが後ろを指差す。

 そこには三人の王が追従していた。


 雷王だけはやる気に満ち溢れているが、他の二人は露骨に嫌がっていた。

 よほどオレと戦いたくないようだ。

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