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エリーのおきらく孤島生活  作者: 久留米
7/7

7 たんけん その1

 どんぐりホットケーキを堪能したあと、、残りの種を全部焼いた。9枚出来た。お皿に載せて、ふぬーっとアイテムウインドウを意識しながら入るように念じるとホットケーキはアイテムウインドウに収納される。


 「毎回思うけどアイテムウインドウ便利すぎるな。」


 これがあるとないとだと大違いだ、と一人でふぬふぬする。


 「今はとりあえずすることないから、チュートリアルマップでも見回ってこようかな?」


 どんぐりが成るまで水遣りしかないので、新たな食材を求めにチュートリアルマップを回ることにする。ここまできてももったいないのか、ガールスカウトの服を着ないエリー。、というより(微妙な)お年頃のエリーは純粋にこの服を着ていい年齢なのか判断に迷うところもあった。ミニスカートにスパッツだったので。チュートリアルマップはエリー自身の地力でどうにかなる、という目算もあった。

  

 元々このマップは農業、採集、料理、そして戦闘の基本を覚えるためのマップだ。(チュートリアルだからね!)エリーはそんなに要領がいいほうではないので、かなりしつこくこのマップに居た。 だから誰よりもここに詳しいという自負があった。


 基本おっちょこちょいという致命的な疾患を除けば、エリーは落ち着いて考えるということが出来るちゃんとした『大人』だ。・・・多分。ギルドでもちょっとした良識派として通っていた。・・・本人的には。


 ゲーム内でのチュートリアルマップの概要はこうである。ほぼ楕円形(ギザギザ型)の島の中央に木組みの小屋、畑、その周りを囲むように森、島の北には小高い山(ちょっとした小山が連続した、ミニュチュアナイズな山脈)、反対の南には海水浴場っぽい海岸が広がっている。また、南の海岸にはここから小舟でも作って本島に行ってくださいね、的な桟橋がしいてある。全部この通りかどうかは分からないが、とりあえずエリーが覚えているのはこんな感じのマップで間違いは無い。


 「よーし・・・森に行ってみようかな。薪とかキノコとか果物採りたいしね。」


 アイテムウインドウの残り枠はあと12枠だが、採取に行くのですぐに使わないものをおいていくことにする。

ただ、食品やどんぐりはアイテムウインドウから嵩張る上に品質の低下が心配されるので、そのままにした。


 「んーと・・・置いていくものは、ハンマーと、ジョウロ、鋤き。もったいないから服とかはこのままで良いか。んじゃ、赤いバンダナ、GS(ガールスカウトの略)服、鍋のフタ、フライパン、俊足も裸足だし置いていくか。一応ピストルと弾を持って、ナイフを持ってと・・・。しかし、裸足は地味にいやだなあ・・・」


 まあ仕方ないので長靴を履く。小屋の中はねいちゃーな感じのフローリングなので裸足のほうが気持ちいい。だが外を歩くときは裸足に履物はイタリア人みたいな感覚は持ち合わせていないので、靴下を履きたいものなのだ。人間なくなってからその大切さに気付く。


 「すぐに解決するものでもないから、がんばって慣れていこう。」


 結局Tシャツにパンツというワンマイルスタイルで森に行こうとするエリーなのであった。


 どんぐりしかない畑を抜け、森に抜ける小道に入る。折角なので海を見てみようと南に行くことにした。南に抜けるときに通る森には薪が取れる木(あ、当たり前か)、それに生えるキノコ、あとは果物などが採れる。とされている。取れる果物は木苺や、森苺と呼ばれるもうそれ完全にストロベリーですやんなもの、リンゴンという林檎の味のするさくらんぼもうそれ林檎でいいやんなものがある。とされている。


森に入ると薄暗くなるかなーと思っていたエリーだが、意外にマイナスイオン全開な気持ち良い雰囲気に和んでいた。小道(?)はあるのでそれに沿って、南に進んでみる。


 「おっ! 早速森苺はっけーん」


道端に可愛らしく森苺の苗を発見した。丁寧に手で苗を掘り返し、バタフライナイフで余分な根を切る。


 「ふっふっふ、幸先良いな」


 森苺を苗から採り、一つを口に入れ、3つをアイテムウインドウに入れた後、苗も入れる。こうすると畑に苗を植えられるのだ。移植ってやつか? エコ。


 「甘いな! ジャムに出来る位には採ってやるぜ!」


 何故か少年漫画のような口調になりながらもエリーはもりもりと森苺を採取していった。5株アイテムウインドウに入れたところで、手も真っ黒になったしここらで勘弁してやるかと立ち上がる。


 「お? 立ちくらみ来ない。ちょっと元気な身体になったかな?」


 エリーはもともと貧血気味でしゃがんだ状態から立ち上がると立ちくらみが襲う体質だった。しかし100%の確率で起きていた立ちくらみは何故か来ない。自分の身体に違和感を感じつつも、これは良い特典、とほくそ笑むエリーだった。


 「手も結構真っ黒になったことだし、泉がないか探してみようかね」


 ランダムポップではあるが、チュートリアルでは泉があった。かなり綺麗で、人間が飲んでも差し支えなく、また水浴びする程度にも水温も丁度よく、ハクロのプレイヤーには人気の泉だった。


 がさがさ、と小道から少し逸れて歩くと、お目当ての泉を発見する。


 「おー、あるある。取り合えず手を洗うか」


 澄んだ水面に手を伸ばしパシャパシャとやる。手が綺麗になったところで水を掬い、飲んでみる。


 「うーん。湧き水なんて初めて飲んだけど、なんかちょっと味するんだな。ほの甘い?ような。水って味したっけ? いや、小屋の井戸水飲んだけどこんな味しなかった。でもここにたまに水を態々採取しに来ても良い位には美味しい。まあそれくらいにしておくか・・・・」


 ちょっと長めの独り言をぶつぶついいながら顔もパシャパシャとやる。なんか拭くものもないのでそのうち乾くだろう、と着ているTシャツで顔をごしごしとする。乙女にあるまじき行動だが本人はさっぱりしていい気持ち、とご機嫌だ。エリーは探検を再開することにした。



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