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ある朝のつぶやき

 君が存在するのは思い出のおかげ。


そう言い聞かせられたのはいつだっただろうか。よく思い出せないが、その台詞を言ったのは彼だった。


 目を開けると、そこには空虚さを孕んだ天井がぼんやりと広がっているだけで、あの時の彼の目も彼の肌もある訳がないのに、何故か私は私の手を、夢の中で彼が居た方向に差し出していた。


 馬鹿らしい、と思いながら体を起こす。自分の体温が残った布団を手放すと、少し肌寒く感じた。時計の針は五時半を若干回った時間を指していて、起きるには早いけれど寝るのには遅すぎるという、まさに帯に短したすきに長しという諺そのものだった。


 ついてない、とため息をつきながら制服に袖を通す。半年ぶりの夏服に体がついていけず、着終えた途端にくしゃみが出た。今日は長袖のままのほうが良かったかと考えたけれど、面倒くさくなってやめた。窓の外は憎らしいほど快晴だ。今は手加減して暑さを送り出していないだけで、どうせ昼ごろになればうだるほどのそれが待ち受けているのだろう。教室で焼け死ぬよりかは、少々の寒さに耐えることのほうが建設的だろうと、引っ込めかけた手を戻す。


 一通りの準備を終えると、後は特にすることはない。テスト前でもない朝に勉強をするほど私は真面目じゃないから、正直、早起きしても意味はない。早起きは三文の得と世間は言うが、どうやらそれは私には当てはまらないらしい。


 さて、何をしようか。時計の針はのろのろと動き、時間を進める気などこれっぽちもないようで、部屋から出るにはまだまだたっぷりと時間がある。こんなに早く起きるんじゃなかったと後悔にさいなまれた瞬間、目の前に彼の顔が浮かんだ。

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