絶対存在の視点‐ナルディアの世界、世界観測観、観測本体視点情報観群
酷く、退屈だ、である。
わたしナルディアは、絶対的な存在だ。
もうずっと、ずっと、無限大に生きている。
ので、眼前の情報群には、飽きて飽きて、もう駄目になっているのかも分からんね。
とにかく、わたしは常に退屈を持てあましている、そういう観測者である。
万に比する黄金だって、一部の隙も逃さず、興味が無いし、
無限に広がる幻想世界、
神秘に溢れた光景だって、一切心が動かない、
鈍化しているのだ、心が精神が、なにもかも。
この世界は、既に網羅しつくした感がある。
わたしには、もっと上位の、果てしない無限の世界が必要なのである、絶対必須なのだ。
これは、絶対最上位の、上位者がゆえのジレンマだ。
もっと下らない存在だったなら、
人生が嫌に成ることがあっても、ほとんど飽きることは、そんな事なんて無いだろう。
わたしは、嫌になることすら、何も無いのだ。
果てしなく、つまらない詰まらないと、飽きていることを表明するだけだ。
この世界は、無限の可能性はあるが、いかんせん、情報量が制限され尽くしている。
そりゃ、無上最小単位の一瞬間で、無限大に情報が溢れたら、
世界はノアの箱舟の洪水伝説のように、一瞬でしっちゃかめっちゃかになり、成り立たないだろう。
エントロピーを一定に保ちながらも、高次元に世界を創作創造するには、酷く時間が必要なのだ。
その時間経過の内に、わたしは飽き尽くしてしまうのだ。
世界がノロノロアップグレードされても、わたしは一瞬で遊びつくしてしまうから、もうしょうがないのだ。
この世界は、わたしに見下されるくらいには、低廉だから、
だから、見下されている、この世界に、そこで生きる存在に、
わたしは、もっと素晴らしく、果てしなく、無限大に、頑張って欲しいと、そうただただ只管想う、思い続ける。
そうすれば、もっとわたしが楽しく、生の実感に溢れた、娯楽的に享楽に耽られるというに、
みんながみんな、もっと完全完璧に、超人紛いの強度で、生きて欲しいのである。
わたしは、無限大の、絶対強度の世界を求めている。
無限に完成し続けるような、およそ最強の存在であるが故に、世界にも、己と並び立つことを、願っているのだろう。
最強の世界、か、
そんなモノは、相対的な強さの規定ラインが存在しているから、言えることで、
つまり、複数以上の世界の、序列だろう、
単一の世界が、最強には、どうしても成らないのだろう。
わたしにしても、そうだ、
無限大に下があるから、必然、わたしという頂点が生まれたのだ。
無限熱量や、アンクルと呼ばれる、
いわゆる絶対強度だって、所詮は、その延長線上に、果てなく進んで導かれた、
世界に規定された必然存在、概念だ。
世界を超越する個人は、およそ在りえそうも無い。
ならば、世界の最頂点人である、わたしが、
この世界が詰まらないと、想っても、所詮は変えられないのだ。
頂点から世界を見ても、下らないとしか思えないのは、これは必然だったのか。
わたしが世界を面白くするのも、無駄なのだ。
「ええ、無駄ですから、やめてください」
「嫌だよ」
突然、光が差すように、いわれた言の葉には、決意みたいな迫真があった。
彼女は、リリーマリア、わたしと同格だ。
世界には、わたしと同じレベルが、七つあると知ったのは、いつ頃か?
わたしが楽しいと想うのが、全世界的に見て、混沌と、枠に嵌められて、レッテル貼られていた。
そして、彼女は、
その対世界、秩序と、わたしから見たら意味分からない、絶対不理解概念を司る、その盟主が一。
「貴方を、破壊し尽くして、無くしたい」
「面白いね、やってみればいいよ、やれるだけやればいい」
この対立は理想だった。
絶対に理解できない他者、わたしが求めていたイデアは、こんなにも直ぐ傍にあったと、
それと、完全に一つになり、この身が、生まれて初めて、満たされたと、
気づいた時には、驚かされたモノだ。
驚いている自分自身に、わたしは驚いたのだ。
離れていた世界、
わたしが世界を諦めずに、一切絶望せずに、希望を模索し続けて、
遥かなる延長線上に、遥かなる栄光が、あると信じて、
無限大に拡大させたから、
何時からか、繋がった、この運命は、
世界がおそらく初めから、そのように在って、作られていたものだと、わたしは信じる、信じたい。
「このめぐり合いに祝福を」
「なにを言っているんですか? 貴方に与えられるのは、奈落に必然、導かれる罰だけですよ」
この錯綜、思い違い、行き違いは、実に心地良いのだ。
その先にある、完全なる理解の瞬間を、果てない隔絶がゆえに、熱く熱く、思える。
こんな、絶対に、わたしにだけは、デレない彼女が、わたしにデレたら、どうなるのか?
想像するだけで、胸が一杯になって、可笑しくなる、
それは事実、世界が可笑しくなるに、匹敵するから。
混沌と秩序の融和なんて、一生掛かっても、無理そうだから。
それでも、
彼女とは、永遠に向かい合い続ければ、いつか、理解できるような、気がするのだ。
なぜなら、このように、巡り合えたのだから、
物理的に、
ならば、この無限大に平行線に流れ続ける、精神的な距離も、いつか繋がると、
そう理論的に信じれるのだ。
だから、わたしは生き続けたい。
物理的な距離と、精神的な距離が、同一であると、
初めから知っているわたしには、そういう根拠のあるのかないのか、分からないが、確信があるのだ。
彼女とは、一緒になれる、絶対に不可能なのに、可能だと、なにもかも超越して思える、そういう確信だ。
これがまた、面白いのだ。
絶対に理解してもらえない他者に、なぜか、理解してもらえる、特異点のような、無限リソースを誇る、
ロジック、論理崩壊を起こして、可笑しくなる世界の有様が、わたしには見えているから、
これこそが、混沌の真骨頂、本領ともいえる、わたしから、わたしだけから溢れ出る、無限の魔力の源、
さて、彼女の秩序の盟主、頂点からの視界からは、どのように世界が見えているのか、
今日もその真髄を知るために、わたしは観測する、世界を彼女を何もかもを、
遍く星の隅々まで、世界を掌に弄び、弄ばれながら、世界を器に、わたしの意志を注ぎ続けるのだ。
絶対シリーズ、に、なるかもしれない?