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母と子
目が覚めると、あまりにも自分に不釣り合いな可愛らしい箱庭が広がっていた。
抱き心地が良さそうなぬいぐるみの数々、自分の手足も、明らかに記憶より幼いものになっていた。
「そうじゃ。坊は…」
言いかけて気づく、これは罰だと。
転生させられたのは他でもないこの自分だと。
それにしても不釣り合いな少女である。こんなじじいにそのような演技など出来る筈もない。
「ちはる~ごはんできたよ~」
呼ばれて向かった食卓。辺りを見回すと、1枚の写真に目が止まった。
「坊…」
「もう1年だね」
恐らく自分の母にあたるであろう女性が話しかけてきた。
「会いたい?」
同意を求めているので頷いた。まだ把握しきれていないがそれくらいの判断は出来る。
どうやら今日はあの坊の墓に向かうらしい。気が重い。あの子供を跳ねたのは他でもない自分なんだ。