1-8 森林
日曜日なのでみんなに読んでもらうためこの時間までがんばりました・・・
眠い・・・寝ます。
2人は森の中を歩いていた。街道から離れて少し深い所を歩いているため道の舗装などはされていない。
ディナが歩き慣れないためルクスが前を歩き草木を掻き分け少しペースを落として歩いている。
「ごめんなさい。私のせいで遅くなってしまってますね」
ディナはルクスに自分のせいでと謝った。ルクスは気にした様子もなく
「気にするな。急いだ方がいいけど厄介なのに鉢合わせしたりディナがしんどい思いをする位なら遠回りでゆっくりの方がいい。散歩がてらってやつだ」
前を向いたまま答えた。ルクスなりにディナが落ち込まないように優しさを出したのだがディナはそれでも落ち込んでいる。少し疲れているのもあるのだろう。
「少し休もうか。ちょうど開けたところに出られた」
ルクスはディナを落ち着けるために休憩を提案したのだがそのディナが休もうとしない。
「ルクス、私のために休憩を取らなくていいです。ただでさえ遅れてるのですから少しでも進みましょう」
ディナは息もあがり足取りも重くなっていた。ルクスはディナを無理やり座らせ靴を脱がした。
「やっぱりか…歩き慣れないだろうからしょうがないか。」
ディナの足のかかとの皮がめくれ、足首も腫れていた。脱がされたことで足が痛み泣きそうな顔になっていた。
「我慢するな…少し休もう。少し染みるだろうけどこれを塗っておけ。治るはずだ」
ルクスが傷薬を塗るとかなり染みたのかガマンしていた涙が溢れていた。
「相当ガマンしてたんだな。そんなに急ぐのならおぶってやる。それならペースは下がらずに進めるだろ?」
ルクスの提案に顔を赤くしながらディナが狼狽し始めた。
「そ、そんな恥ずかしいことお願いできません!おぶられるくらいなら少し休みます!ってなんでお姫様抱っこなんですか!もっと恥ずかしいです!降ろして…スゥ……」
ルクスは抱きかかえた時に『睡眠魔法【スプリー】』をかけた。ディナは気持ちよさそうに眠った。
「とりあえず距離を稼ぐか。この辺は一応魔物も住んでいるはずだし…」
ルクスが呟き進もうとすると木の上から視線を感じた。目をやると黒色の蝙蝠が大きくなった生物がこちらを見ていた。
「言ってるそばからいたな。バットか。なら放っておいてた………よし。逃げる!」
ディナを抱えた状態でルクスはダッシュした。広場を囲まれていたからだ。走り出したのと同時にバットは一斉に飛んで来た。
このままではまずいと思い走りながら詠唱を始めた。
「焔よ。魔のものを喰らい演舞せよ!フレイアワイド!!!」
渦巻く炎がバットのみを焼き尽くした。
ルクスは詠唱をせずとも魔法は使える。しかし木々を燃やさずに魔物だけを燃やす。そのために詠唱を行なったのだ。
渦を巻きながら長く伸びた炎がバットを燃やし尽くす。その間に街道の方へと向かい走っていった。
「はぁ、はぁ…。ふぅ、とりあえず道に出れば大丈夫だろう…厄介ごとを回避しようと森の中に入ったのは間違いだったか…」
変な貴族に見つかるか魔物の相手をするかどっちがいいのかと考えながら街に向かい歩いていると前から一台の馬車が向かって来た。複数人の兵士を引き連れて。
「アレはディナのお迎え馬車2号だな。中は誰だろうな…当たりだったらいいんだが…とりあえずついて行ってみるか」
ルクスは姿を消し、兵士の横に並んだ。鎧の紋章を見ると円形の盾に剣が二本クロスして刺さっているマークだった。
ルクスはクラック王国の兵士だということを確認し、馬車の中を覗き見た。中にある人物にびっくりしたせいで気配が漏れてしまった。
「ふふっ、警戒しなくてもいいわよ。出ていらっしゃい」
どうやらばれてしまったようだ。王妃の言葉で兵士たちは警戒態勢に入った。さすが王妃近衛兵、統率ができている。
「お久しぶりです。相変わらずの冒険家ですね。立場上あまりよろしくないのでは?」
ルクスは魔法を解いて馬車の真横、兵士たちの真ん中に急に現れた。兵士たちは驚いた様子でルクスのほうを見た。ルクスはディナを抱きなおしお姫様抱っこで現れた。
「あらあらぁ、本物のお姫様をお姫様抱っこなんて・・・妬けるわねぇ」
「馬鹿なこと言わないでくださいよ王妃様。あ、娘さんは寝てるだけなので・・・そろそろ武装解除してもらっていいですか?」
ルクスが王妃と話している間も兵士たちは警戒状態のままだったのだ。
「そうね~・・・昔みたいに呼んでくれるならいいわよ?」
王妃は意地悪そうな笑みを浮かべながらルクスへ脅迫?をした。ルクスはしょうがないと言う感じで微笑みながら名前を呼んだ
「ほんと相変わらずですね『テア』さん」
王妃『テア』は嬉しそうに微笑んだ。
「みんな、この子は大丈夫よ。さぁお城へ帰りましょ」
テアの一言で兵士たちは一斉に構えを変え、従者は馬車を反転させルクスのいる方向へ乗り口を向けた。馬の扱いがかなりうまい。さすがの一言で済ませられないくらいうまい。
「とりあえず失礼します。はぁ、来てくれた馬車が当たりで良かった。失礼ですけど少し休ませていただきます」
「わかったわ。道中は任せて頂戴。安全に王都まで乗せていってあげるから」
ルクスはディナを横に座らせ、その隣で眠りにつくのだった。
said:テア
「ふふっ。昔と変わらないわねぇ。無愛想なのに責任感が強くて優しい。ディナを自分に寄りかからせて枕代わりになる優しさも・・・ほんと変わらないわね」
テアは懐かしそうな顔をしながら二人を眺める。
二人は恋人同士のように寄り添いあい、手の上に手を置いて仲良く眠っている。
テアは小さい頃から二人を知っているため昔二人がどんな子供でどれだけ仲がよかったかを知っている。
かなり若く見え、ディナの姉にも見えるがれっきとした母親だ。たった一人の愛娘が昔から恋心を寄せている相手にもたれかかって幸せそうに寝ている姿を見て嬉しくならないわけが無い。
「もうそろそろ孫を期待しても言いのかしらね。ふふふっ」
将来、愛娘と親友の息子、そして孫に囲まれて幸せな状況を想像しながら王城への道を揺られていくのだった。
「くそっ。先を越されるとは・・・王の言葉を無視してまで出てきた意味が・・・なんとかして俺の功績を残さねば」
背後から近づいている危険に気づくこともなく。
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ルクス「ほんと無茶するよな」
ディナ「ほんとお母様は無茶ばっかりです」
ルクス「いや、親子そろってだからな」
ディナ「私は本当に大丈夫でしたよ?涙が出たのは眠くてあくびをしただけです!」
テア 「女の子がはしたないわよ」
ディナ「え!お母様!本編でまだ会話していないのにダメじゃないですか!」
ルクス「いや、ディナ。最初のほうでやったよな?親子そろって同じことするなよ・・・」
テア 「もう少しお話したいのにもう終わりみたいよ?」
ディナ「もう!ルクスと2人きりの場所だったのに!」
ルクス「ほんとマイペースだな。似たもの親子だな」
後2話くらいで王城へ到達させる!
・・・その前に話を考えないと