オタサーの姫君
私の名前は、伊藤結衣。
今日から花の女子大生! 高校時代は、寂しい生活を送ってきたけど、大学に入ったら、目指せリア充!
私は、友達や家族から、地味な顔立ちと言われてきた。さらに貧乳である。いや、ギリギリBだから、貧乳ではない。貧乳ではない。’
大事なことなので、二回言いました。
新入生ガイダンスという、茶番を聞いた後、早速、私でも男どもを落とせそうな、サークルを探しだした。
いくら、この私でも、男しかいないサークルに入れば、ちやほやされるだろう。ばちこり、男たちをたらしめてやんぜと息込んでいる。
サークル紹介をしている、体育館へと移動した。テニスサークルや、天体観測サークルなど、キラキラした感じのサークルは論外である。
あんなのは、リア充どもの巣窟である。私には、毛色が合わない。
ここはもっと地味で根暗な感じな奴がいそうなサークルに行こう。
「アニメに興味のあある人いませんかー?」
見るからにオタクそうなオタクが、勧誘しているしていた。アニメサークルというサークルらしい。なかなか良さそうかもしれない。
「あの、このサークルは、どんなことをするんですか?」
頑張って、アニメ声を出した。さあ、オタクよ! 私にひれ伏すが良い!
「初めまして! このサークルはね、サークルのみんなで、アニメを見て、みんなでワイワイするサークルだよ!」
正直、存在意義のないサークルじゃないのか、それ。サークルでやらんでも、友達同士で事足りるではないか。何か同人誌を書くでも、エロゲーを作るでもない。ただアニメを見るだけか。まぁ、ちやほやされたいだけの私には、ちょうど良さそうだけど。
「そうなんですか! 私もアニメ大好きなので、合いそうです! 何か創作活動はするんですか?」
「いや? サークルではやらないかな。サークルの人が各々している感じだよ。」
なるほど、作る奴は作ると。
「そうなんですか! 女性の先輩はいます?」
「いや? いないよ。」
キタ━━━(゜∀゜)━━━!! 結衣! アニメサークル! ベストマッチ! アーユーレディ? 勝利の法則は決まった!
同性の人がいないのは、つまりすなわちそれ、ライバルがいないということ。
ライバルのいないポケモンのようである。ヌルゲー確定である。私の大学生活は薔薇色だ。
「そうですか。同性の人がいないのは、寂しいですけど、楽しそうなサークルですね! サークルに入ってみます!」
「本当! ありがとう! それじゃ、この用紙に名前と学籍番号、メールアドレスの記入お願い。」
ふふ、きっと、今はまだ淡々と話しているこのオタクの先輩も、きっとそのうち、私に惚れるんだ。
ざまぁみろ! 高校時代に、私をバカにした奴らめ。私は、逆ハーレムを形成するんだ。
ワッハッハー↓ あいつらめ、私をのけものにしやがって。つけものの恨みは恐ろしいぞ〜。
私がサークルに入ってから一週間後。
「いや〜、『君の名は』は本当に名作だな!」
「本当! 青春を感じるよね!」
「どうだった? 結衣ちゃん?」
「え、ええ。とてもいい話でした。」
一体全体どういうことだ。なぜ、誰も私にチヤホヤしない? Why Why Why Why...
気づけば、I can't be riaju...
誰か、私を楽しめせてくれよ! Exciteさせてくれよ! 総員私を構ってくれぇ!
い、いかん。落ち着け。現実の非常さに思わず、叫びだしそうになった。きっと、サークルの人たちはきっと高嶺の花 紅一点のベストマッチにたじろうでいるのだ。
「皆さんは、今までどんな恋愛しました?」
オタク共の恋愛を聞いてみることにした。まぁ、どうせみんな彼女いない歴=年齢の童貞だろうかな。
「うーん、俺は、高校時に、彼女がいたんだけどね......」
は? 二次元じゃなくてか? マジで? 嘘だろ、おい。
オイオイオイオイ、死んだわお前。サークル紹介の時に話をした谷内は、自分の恋愛歴を語った。
「進学前に別れて、今はテニスサークルの彼女とうまくやってるよ!」
なん...だと...! こいつ、彼女がいたのか! 裏切り者! エクスシードウラギリスめ!
「俺も、大してモテナイから浮いた話はないけど、天体観測サークルの彼女とうまくやってるよ!」
あんじゃねぇか、おい。 マジか、部長...... サークルの中で、結構まともなルックスをしてるから、密かに好意を抱いていのに......
午前2時に望遠鏡を担いで行ったのか...... ほうき星を探して。
「俺も、クリスマス前に同じ学部の女性と付き合えて良かったよ。」
もはや、名前すら覚えていない男まで、ノロケ話を話し出した。
爆ぜろ、リア充! 弾けろシナプス! バニッシュメントデスワールド!
「俺は、誰も付き合ったことないんだけど、きになる人がいるんだよね......」
一番、容姿も挙動もヤベェ奴がこちらをチラチラ見ながら、話してきた。
こいつはない。
大してイケメンでない男でも、チヤホヤされるのは嬉しいが、こいつはない。
部長が逆に私に訊いてきた。
「結衣ちゃんは、好きな人いるの?」
「えー? やだなぁ、いませんよ!」
部長、ぶっちゃけ好きでした。はい。末長く爆発しろ。
「そうか。まぁ結衣ちゃんは可愛いし、そのうち彼氏できるよ。」
これぞ、勝者の余裕という奴か。容姿も挙動もヤベェ奴以外、みんなリア充みたいだし、サークルを辞めるか......
サークルを終えて、家に帰り、速攻布団に潜った。
(ああ......部長。どうして......)
布団から脱出し、気分がてらネットサーフィンをした。『出会い 大学生』で検索をした。
バイトで、出会いを増やそう! というサイトを見つけた。
なるほど、バイトで出会いを増やすには、飲食店やカフェがいいのか。なかなか為になる情報を見つけた。
働きたくないが、リア充になる為だ。あのサークルのことは忘れて、バイトを始めよう!
私は、『バイト作戦』を始めるのであった。