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狂戦士は平凡な貴族になりたい ~新米領主の領地開拓スローターライフ~  作者: 結城 からく


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第32話 新米貴族は炎王と会う

 数日後、僕と子爵は村を出発した。

 炎王との面会に行くためである。


 行き先は領内の遺跡だ。

 街や村から離れた土地で森のそばにある施設であった。

 現在は何の機能もなく、放置されているそうだ。


 場所を指定したのは炎王である。

 人目を気にせずに会えるとして決めたに違いない。

 僕達としてもそれはありがたかった。

 周りに人間が多い場合、ルードが暴れすぎてしまう恐れがあった。


 僕と子爵は馬に乗って街道を進む。

 遺跡は半日もかからない距離で、夕方頃までに到着すればいい。

 時間的な余裕は十分にあった。


「緊張しているな」


「ええ、まあそうですね……」


 僕は暗い顔で頷く。


 炎王は少人数での面会を希望した。

 だから今回は子爵だけが同行している。

 村人達が護衛を立候補したが、炎王の要求を無視するのは争いの種になると判断してこの形に落ち着いた。

 二人なら少人数の範疇だろう。


 炎王も遺跡には少人数で訪れるそうだが、これに関しては信用ならない。

 最悪の場合、いきなり軍勢に囲われる恐れがあった。

 もしそうなったらルードに頼むしかないだろう。


「何も恐れることはない。いざとなれば力任せに吹き飛ばすだけだよ」


「なるべく避けたいのですけどね」


「もちろん分かっているとも。万が一の話だ」


 子爵は意外と武闘派な考えを持っている。

 爵位の低い彼女が国内有数の大貴族なのは、英雄に等しい武力が所以である。

 基本的には争いを避けようとするも、戦場における子爵の強さは苛烈の一言だった。

 彼女が敗北する姿を、僕は見たことがなかった。


(できれば頼りたくないけれど……)


 僕は懐に入れた仮面に触れる。

 もしこれを着ければ、穏便な話し合いは不可能になってしまう。

 一方が死ぬまで戦うことになるだろう。


 そうなると、大規模な戦争に発展するのではないか。

 ルードが負けるとは思わないが、勝利した場合も過酷な未来が待っているだろう。

 僕はロードレス領を血の海にしたいわけではないので、なるべく平和的な解決を望んでいる。


「ルードに頼るのは悪いことではない。もちろん君が主体となって行動すべきだが、使用を渋りすぎるのも考えものだろう」


「……そうなのでしょうか」


「私が言っているのだ。自信を持ちたまえ」


 子爵は穏やかな笑みを以て答えた。

 彼女の言葉は僕を元気づけてくれる。

 いつもながら感謝していた。


 それから休憩を挟みながら移動する。

 太陽が傾き始めた頃、苔に覆われた建造物が見えてきた。

 遠目にも分かるほどに老朽化している。

 あれが待ち合わせ場所の遺跡だろう。


「今のうちに武器は仕舞っておこう。友好的な態度は大事だ」


「分かりました」


 僕は短剣を鞄に収める。

 それとは別に剣を吊るしているも、少なくとも"僕が"使うことはない。

 願わくば、一度も抜かずに帰還したいものだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] さて、炎王は破壊を撒き散らす粗暴な奴か?  それとも冷静沈着に炎を御するような奴か? [一言] 続きも楽しみにしています。
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