1-12 逆恨み
先に言っておきます。
サブタイはなんとなくなので時々関係なかったりします。
side:アンダルシアン
「くそっ、なんなんだあの冒険者は・・・あいつのせいで計画が台無しだ」
予定外の人物の存在にイラついていた。ピンチに登場し助けると考えていたのが、ただ出遅れての登場となってしまった。状況はよくならず事実上王都への強制連行を決められ、表には出さずともあせっていた。
「このままじゃ王都に居られなくなる。最悪処刑の可能性がある。どうにかしないと・・・雇った賊は全滅、何か手は無いのか!?」
先頭を走る馬車の中で一人どうしようもない未来を想像していた。逃げ道は決してないことを認めることは無かった。
side:テアグループ
「ごめんなさい。ルクスの計画と全然違う風になってしまって」
テアは自分が暴走してしまったことを素直に謝った。ルクスは横を向いたまま「大丈夫ですよ」と答えた。テアはそれでも頭を下げるのでルクスはテアのほうに顔を向けて返事をした。
「本当に大丈夫なんですよ。きちんと王都へ連れて行くことができたので結果的には任務完了って所なんですよ」
ルクスはテアに対し笑顔で答えた。テアは顔を上げてルクスを見た。
「ありがとうございます。少し気分が楽になりました。・・・ところでさっきから何をなさっているのですか?」
ルクスはテアと話しながら眠っているディナのほっぺを引っ張ったり伸ばしたり突いたりしていた。
「人の顔はこんなにも柔らかくなるんだなぁと思いまして、触ってたらなんかはまっちゃって」
ルクスは笑いながらテアに返事をする。テアは不思議そうな顔をしながら自分の頬を触り、ディナのほっぺを触る。新たな発見をしたと言いたげな顔をしながら触り続ける。
「私が落ち込んでいる横で何をしているのかと思っていたのですが・・・確かにこの触り心地ははまりますね。些細なことなら気にならなくなるくらいに。あぁ・・・難しく考えすぎだったのですね。娘のほっぺに癒されてしまったわ」
テアとルクス。二人でほっぺをふにふにしているとディナが目を覚ました。自分の頬を触り続けている二人にディナは考えが追いつかず、少しの間止まってしまった。
ルクスは満足した顔で顔から手を離した。しかし、テアは気に入りすぎたのか手を離したと同時に頬を甘噛みしたのだ。さすがにビックリしたディナは顔を真っ赤にしばがらテアの顔を押さえた。
「お、おおお、お母様!何をなさっているのですか!急にほっぺを噛まないでください!」
テアはまだ満足していないのか不満そうな顔だ。
「ディナ。そのほっぺは最高よ。だからもっと咥えさせなさい!」
「な~に~を~言ってるんですか!ルクスも止めてください!!」
テアはディナの顔を押さえながら顔を近づける。ディナはテアの顔が近づかないように必死に抵抗しながら知らんフリをしていたルクスに助けを求めたのだが
「俺も触ってた・・・というか俺が触っていたせいでテアさんの行動があるわけで・・・なので俺には止められない!!!」
ルクスはドヤ顔でディナに返事をした。自分のせいではあるが手に負えないと悟り、ちら見をしていたのだ。二人の会話を聞いたテアはとんだ爆弾を投下した。
「ティナ。選びなさい!私に噛まれるかルクスに噛まれるか!」
「ルクスがいいに決まっています!・・・あれ?何か変なこと口走った気がします」
その発言にルクスは固まった。ディナは言葉の意味が脳内処理されていないのか、意味を理解せずに発言してしまった。テアはニヤニヤと王妃がしてはいけない顔で二人の顔を見る。
「ルクス。ここは男を見せるときじゃないの?根性見せなさい♪」
「待ってください!私・・・今何を言ったのですか!?え?ルクスダメですよ!そんなのダメです!というか触ってたって寝てる乙女にいたずらしないでください!」
テアとディナがぎゃいぎゃい騒いでいるの声を聞き、ルクスは再起した。そしてため息をつきながらディナのほうを向いた。
「ディナ。母親の前で発情しないでくれ。俺が恥ずかしい・・・あとテアさんもそろそろ自重してください。外に声が漏れて兵士たちが変な空気になってますから」
ルクスの言葉にテアは「やりすぎちゃったわ」といいながら何も無かったかのように元の位置に座り、ディナはプルプルと震えながらルクスのほうを向いた。
「ディナ?どうしたんだ。何を震えているんだ?」
ルクスはディナの震えている意味がわからず、ディナの心配をしたのだが、その言葉にディナはキレた。
「ルクスのバカアアァ!!!私の気も知らずに何を言ってるんですか!!!言いたいことを我慢してたのにルクスの鈍感バカあぁ!お母様のバカアアァ!」
「あら?私にも飛び火してきましたね。ルクス、なだめるのは任せましたよ」
「えぇ!俺がですか!?・・・はぁ、ディナごめん。ただディナの可愛い寝顔を見ていたら触りたくなってしまったんだよ。触ったけど咥えたりはしてないから安心してくれ」
テアはルクスにディナのことを丸投げした。何とかするしかないとルクスは考えたのだが謝った内容が絶妙に違ったせいでディナは顔を真っ赤にしながらうつむいた。ルクスはディナの顔を覗き込むと涙目になっていた。ディナが顔を上げてルクスを睨んだ。
「怒ってる意味もわからずに謝らないでください!可愛いとか言わないでください!きちんとした時に言ってください!今言われてもうれしくないです!バカ!」
ディナは言いたいことを言って反対を向き顔を隠しながらうずくまった。ルクスはテアのほうを向き両手をあげて諦めのジェスチャーをした。テアはそんな二人のやり取りを見て、今度は王妃らしく上品に笑っていたのだった。
そんなやり取りがあった時、前方を行進していたアンダルシアンはひとつの決意をしていた。
「こうなれば他国に亡命するしかない。どうせ処刑されるならあの男と戦い勝つしかない・・・このまま行っても死ぬだけ。なら戦って死んでも同じことだ。やるしかない。おい、王妃と姫を人質にとって男を殺す。兵士たちにも伝えろ。伝令が完了したら馬車を止めろ。後ろの馬車を襲うぞ」
従者に声をかけた。従者は断ることはできなかった。この件にかかわってしまったからだ。引き返せないのであれば着いて行くしかないと考え兵士に小声で話をするのだった。
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ルクス「なんか話がごちゃごちゃしてきたな」
ディナ「そうだね。というか全然王都に着かないね」
ルクス「王都につくまでにディナは後何回叫ぶかな?」
ディナ「それはルクスとお母様がいらない事ばかりしたり言ったりするからです」
テア 「ディナが可愛いのがいけないのよ。可愛いは正義だけど時には悪にもなるのよ」
ディナ「何の話してるんですか?意味がわかりません」
ルクス「ディナが可愛いって話だと思うよ」
ディナ「ま、まぁ私は可愛いですから。ルクスに言われるとやっぱり嬉しいです!」
テア 「本編でも言われたときは嬉しくて顔が真っ赤だったのね」
ディナ「・・・ソンナコトナイデスヨー」
ルクス「まぁ・・・さっさとアンダルシアン倒そう。どうせ討伐フラグたってんだし。来週あいつは死ぬよ」
ディナ「またネタバレしましたね。ここはフリートークで次回予告じゃないですよ?」
ルクス「はい。話が長くなるのでここで切ります!また次話で!!」
ディナ「ちょっと!まってくだs」
あの二人を早く出してあげたい。
というか日常感がすごいなって書いてて思いましたね。