1-14 反乱(後編)
はい。すみません。バレンタイン中止ですorz
アンダルシアンの兵士だったものが次々と剣を置き、手を頭の後ろに回しながら歩いてくる。
ほぼ全員が歩いてくるが、ほんの数人は残っている。兵士長を含め10人ほど残っていた。
「強制されていたのはこれで全員ね。王都に帰るまでは武器の所持は禁止します。きちんとこちらの指示に聞かなかった時点で処罰します。貴方たちは現在、兵士ではなく捕虜扱いですのでお忘れなく」
テアの言葉に捕虜となった兵士がおとなしく従う。その中の一人がテアにお願いをした。
「王妃様、お願いがございます。最後にヘクトルさんに敬礼させていただいてもよろしいでしょうか?我々は皆ヘクトルさんを尊敬しています。残っているメンバーもヘクトルさんの直下チームのメンバーです。おそらくヘクトルさんが残ると知ったため残ったのだと思います」
テアはヘクトルの呼ばれている兵士長のほうを見る。他の兵士たちもヘクトルの周りに集まり話をしていた。ヘクトルという人物は信頼できる人物なのだと周りの反応を見てわかる。
「許可しましょう。少しだけこの場を離れます。すぐ戻りますので監視をお願いします」
捕虜兵に許可を出した後、近くにいた兵士に声をかけ、馬車のほうへと歩いていった。
「ルクス、お願いがあるのですが。一人の兵士を無力化してくれないかしら・・・・・・」
馬車の中に顔だけをのぞかせお願いをしたテア。その姿に驚きビクッとしてしまうルクスとディナを見て両者黙ってしまう。
「・・・・・・テアさん。入ってきてから話してくれると助かるんですけど。顔だけ出されるとビックリするので」
「お母様・・・私にははしたないって怒るくせにお母様はそういうことするんですね」
ルクスとディナの声を聞いてテアは笑顔で首を斜めに傾けながら
「何か文句あるの?あるのなら言ってみなさい?怒らないから」
と言った。ルクスは手を上げながら、ディナはルクスに抱きつきながら、首を横に振る。
「もう・・・二人してなにをいちゃいちゃしてるのかしら。私が戦いに出ているというのに・・・それはそれとして」
テアはルクスの手を引き馬車から顔を出させた。
「見える?あのゴツイ感じの人。あの人はヘクトルって言うそうなのですけど、あの方を抑えないと他の兵士を殺すことになっちゃうの。だからあの人だけサクッと無力化してくれないかしら?」
テアはルクスに無茶なことを言ったとは思っていなかった。本来なら兵士長を冒険者に無力化してくれなど無茶にもほどがあった。殺すならまだしも殺さずに無力化とは難易度が違いすぎるのだが、テアはルクスにサクッとやってくれと頼んだ。ルクスはテアの頼みではあったのだが難しいと説明しようとすると思わぬ言葉が飛んできた。
「魔法でも使ってやっちゃってくれないかしら?ここからでも届くでしょ?」
ルクスは驚いた。姿を消したりなどテアの前で魔法を何度か使っているが睡眠魔法などの意識を刈り取る魔法は一度も使っていない。なのに確信を持った顔で使って欲しいと頼んできた。
「・・・あとで教えてもらいますからね?」
ルクスは少しにらみながらテアに答える。
テアは微笑を返し馬車を離れる。
「ディナ、少し待っていてくれ。すぐに済ませて戻ってくる」
「気をつけてね」
ルクスは馬車から降りヘクトルを見る。なぜか相手側には10人ほどしかいなくほとんどの兵士が捕虜となっていることに疑問を抱き近くの兵士に聞いてみた。
大体の事情を知りルクスは考えた。眠らせて無意識の所を捕らえるより、相手の意識を操って向こうを離れさせるほうが良いと。
「この距離だと少し難しいが・・・王族依頼だからがんばるか。ディナ、俺の身体を頼む。自我を奪い我が物に『操作魔法【マイドロール】』」
ルクスは呪文を唱え魔法を使うと同時に倒れた。
「ルクス?どういう意味・・・え!?ルクス!??どうしたんですか?大丈夫ですか!?!?」
ルクスが倒れたのは自意識を相手へと飛ばし、意識を奪う魔法なのだ。
その反動で自分の身体を精神が離れる状態となる。ディナはそのことを知らないせいでワタワタしている。
「姫、ご安心ください。呼吸はしていますし心拍も確認できます。睡眠状態に近いみたいですので、馬車の中で寝かせてあげてください」
兵士が安否を確認しその後の対応をディナへと教える。ディナは急いでルクスを馬車に乗せようと担いだ。しかしディナは力が強くなかったせいで引きずるような形になり、ルクスの身体はあちこち打ちながら馬車の中へと引きずられていった。
Side:ヘクトル
「はぁ・・・お前らまで残る必要は無かったんだぞ。俺はみんなを巻き込んでしまったダメな隊長だ。最後ぐらいみんなの罪を俺が被るつもりだったのにな・・・本当にいいんだな?」
ヘクトルは投降を命令したにもかかわらず、命令を無視しこちら側に残ったメンバーに問いかける。
「当たりまえっすよ。俺らはヘクトルさんについて来たんだ。あんな貴族なんて関係ないっすよ」
「そうですよ。ヘクトルさんが隊長じゃなければ俺たちはこんなとこに来てませんよ」
兵士たちはアンダルシアンについてきたのでは無く、ヘクトルに着いてきたと言った。
ヘクトルは自分を慕ってくれている者たちを殺してしまうと思い、やりきれない気持ちになっていた。
「すまない。俺のわがままに付き合わせてしまって・・・俺みたいな奴についてきてくれてありがとう」
ヘクトルは頭を下げた。そんな隊長の姿を見て兵士たちも頭を下げた。
「こちらこそ、俺たちのわがままで残ったせいでこんな思いをさせてしまいすみません。最後までわがままを通させてください」
兵士たちの言葉を聞きヘクトルは目をつぶる。そして目を見開くと同時に兵士たちに一言、誰もが驚くような言葉を発した。
「・・・俺はお前たちを失いたくない。だから投降しよう。アンダルシアンの首を持って」
兵士たちは言葉を失った。その後ろで聞いていたアンダルシアンさえも言葉を失い呆然としていた。
Side:ルクス
魔法を使ったルクスはヘクトルの意識の中にいた。しかし、すぐに乗っ取りはせずしばらくの間他の兵士とのやり取りを傍観していた。兵士たちがどうしてこちらに残ったのかを知るためだったが、思っている以上にまともな理由で残っていたため、全員助けようと考えた。
兵士たちの言葉を聞き、その瞬間意識内からヘクトルへと声をかける
「あんないいやつらを自分のエゴで殺してしまうのか?」
急に聞こえた声にヘクトルは困惑した。
「な!?お前は誰だ!どこから!??」
「お前の中だ。今お前の意識内にいる。おれの本体は王妃の馬車の中にいる。そこから意識を飛ばし話しかけている」
「バカな!こんな距離でそんなことできるわけが無いだろ!」
「なら何故俺はこうしてお前の意識の中にいるんだろうな。あいつらを殺して欲しくなければ俺に意識を渡せ。お前も意識内から見ることができる。あいつらが死んでもいいのなら俺を拒め。そうすれば俺はお前の前から消える」
ルクスはヘクトルに問いかけた。ルクスは少し考えた後質問をした。
「あいつら全員を無実にしてもらえるんだな?おれはどうなってもいいがその約束が本当なのかを知りたい」
「全員無実だ。もちろんお前も。それができる根拠なら俺が王妃の馬車に乗っているという事実だ」
ヘクトルの問いにルクスは答えた。
ヘクトルは意識をルクスに明け渡しながら「頼む」と一言放った。ルクスはヘクトルの身体で意識を覚醒させ兵士に向け声をかけた。
「・・・俺はお前たちを失いたくない。だから投降しよう。アンダルシアンの首を持って」
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ディナ「アンダルシアンの戦い・・・ずいぶん引っ張るね」
ルクス「まぁ・・・色々あるんだよ」
ディナ「ところで今日何の日か知ってる?」
ルクス「作者の活動報告詐欺を叩きまくる日だろ?」
ディナ「それはもちろんそうしたいけどね・・・バレンタインだよ!」
ルクス「あぁ・・・そういえばそうだったな」
ディナ「そう言う人はかならず期待してるって聞いたよ!!!」
ルクス「・・・誰に教えられたんだ?」
マイル「はいは~い!わたしだよ~」
ルクス「マイルさんはまだ登場してないから!!」
マイル「ずっと舞台裏で待機させられて暇だったの~・・・せっかくのバレンタインなのに・・・」
ディナ「マイルさん!いつ出てくるんですか?ルクスがいじめてくるので早く来て欲しいです!」
ルクス「ディナ・・・大人の都合だ。諦めろ」
マイル「まぁ、今月中に出てくるはずだよ~・・・たぶんね」
ラインとマイル。早く出したいです。
遅くなってしまってすみません。
がんばって何とかします・・・