1-17 褒美
ペースが上がりません・・・
王都は名の通り王城がある都、王城直下の街である。ルクスはディナと言い合っている間に王城までの距離を半分以上進んでしまっていたことに少しショックを受け黙っていた。そんなルクスを見てディナはルクスの方に寄り添っていた。
「ルクス元気出してくださいよ。お城に着いたあと私が王都を案内しますから。国の姫とデートできるんですよ、だから元気出してください」
腕を掴みルクスの顔をまっすぐ見ながら誘惑するかのように言った。そんな言葉を聞いてルクスは外を見ながらボソッと一言。
「あざとい。媚売り姫」
その言葉にディナはジト目でルクスを見た。
「ルクス、今の言葉どういう意味ですか・・・」
「そのままの意味だ。他意はない。むしろ他意があってたまるか」
「違います。あさといってどういう意味ですか?もしかしてまた悪口ですか?」
「・・・・・・・・・」
ディナのアホな子が発症したのでルクスは黙った。その態度にディナは気に食わなかったのか横で文句を言っているがそんなことはお構いなしに馬車の中からどの店を回ろうかと町の風景を眺めていた。
「ねぇねぇ~あの馬車って王妃様の馬車だよねぇ?」
カチューシャを頭の上に乗せた女の子は髪を後ろで短く束ねている男に聞いた。
「そうだな。珍しいもん見たな」
「でもねぇ、男の子が乗ってたよ?王様の子供って女の子だけだったよね?」
「あぁ。姫様しか知らないな。馬車に一緒に乗っていたってことはどこかのお坊ちゃんだろ。それより早く行かないと依頼無くなるぞ」
「はぁい。簡単なのにしようねぇ」
2人は冒険者ギルドの看板がかかった建物へと入っていった。
馬車は王城前まで近づき、門番の兵が声を上げると同時に門が開き始めた。
ルクスは馬車がたどり着く前に門が開いたのをみて、改めてこの馬車は王族専用なのだと、そしてここに乗っている自分を除く二人は王族なのだと再認識させられた。
「ようこそルクス。クラック王国王城へ」
「あぁ!お母様!私が言おうと思っていたのに」
門をくぐると同時にテアがお出迎えの言葉をルクスへかけた。先を越されたディナは馬車を降りるまで拗ねていたのだった。
「おぉ、テア帰ったか。ご苦労だな、ディナ・・・良くぞ無事に帰ってきた」
「ご心配をかけてごめんなさい。お父様」
玉座の前で親子愛を繰り広げている親子を少しはなれたところから見ていたルクス。
テアはルクスの隣で兵士が持ってきた椅子に座っていた紅茶を飲んでいた。
「・・・・・・いつまでこの茶番続くんですか?と言うかいつの間に紅茶とか用意してたんですか!?」
「あら?ルクスも飲みたいのかしら?そこのあなたもう1つ入れてくれるかしら?」
「いやそういうことじゃ・・・あ、どうもありがとうございます。・・・・・・これおいしいですね。さっぱりしていて香りもやわらかいです」
「でしょ。私のお気に入りなのよ。それよりあれは当分続くからルクスも座って待っていなさい。私のお茶の相手をしてくださる?」
ルクスは玉座の前でいまだに感動の再会を繰り広げている2人を見てため息をついた。
「紅茶がおいしいのでご一緒させていただきます」
「あら。将来の母親にそんな口聞いてたら嫌われるわよ?」
テアの発言に近くにいた兵士がルクスとテアを見た。兵士の一糸乱れぬ視線に呆れつつ弁解をした。
「テアさん・・・確定事項みたいに言わないでください。将来そうなる可能性はありますけども双方の同意の下でしか俺は結婚なんてしませんから。それにあそこまでバカだとは思って無かったですよ」
「・・・・・・ディナ可愛いでしょ?ディナはルクスのことを間違いなく好んでいるわ。後はルクス次第よ。・・・・・・私もあそこまで頭の緩い子だとは知らなかったわ」
二人の会話に兵士たちはなんともいえない雰囲気となってしまったのだった。
「ルクスよ、久しいな」
先ほどまで娘にデレデレしていた親バカがルクスへ声をかける。先ほどまでの姿は無かったかのような振る舞いだった。
「お久しぶりです王様。お元気そうでなによりです。・・・・・・さっきのは無かったことにしたほうがいいですか?」
「はて?何のことかな?それよりミネルヴァは元気か?いまだにあのバカを探し回っているのか?」
「とぼけだした・・・はい。今回は見つけるまで帰ってこないということなのでこれを期に王都で冒険者を始めようと思いまして。その途中で母を見つけたら手伝う予定です」
王の問いにルクスは今後の予定まで話した。王はうんうんと頷きながらルクスを見た。
「して、どこに腰を据えるつもりなのだ?」
王の問いにルクスは考えた。たしかに王都に住むとなれば住処を探さなければならない。ずっと宿に泊まりつづけるわけには行かなかった。
「もし決まっておらぬのなら城に部屋を用意するが、どうかな?」
「そうですよ!ルクス!!一緒に住みましょう!!!」
ディナの賛成の言葉を聞いて王と王妃がルクスのほうを見る。娘の期待を叶えたいことがその目からルクスに伝わるが。
「すみません。城に住むことはしません。冒険者として生きていくのに王城で生活をすると騎士のようになってしまう気がするので」
ルクスの言葉にディナは落ち込み俯いた。
「そうか・・・ならば仕方ないな。しかし、王族の護衛に姫の救出となると褒美が必要となる。これは王族としての威厳をしっかり保つためだ。受け取ってくれるな?」
「はい。いただきます。それで褒美の内容を聞いてもいいですか?行き過ぎたものだったらもらいませんから」
「ちっ。ルクスに褒美を見せよ」
ルクスはもらう前に褒美内容に釘を刺した。王はその言葉に舌打ちをした。
「あなた、舌打ちなんてしてはいけませんよ。そこでこそとぼけないといけませんよ」
「王族とか関係なしに言わせてもらうが自重しろよ・・・あと内容も自重しろよ」
テアが王の間違いではない間違いに突っ込みを入れるがその二人の言葉と褒美内容にも突っ込みを入れる。
「まず【王族の別荘】意味がわからないですよ。まずどこにあるんだよってなりますし、【冒険者ランクC級スタート】これもありえない。そして最後・・・・・・【王族への参加】これはあんたらの願望だろうが!!!」
ルクスの言葉に何が不満なのかわからないと言うような感じで首をかしげる王族親子3人。
「なんで3人そろってそんな反応なんですかね!?王族依頼ではなくついでなのですよ!最低限でいいです!」
ルクスの発言に王は悩んだ。
「ならば住処として別荘はもらってくれ。これは一般の人間として買い物をしたりするお忍び用の建物だ。ここに住んでくれればいい。それと冒険者ランクCは王族以来はC級以上でないと受けることができないのだ。なのでせめてC級昇格試験への推薦状は受け取ってくれ。王族への参加はそのままの意味だ。ダメならディナと一緒に暮らしてくれ。パーティーを組んでディナにも冒険者を経験させてやってくれ」
王の言葉にルクスは考えた。元から報酬はこうではなかったのだろうかと。
「わかりました。報酬はこれでかまいませんが大事な娘を男と二人で暮らさせるのはどうなんですか?」
「それに関しては問題ない。手を出した時点で結婚してもらうだけだ。だっはっはあ」
「そうね。むしろ早く孫の顔が見たいわね」
「お母様!気が早すぎます!!でもルクスと一緒に暮らせるのですね!やったー!」
ディナも乗り気だったのでルクスはこれ以上何も言わなかった。
「家のほうもすぐには用意できん。それまでは城へと滞在するとよい。色々と聞きたいこともあるからのう。ディナも城を出る用意をするのだぞ」
王の言葉にルクスとディナは頷いた。
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ルクス「ようやく形になってきたな」
ディナ「もうそろそろで第一章が終わりですね」
マイル「とぉっても長かったね」
ライン「早く出番まわs」
テア 「それじゃあまた会いましょうみんな」
ディナ「お母様。いつでもきてくださいね!」
ルクス「ここディナのコーナーじゃないからな・・・って前にも言ったな」
マイル「ここは私とディナちゃんの愛のコーナーだからねぇ。テア様も美人だからオッケーだよぉ」
テア 「フフフ。楽しみにしてるわ」
ルクス「ここの俺の出番も減ってきたな」
ライン「おれなんかちゃんと喋ることさえできn」
ルクス「それではこの辺で」
ライン「最後までいわs」
ここだけの話・・・
ラインの名前、間違えてたんですよ。
ライルの予定だったんですよ・・・