ヤツとの出会い
素人の著者なんで、つまらないと思ったら戻ることをお勧めします。
いつからだろう?。同じ毎日を繰り返し続けたのは…。
いつからだろう?。この眼に映る景色が灰色に見える様になったのは…
いつからだろう?。感情をなくしてしまったのは…
いつからだろう…いつからだろう…。
もう意識を保つのも疲れてきたよ…今日何曜日?
なんか景色暗いなぁ…天気が悪いのか?
なにしにここに来たんだっけ?身体が覚えてるか…。
なんでここにいるんだっけ?。覚えてないや…。
俺の存在理由?。特に意味はないんじゃない?
俺ってなんだ?。俺っていう一人称は誰のこと指すんだ?
なぜ俺は産まれてきたのだろうか…誰に聞けばいい?。
自分で答えを考えるのもメンドクサイなぁ。答えなんてハナから無いか。
これの名前ってなんだっけ?。決めたの俺じゃないしどうでもいいか。
すべてを考えるのもメンドクサイよ。メンドクサイと思うのもメンンドクサイ。
すべてを考えるのをやめようかな?。そうだ、それ名案。
いっそ人間やめちゃおうかな?。選択肢が増えた。ラッキー。
俺にマウスポインタ合わせて右クリックをして削除選択して、その後、ゴミ箱クリックして『ゴミ箱を空にする』で消えないかなぁ…。
誰か消しくれないかなぁ。
俺をこのモノクロの世界から
一章
今朝も騒がしい機械的な音で目が覚める。音だけはでかい。何の変哲のない目覚まし時計だ。朝からストレスが溜まる。忌々しい。これから朝食を食って、高校という施設に行く事を考えるとため息が出る。自分の父らしき人物が作ったと思われる1杯200円のコーヒーについてるモーニングセットにしても粗末な手抜き朝食が4人掛けのテーブルに置いてある。自分自身、『味など興味ないから腹に入ればみな同じ』の考えのためこの粗末な朝食を胃袋にぶち込むとしよう。同居人は自分の父らしき人物ただ一人、もうしばらく会話してないな。最近では、亭主関白の代名詞であった「風呂。」「飯。」「寝る。」は子のセリフとどこかのサラリーマンが川柳で嘆いてたが、それすらも言ってないな。どうでもいいが。
朝の芸能情報ばっかり情報番組を見ながら、だらだらと高校という施設に行く準備をする。とりわけて行きたいわけではないが行かないと暇すぎてどうしようもないので、時間つぶしのために行く。これで推薦入学だというから高校の面接官は人見る目がないなと実感する。時刻は朝8時過ぎを回り、たいして中身の入ってない高校指定の紺色のカバンと一度も洗濯してない高校指定の学ランを着る。夏服になったばかりだ。そして、靴の少ない玄関で高校指定のローファーを履き、鍵もかけずに玄関を出た。鍵なんか持ってないし。
団地の2階の我が家と言っていいかわからない家から高校といわれる施設までは徒歩で15分。校則で自転車通学は許されない距離に該当するため徒歩のみの通学だ。守ってるのは自分だけらしいが。起伏の激しい土地のため結構な熱量を消費する。景色は3か月で見飽きるほどの殺風景な道、一応『市』だが南側と違い北側のこの地域は3方向を標高100m未満の山に囲まれている。南側は海もあり有名な観光地もありサーファーのメッカだが、北側の名物はこの国のトップ10に入る大学のキャンパスとこの市内で一番大きい市立図書館しかない。一応首都まで行ける私鉄の駅があるがここからだと徒歩20分ぐらいかかる。でも急行電車は止まるので駅は割と混雑している。大学には付属の高校もありその高校は野球が強くて、学力も高いためこの学区内では中間ぐらいにある我が公立高校よく比べられてあまりいい気がしない。学校までの通学路で見えるのはこの大学のキャンパスと付属高校だけなので見飽きるのも当然だ。
梅雨明け間際の束の間の晴天。前日が大雨だったせいか、いわゆる『台風一家の』『雲ひとつない』『抜けるほどの』などのいろいろ比喩がある晴天の今日。「週明けには、関東も梅雨明けです。」と天然パーマの天気予報士が言っていたが、まぁどうでもいい。「清々しい青空だね。」と一般的は思うらしいが、今の自分にとっちゃただの暑い日。色なんかも昔のテレビのような、白と黒のコントラストと何も変わりない。
暇潰しに高校へ行くが、校内に居ても暇には違いない。結局は、ただただ退屈な時間を、数年前から続く退屈な時間を過ごすだけなんだ。そう思ったら死にたくなってくるが、痛いのは嫌だし、無痛の死に誘うための道具を用意するのもメンドクサイ。理想は、誰かに無痛で殺してもらうこと。『なら最初から産まれてこなければよかったのに』そう思うこともしばしばある。
体感時間90分ぐらいかかりようやく学校に着いた。教室に入り無言で自分の席に座る。この間誰も自分に声をかけることはない。いてもいなくても一緒の空気みたいな存在、例えるなら原子番号2、元素記号Heのヘリウムと言ったところだ。大気中の0.0005%を占める程度の存在だろう。担任の教師が来るまで自分の机に伏せている。腕がしびれてきたら顔を上げる。いろいろな声が聞こえるが、全力でシカトするのが自分のクオリティー。
4時限目授業が終わり、学食へとぼとぼ歩く。そこで気付いた。
「財布忘れた・・・。」
理由としては十分だ。今日は早退することにしよう。
とぼとぼ教室に戻り、たいして中身の入ってない紺色のカバンを持ち、誰にも声をかけることなく帰路に着いた。
極力体の機能を抑えていたので、たいして空腹感は無い。成長期の実感なんか感じることもない。帰路に着いたつもりだったが帰っても暇だったので決して計画的ではない予定を変更することにした。
「図書館に行くか・・・」
独り言を漏らし、市立北図書館に歩みを進めた。
学校から、北東に500m。不動産表記上は徒歩6分ちょっと、実際には10分の道のりをとぼとぼ歩く。市の開発がうまくいったせいなのかはわからないが、片田舎に似合わず片側3車線の県道の歩道を歩く。まぁ、どう考えても片側3車線も必要はないな。道の広さ、道の綺麗さ、景色のきれいさを見ると車で走っているとすごく気持ちが良さそうだ。一般論的ではの話だけどな。いちょうではない木が植えてある並木道の歩道を途中に4階建ての市立北図書館が見えてきた。通称なんてものはないが、あえてつけるなら・・・・
『ルービックキューブ?』
『?』マークはすごく重要だ。
入口は二重の自動ドア、中の気温は28度ぐらい、目の前に見える職員がいる受付兼返却口は全部で6つに区切られている。とにかく大きい施設である。ルービックキューブと比喩したのは、外壁のタイルが揃ってないルービックキューブの一つの面が大量に張り付けてあるようなセンスの悪い見た目だからなのだが、中は意外と普通だ。図書館独自の静かな空間で、勤勉な大学生が必死にシャーペンを走らせているのが見える。立地上、大学生が多いのは当たり前だろう。1〜3階は図書があり、4階は会議室みたいな部屋が2つある。
1階は主に週刊誌と図鑑、辞典の類がある。2階は、主に児童書とパソコン。3階は、主にCDとパソコンと図書がある。1階は週刊誌があるせいか人が多い。コンビニで立ち読みするよりマシだからだろうな。自分も同じ考えなのでけなすことはできない。とりあえず、今日発売の週刊マンガ雑誌を手に取り、6人がけの頑丈そうな机の下にしまってあった背もたれのある背と臀部の座席部分のみ合革のクッションがついた金属製の椅子を引き、腰かけた。週間のマンガ雑誌は、意外とすぐ読み終わってしまう。何故ならすべてを読んでるわけではないからだ。毎週自身の見てるマンガだけを見てる人も多いだろう。自分もその類で読んでも多くて5本ぐらいだ。どんなにゆっくり読んでも30分ぐらいで読み終わってしまい、また暇を持て余すことを避けるため、立ち上がり館内を徘徊した。そこにヤツは居たんだ。
高さ185cmぐらいの本棚の通路、丁度ここは図鑑エリアだ。そこに、身長150cmちょっとであろう、どう見ても成人女性には見えない見た目の女の子が困っていた。ぴったり目で小尻のジーンズと少し大きめのTシャツを着た髪の短い少し日に焼けた体に起伏の少ない女の子を観察することにした。
観察していてわかったのは、どうやら本棚の最上部にある何かの本を取ろうとしているみたいだ。うんうん唸りながらつま先立ちしている姿は、愛玩の小動物のような微笑ましさがある。試しに近づいてみてみるとしよう。少々足音をたてて近づいてみる、すると彼女はこちらに気づいたみたいで、こちらの顔を確認してから
「すみません・・・。あれとって貰えますか?」
と、指を差しながら声をかけてきた。かなり意外だったのは、見た目は成長の遅い小学校6年生から中学1年生ぐらいの見た目なのに、声が目を瞑ると性別が全く分からないような女性にしては低めの声だった。指の先には分厚い図鑑が何冊あったが、正直何を差しているのか曖昧だった。それに加えこっちを見てる眼が嗜虐心をくすぐるような眼で、今から言い訳をしよう
「魔が差してしまったんだ・・・」
彼女の背後から脇の下あたりに手を入れ、子供やるような『たかい高い』の要領で上に持ち上げた。思ったより重かったのは内緒の話だ。
「わっっっ!!」
と声を上げる女の子。でもこちらの思惑を理解したのか持ち上げてから2秒後に本棚から本を取った。
本の重みを両腕に感じる。両腕は限界に近かった。
腕を下ろそうとした時のことだった。何かが聞こえたんだ。
「・・・・してやるぅ。」
その瞬間下腹部に激痛が走る。その痛みで後ろに倒れ、さらに女の子の尻が腹部に刺さる。いわゆるヒップドロップというやつだ。女性のことはよく知らないが少々硬い尻で、とっさに腹筋に力を入れたのに、最初の一撃とは違う種類の苦しい痛みが走った。
概要は、こうだ。
彼女は「仕返ししてやるぅ。」と言った後、右足を前に出し、後ろに振りぬいた。丁度彼女の右足のふくらはぎの部分が、股間に直撃し、激痛で倒れたひとに尻で追い打ちをかけた。
魔が差したというか・・・。自業自得というか・・・。一方的な被害者というか・・・。兎に角、痛みに悶えている人間に彼女はこう言った。
「にゃははは〜。ざまぁみろ〜。」
彼女は見た目のかわいい鬼だった。
数十分後、ようやく痛みがおさまり、立ち上がれるようになった。
立ち上がりあっという間の出来事の事を思い出す。
「なんなんだアイツは!?」
この声は、図書館に響き渡った。
帰り際に図書館の女性職員に「館内では静かにしてくださいね」と言われて、
「すいません」とカラ返事をした。考えることはただ一つ
「なんなんだアイツは!?」
出入口から外に出ると太陽の光が眼に刺さるほど眩しかった。
気持ちいいほどの午後の天気だった。
読んでいただきありがとうございます。
以後よろしくお願いします。