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境界のアビス  作者: 棗喰う
天秤編
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第8話 見つけてしまった悪意

天秤編 見つけてしまった悪意


瓦礫を超えて歩いていく。この辺りは人なんて住んでいない。同じ様な風景しか広がらない荒地を進み廃墟に辿り着いた。


俺はイザナミの魔眼を使って周囲を見る。すると廃墟の二階に1人潜んでいるやつと地下に4人いるのがわかった。俺の魔眼は稲月みたいに東京全域を見れるわけではない。精々半径50mが限界だ。俺は気配を極力消して廃墟に入った。


中は人が住める環境ではない。俺はゆっくりと動き地下の入り口を探す。クローゼットやテレビの残骸を横目に探す。するとソファーの下から風が吹いている。俺はゆっくりと動かそうとした。


ピューン!


そんな音が聞こえて俺は咄嗟に体を捻って飛んできた物体を避けた。


「くっ!罠か」


俺は体勢を立て直して飛んできたものを見る。それは鉄の塊だ。発射口は壁に埋まっていてわからなかった。ソファーに触れると発動する様だ。


「先天必勝.......てなぁ!」


そんな声が二階から聞こえたと同時に俺目掛けて二階からドロドロした液体が飛んでくる。右にそれを避けて二階にいる男をみる。情報にあったチャラ男こと高坂だ。


「お前が高坂か。できれば大人しくしてもらいたい」


「は!やだねぇ!それに俺の名前は赤星だ!死にやがれ溶岩人形!」


やつの手からドロドロ液体が出てくる。やつが叫んだ名前の通り溶岩人 だろう。それは形を作って人形になった。


「やっちまえ!溶岩人形!」


それはこちらに襲いかかってきた。それほど速くはないが俺の身長の3倍はある溶岩人形の攻撃範囲は広い。


だが、あれが奴の力であるなら俺には効かない。手に力を込めて光らせる。これ技の名前は御神楽崩しというが、俺には技名をいちいち叫ぶほど馬鹿ではない。その溶岩人形に近づいて手を当てると溶岩人形は跡形もなく消滅した。


「な!溶岩流!」


チャラ男は驚いたもののすぐに対応してきた。彼に戦い方を教えた奴はそうとう出来るな。俺は溶岩流を消そうと思ったが大きく右に飛んで瓦礫を伝って二階に登る。男は舌打ちをしてをしてこちらを向いた。


「溶岩壁!」


「遅い」


俺は手の力を抜き擬装叢雲という刀を作り出して男を切った。


「な!ぐ.......」


男は腹を抑える。俺は死なない程度に切ったつもりだが余裕がなかったので割とザックリやってしまったかも知れない。反抗組織とは言えまだ行動に移してないためまだ罪はない。俺は男に近づいて意識を刈り取った。


俺は携帯を取り出して黒龍に連絡した。


『黒龍。アジトを発見した。場所は切った後に送る』


『わかった。その場で待機してろ。今からいく』


今からいくと言ってたが3分もしないうちに来るだろう。会長は境界脱出と並行して境界移動の研究をしていて、その成果の1つが東京内での境界点移動だ。世界を渡れずとも同じ空間でなら渡れるそうだ。


俺の近くの空間が歪んでそこから黒龍がでてくる。出てきたと同時に黒龍はチャラ男を歪みに放り込んで歪みは閉じた。


「待たせたな。行くぞ」


俺はソファーを動かして地下に続く階段を下っていく。罠は発射口を壊しておいたので作動しなかった。


「油断するなよ神凪」


「わかっている」


俺の力であれば異能は消せるが、他の能力と並行して使えないのと罠や普通の物体には弱い。そのため肉弾戦になればメイラや錦、黒龍にま負ける。

黒龍とメイラに剣術を教えてもらったがまだまだだ。


「神凪。敵との距離は?」


俺は魔眼を発動して見てみる。


「この先13mに1人さらに7m先に3人です」


「わかった。アビスと思われるものがいた場合は私が相手をする」


俺は頷いて周囲を警戒しながら歩く。ちなみに黒龍は日本語を勉強して話せる様になっていた。


俺たちは扉の前に着いた。俺は扉に手をかけたがその手を黒龍が止めた。


「どうやら中にいるのはそれなりに強そうだ。俺がやる」


そう言うと黒龍は扉を開け放ち勢いよく飛び出していった。部屋には金髪の整った顔と鍛え抜かれた体を持つ男が仁王立ちしてた。顔立ちを見ればわかるが俺たちの世界の物ではないな。


黒龍よりの顔立ちをしている。


黒龍は男の心臓めがけて手刀を入れる。金髪の男はそれを受け流して距離をとった。


「とんでもない挨拶だな。貴様らを待っていたというのに」


俺たちは誘われたということか?黒龍は後ろに下がって言葉を発した。


「待っていただと?どこかに案内でもしてくれるのか?」


「そうだとも。君が『黒龍』か。そして後ろにいる君が神凪くんだろ?アビス様がお待ちです」


俺と黒龍はアイコンタクトをする。ここまでやられたら帰れないと見るべきだろう。こちらに拒否権はない。


「どうやらこの一年、俺は隠れていたつもりだがバレていた様だな」


「ええ。最初からアビス様は気づいてましたよ」


俺たちは奴に着いて行き奥に歩いている。


「ところで入り口の赤星とか名乗ってた奴はなんなんだ?」


「あれは警備兵だ。アビス様がこちらの世界で壊したオモチャです。替えはいくらでもいるから気にしなくていい」


恐ろしいことを普通に言いやがったぞ。壊したオモチャだって?人のことを人として考えてないのだな。


俺と黒龍はその後は黙っていた。


「さて、着きました」


そう言って扉を開けた金髪の男に誘導されて中に入る。罠だとはさてもここまでされたら積んでいる。


俺は中に入った。中にはフードを被った奴が2人いて正面の椅子の横に立っていた。そして中央の椅子には黒髪で赤い目をした少女が座っている。


俺は姿を見て本能が察した。あれがアビスだと。俺はそいつの顔を見ずに足を見た。黒龍も警戒している。


「あらあら。人の顔を見ないなんて酷い人達ね。天津星、貴方は帰りなさい。ゲートは用意してあるわ」


「わかりましたアビス様。空様に伝えておきます」


そう言って金髪の男こと天津星とやらは隣の部屋に向かっていった。


不気味な奴らだ。特にフードを被って微動だにしない2人が。


アビスとやらは立ち上がってこちらに歩んでくる。


俺と黒龍は一歩下がった。


「あら、流石の私も傷つくわ」


俺は相手のペースに飲まれないために質問をすることにした。


「お前の目的はなんだ?」


彼女はにんまり笑顔を作って


「ふふ。そうね、今の目的は中枢と地下の生産拠点の破壊かなぁ?」


「なんのために?」


そう聞くと彼女は困った顔をした。見たわけじゃないが雰囲気でわかる。


「あー。説明長くなるけどいい?」


なんだ、話してくれるらしい。黒龍も話してくれるなら聞こうと言ってた。


「えっとね、まず私は早く帰りたいの。そのためには彼女の邪魔をして貴方たちに早く帰って貰わないと困るの」


「どういうことだ?貴方が邪魔をしてるから俺たちは帰れないんじゃないのか?」


会長はそう言っていた。アビスが邪魔をして帰れないと。


「あーね。私は一度も邪魔をしてないのよ。邪魔をしてるのは彼女なの。私についてきて邪魔をしてるの。この境界は物体が残っていたら閉じられないのよ。だから彼女の遊びを潰して帰って貰わないと.......」


俺たちはその第三者のせいでここまで迷惑を受けていたのか。


「それで、貴方が私達の世界を引きずり込んだ理由はなんですか?」


アビスとやらがそもそも境界に引きずり込まなければこんなことは起きなかったはずだ。


「私は探し物をしてたの。そもそも境界を開くだけで引きずり込む予定はなかったのよ。彼女が貴方たちの掘ったトンネルに勝手に干渉した結果がここよ。ここは海に大きな渦ができて、その底みたいな場所。ようするに私はこの件に関しては無罪です」


「それを信じろと?」


「それは勝手にどうぞ。私は帰れればいいの」


「ところで彼女の名前は?俺たちはそいつをどうにかすれば帰れるのだろ?」


「まぁね。彼女の名前はエル」


それを聞いた黒龍が驚いていた。


「エルだと?まさか女神エルか?」


アビスは笑っていった。


「そうよ女神エルよ。彼女は狂ってしまったのよ」


「黒龍、エルとはどのような女神なんだ?」


「エルは楽園の女神と聞いている」


楽園の女神?それが狂ってこんなことを起こしたのか。


「ふふふ。アレをどうにかできるなら手を引いてあげるわ。まぁ、気が変わらなかったらね」


アビスは面白そうにそう言った。まるで新しいオモチャを見つけたかのように。会話は成立はするがマトモに話すのはやめておこう。


「ちなみに私の目は狂気の瞳よ。見たら最後。『深淵の鎖はあなたを逃さない』覚えておきなさい」


彼女はそいいうと俺たちに帰りなさいと言って追い出した。


地下から出てきた俺たちはこのことを会長に伝えるべく研究室に向かったのだった。

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