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凛然たる添い唄  作者: アソラファ・タプールベリ
第一章 新たな風の香り
3/5

第二話 『希望を象徴した天使』

 凛音は皆に手塩にかけられてのびのびと育った。


というのも、俺の一つ上の先輩たちが、しごきにしごかれた辛い経験から悪しき伝統を断捨離することにしたのである。俺はもちろんこれに賛成した。

 だが、絶対数としては反対派が多かったーー現役部員が全員これに賛成したにもかかわらず、である。部活にろくに来ないくせに、こういう時こそ声を大にするのがOBの存在である。OBの言い分はこうだ。


「俺たちが苦しんできたんだから、お前らも同じ苦痛を味わえ」


 まあ放っておこう。始まれば理解してもらえるさ。


 さて、待ちに待った新入部員の入部する日である。俺たちは新入部員の顔も名前も分からない。新入部員は右も左も分からない。そんな状況を一気に打破したのがその新入部員だった。


「こんにちはっ!!」


 青空のように壮大で澄みきった声。そこからは、文面では表せないような朗らかさが滲み出ていた。


「こんにちはー」


 思わず俺も挨拶を返してしまう。周りを見渡すと、やはり同じようにしているーー見たことも聞いたことも無い新入部員に対して、である。

 おお、と思わず感嘆の声を漏らしそうになってしまった。知らない人だったのに、気持ち良い挨拶をしただけで一気に距離が縮まった気がする。どうやら皆も同じような感想を抱いているみたいだ。


 俺は遠目で新入部員の姿を捉えるーー。

 風に吹かれて揺れる髪。それは、何の抵抗もなく、ただ素直にーーあたかも彼自身が体操部に吹いた新たな風であるかのように。

 水晶のように透き通った瞳。それは、希望に満ちた将来を見据えていてーーその希望はあたかも彼が体操部に与える希望であるかのように。

 健康的に日焼けした顔。それは、凛とした天使のような表情でーーあたかも彼が体操部に降臨した天使であるかのように。

 ーー彼を一言で表すなら、"爽やか"であった。


 ぞろぞろとOBが集まってきた。新入部員の初部活ではOBが勢揃いするというのが恒例の年中行事である。主役よりも遅いとはいい度胸じゃねぇか。なんちゃって。

 OBは一つ上の先輩とばかり話していて、新入部員には目もくれない。

 さて、ある程度頭数が揃ったところで、集合して自己紹介タイムである。

 OBの紹介、現役部員の紹介と続き、俺の順番が回ってきた。


「塩見雄です。よろしくお願いします」


 知ってるよ、という雰囲気の中、新入部員は一所懸命に全員の名前を覚えようとしていた。健気である。


「高橋奏太です。よろしくお願いします」

「湊賢です。よろしくお願いします」

「浜中秀政です。よろしくお願いします」


 さて、次がいよいよ新入部員の番である。平凡な自己紹介が続き、必死で顔と名前を一致させようとしていた彼以外は皆退屈していた。しかしながら、たった一人の後輩である。OBも含めて、全員が見つめた。


「風見波凛音です。よろしくお願いします」


 シンプルな自己紹介であるはずだが……どうして俺たちとここまで違うんだ?まず名前負けした。名前から爽やか丸出しではないか。


「っ……」


 まず、賢と相思相愛であった宏大さんがノックアウト。前から疑っていたけど、壁の低さが確信に変わった。

 しばらくして、OBの真尋さんもノックアウト。この人も随分と壁が低そうである。


 結局、その日の最後にはOB全員が悪しき伝統の断捨離を快諾した。

 これも全て、新入部員ーー凛音の爽やかさがそうさせたのだ。


 だから、凛音はOBも含めた部員全員に手塩にかけられてのびのびと過ごすことができたのである。

これからも頑張っていきますので、期待しないで楽しみにお待ちくださいw。応援よろしくお願いしますm(_ _)m


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