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おじいちゃんからの電話

作者: 小豆こまめ

読んでください。

今日、おじいちゃんが亡くなった。屋根から落ちて頭を強く打って、それでそのまま…

僕のおじいちゃんは便利屋さんという仕事をしていて、頼まれた事なら何でもやってのける。いつまでも元気な自慢のおじいちゃん。その仕事中に起きた事故。


僕は大学一年生。五月も終わる頃、大分一人暮らしには慣れてきた。一つ問題はご飯が作れない事。笑

もともと少食だったからそんなに食べなくても何とかやっていけた。ほぼ1日一食。ふりかけご飯。栄養も糞も無い。体重は3キロ減った。


3日前、おじいちゃんから電話がかかって来た。「音楽が聴けるスピーカーなんかいらんか?」おじいちゃんは掘り出し物を見つけては僕にくれる。古かったり、汚かったり、それでもちゃんと治しては僕にくれる。本当に何でもできちゃう。僕は一人暮らしを始めて新しいスピーカーを買ったばかり。「大丈夫だよ。スピーカーは持ってるから。」 それでもカセットが聴けるだの、まだ使えるだの、いろいろ言ってたな。笑

「ちゃんと食べてるか?」何時の間にか話題が変わった。一人暮らしを始めていろんな人に聞かれる質問。「ちゃんと食べてるか?」「ふりかけご飯を食べるくらい」僕は答えた。「野菜は食ってんのか?」「全然。」「肉とか魚か?」「ふりかけご飯。」おせっかいなおじいちゃんの質問攻めは続いた。そして怒られた。「おめぇ、ちゃんと食わねぇと体悪くしっちまうぞ。お母さんから貰った大事な体、ちゃんと大事にしろよお?」「うん。」「料理なんて材料買って、火に通せば簡単なんだから」「うん。」「分がんねえ時は、近所のおばちゃんさ聞くといんだぞ。可愛がって教えてくれっから。」「うん。」「男なら何でも挑戦すんだぞ。お前、頑張って勉強して大学さ入れたんだから。お前なら出来んだから。やってみい。」「うん。」「いろんな事やってみっと楽しいんだぞ。頑張れよ。」「ありがと」『じゃあね』

怒られたのか励まされたのか、おじいちゃんがあんなに強く言ったのは、いつぶりだったっけ?


おじいちゃんが亡くなったってお母さんから電話が来た時は何を言ってるのか分からなかった。おばあちゃんが病気で死んだ時は覚悟はできてたからちゃんと受け入れられた。でもおじいちゃんは違った。さっきまで元気に仕事してたんだもん。

電話を切った後も何故か僕は英単語を書き続けた。一個も頭に入ってこないけど、書き続けた。

後からお母さんに電話をかけようとしたら月曜日の着信欄に「おじいちゃん」の、名前があった。そう言えば月曜日、おじいちゃんから電話きたんだっけな。いろいろ言ってたな。でも 今はもういなんだ。その時、初めておじいちゃんが死んだと実感し、涙が出てきた。かけたら出るかな?本当は死んでなんかいないんじゃないかな?気づいたら僕はおじいちゃんの携帯に電話をかけていた。サンコール目でおじいちゃんが出た。「はいよ。どうしたんだ?なぁにぃ?料理に失敗した?はっはっはっ 難しいかぁ。やってみろやってみろ。失敗は成功のもとだぞ。今度帰ったらお母さんによっく聞け。」


…………呼び出し音が、鳴り続ける携帯を、耳に当てて僕は何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、「うん。」「うん。」「うん。」と繰り返していた。

読んで頂きありがとうございます。

こんな時ですが、明日実家に帰り、お葬式などを、してまたこっちに戻ってくる予定です。明日の朝、神奈川を発ち、東北の実家に帰るまでが、本当に辛いです。何をすればいいのか分からず、気づいたら書いてました。


最後まで目を通してくれてありがとう。

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