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狂戦士は平凡な貴族になりたい ~新米領主の領地開拓スローターライフ~  作者: 結城 からく


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第47話 新米貴族は領外へ発つ

 その後、僕は子爵と共に街の様子を見て回った。

 予想通りと言うべきか、どこもかしこも際限なく発展して賑やかだった。


 経済が上手く循環しているのが目に見えて分かる。

 以前の面影など完全に無くなっていた。

 本当にあの村なのかと疑いたくなるが、子爵が僕を騙す意味もない。

 やはりこの半年で急速に成長したのだろう。


(ルードは、これを戦いで手に入れたのか)


 細かな調整や計画は、きっと他人任せに違いない。

 しかし勝利を繰り返して、五人の王を下したのは間違いなくルード・ダガンである。

 こればかりは覆しようのない真実だった。


 長年に渡って誰も統治できなかったロードレス領を、あの狂戦士は一つにしようとしているのだ。

 まだ完全な支配ではないものの、きっと時間の問題だろう。

 よほど不測の事態でも起きない限りは、僕の領地として認められるはずだ。

 ルードがそう決めた以上、住民が逆らうことなどできやしない。


 これだけの偉業を成し遂げられるとは、当然だが凄まじいことである。

 あろうことか、ルードはその成果を僕に預けた。

 きっと面倒に思っただけだろうが、託されたのは事実であった。


(頑張らないといけないな……)


 もしも失敗したら、どうなるか分かったものではない。

 此度の召集は、絶対に成功させる必要があった。

 僕が恐ろしいのは王国の権力ではない。

 精神の裏側に潜む狂戦士なのだから。


 そうして二日後。

 僕と子爵はロードレス領を離れることになった。

 国王の召集に従って、王都へ向かうのである。


 留守は村長と炎王に任せる形となった。

 意外だったのだが、二人はそれなりに仲が良いのだ。

 晩酌仲間らしく、いつも戦闘談議に花を咲かせているらしい。

 達人同士、気の合う部分があったのだろう。

 彼らなら僕達が不在の間でも、しっかりと守護してくれると思う。


 ちなみにもう一人の同行者である屍王は、道中で合流する手筈となった。

 本人が先に領外へ出発してしまい、その旨を伝言されたのだ。

 待ち合わせの場所も決めていないが、折を見て向こうから接触してくるらしい。


(嫌な予感がするけど、大丈夫かな)


 今回の召集に関して、僕は事を大きくするつもりはない。

 ルードを怒らせるのは不味いので、ロードレス領は誰にも譲らない。

 ただ、それ以上は何も望まなかった。

 領主として平和的に活動できればそれでいいのだ。


 基盤は出来上がっている。

 あとは順当に進めていくだけだった。

 王国に影響を与える気はない。

 頼むから権力闘争に巻き込まないでほしかった。


 僕は子爵に恩返しをしたいだけなのである。

 野心はなく、扱いを軽んじられても構わなかった。

 放っておいてくれるならそれでいい。


 そういったことを歩きながら思案していると、見られていることに気付く。

 いつの間にか、子爵が僕の顔を覗き込んでいた。


「ふむ。何やら消極的な考え事をしているな」


「……どうして分かったのですか?」


「顔色で丸分かりだよ。貴族社会で生きていくのなら、もう少し演技ができるといいな」


「努力、します」


「よしよし。その意気だ」


 嬉しそうに微笑する子爵は、なぜか僕の頭を撫でるのであった。

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