縁起物と病気
天文六年 一月 寒い日
徒然なるままに日暮硯に向かいて(歪んで読めない)
とここまで書いた所で覗いていたらしい父に叩かれた。
日記に何を書こうが俺の勝手だと思うのだが、何でも日記は保管しておいて、なにかあった時に子孫が読むらしい。
嘘だろおい。いい歳になったのだから日記でもつけろと言われたので紙を多めに貰ったから好き勝手に書こうと思ってたのに。
自己紹介でもするべきか?
いや、自分の日記で報告書みたいな風にしたくないし思ったこと書こう。
あと木っ端貴族の息子の俺の日記なんか子孫ぐらいしか読まんだろうしな。
あった出来事や考えたことを適当に書き綴ることにしよう。
あれ?これ最初に書いたことと同じじゃね?
同年 一月 珍しく雲がない晴天日
寒かったので親父殿の秘蔵の酒を燗して飲もうとしたらバレて没収された。
むかついたので結構量のあった酒を盗んで、家の前で売り払った。
この酒は尊きお方に献上されたものを分けたもので一年ほど厄払いがとか言ったら、なんかすごい金額になって売れた。
人の良さそうなおっさんになんでか聞いてみたらミカドがなんちゃらとか言われた。
要約すると貴族がよい縁起物を唐突に売り出したからこぞって競ったらしい。
意味わからん。俺が貴族の子供なのが信憑性を出したらしいが、普通逆じゃないか?
最初の方は買い叩こうとしてたから嫌がらせで競りにしただけなのにな。
まあいいや。
この金で火鉢でも買うか。
寒いし。
後日、バレて金没収された。
でもその金で家の修理に使ったようなので良しとする。
同年 二月 曇りの日
なんか父の上司?らしき人が足のむくみ、足のしびれが起きていて脚気かもしれないと憂いていた。
白米ではなく麦飯食うと治るらしいと聞きかじりの知識を言ったら何をアホな事をとバカにしたような目で見られたので、庶民は起こらないのに貴族だけ起こる理由を問答して論破した。
こんな聞きかじりの知識でも論破できるのは、雑学が好きだった自分がすごいのかそれとも父の頭が弱いのか。
最も逆切れされたので鶏のエサを白米と麦混ぜた飯で比較してみろ俺が正しいのがわかるはずというのを生え際が後退していることと共に言ったのは流石にやりすぎだったかもしれない。
そんなのやる奴いないだろうから上司とやらは残念なことになるだろうな。
同年 二月 雨上がりの晴天の日
実際にやって実証してみろと言われた。
なぜに俺が?
批判よりアドバイスが欲しいのが人情というもの。