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ーーあの日のことを、佐々木は、思い返していた。幼い頃の自分の大切な思い出。それは、切り取られた一枚の絵のようにずっと心の中に大事におさめてきたあの日。
母さんが、消えた日、僕の中に違う空間が開いた。その時に出会った人。
ーー白衣のーー母さんを連れて行った人。……僕の目の前で違う空間を開いた人。
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ぱっと、目の前の御津に、目線を合わせた。その姿がかつての思い出の人に重なる。
ぐらぐらする視界を無理やりに正常に思うようにして、カラカラな口を開く。
ーー「これが、僕の春ですかッ!そんな訳ないッ!あれは、僕の冬だッ!」