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エリーのおきらく孤島生活  作者: 久留米
6/7

6 どんぐり

 草刈りが終わったのでじゃあ次は整地、とまたアイテムウィンドウから違うアイテムを出す。


 「整地用ハンマー!!」


 どっかのロボットが言う感じでジャジャーンと出す。(ちなみに装備品はアイテムウィンドウをクリックすると自動的に装備される仕組みのようで、逆に入れたいときはウィンドウを意識しながら気合で『えいっ』と入れる、何とも根性論的なシステムだった。)


 またちょっとピンクで柄がタータンチェックの可愛いハンマーが登場する。エリーはそこそこStrがある方なのでそれなりに重量のあるハンマーを扱っていた。扱っていたが・・・


 「普通に重いよこれェ」


 つぶやく。まあ、といっても振れないほどではないので、鎌の時よりはペースは落ちるものの、よいしょ、よいしょ、と頑張って整地していく。


 「ふいーっ・・・」


 10個分整地したところで、水分が欲しくなる。流れる汗を拭いながら井戸で水分補給。


 「なんかちょっと楽しいな・・・」


 一人でニヤニヤするエリー。ちなみに農業するのにガールスカウトの服は勿体無かったので、パジャマ兼ワンマイルウェアーとして愛用していた白Tシャツとカラフルチェックコットンパンツを引き続き着用している。靴は長靴が玄関(?)の外にあったのでそれを履いている。靴下が無いのが微妙にきついが、気にしてられないので我慢中だったりする。


 「あとは耕して、どんぐり植えて、水遣りして終わりか。残ったどんぐりはどんぐりパンにしちゃおうかな?」


 その後マイハンマーで整地したところをマイ鋤で耕し、(やっぱりピンクでタータンチェックの取っ手だった)どんぐりを植える。井戸に行ってマイジョウロ(全体はピンクで持つところだけターt(略)

で水遣りをしてやる。


 全部終わった頃には、エリーのお腹と体力が限界を迎えようとしていた。


 「お腹すいたお腹すいたしかも疲れた」


 壊れたロボットのようになり無表情でつぶやく。一人暮らしが長いとこうなるものなのだ。


 「外でばかり食べてもなんだな。中で食べよう。」


 オタクは日の光を浴びすぎると中に入りたくなる習性がある。ウインドウからサンドイッチを取り出して、もぐもぐと食べる。小屋の中のキッチンカウンターは、テーブルっぽい作りになっていて、椅子があり、そこで食事ができるようになっていた。


 手持ち無沙汰なのでウインドウを眺めながらハムサンドを召し上がるエリー。


 「午後は何しようかな? どんぐり使って何かしようかな。 久しぶりにどんぐりパンでもつくろうかなー」


 どんぐりを植えたあとなのにどんぐりのことを考える。 まさにどんぐりマスター。


 レシピをチェックする。


 「えーと、どんぐりをすりこぎですりつぶして粉にします。木べらで混ぜながら、水を、少しずつ足します。生地がひとまとまりになったら、耳たぶ位の柔らかさになるまで、手でこねます。その後、30分ほど寝かして、好きな大きさに成形し、オーブンで20分程焼くと、どんぐりパンの出来上がりです。」


 どんぐりパンはどんぐり粉と水から出来る。とっても簡単。


 どんぐりをすりこぎに入れる。すりこぎ棒で皮ごとゴリゴリすると、あっという間に粉になった。ちょっとアーモンドプードルっぽい感じの仕上がり。


 とりあえず10個分潰してみる。1個=100gの計算らしく、1kgのどんぐり粉が出来た。


 「まー試しに200g使ってみるか。ワクワク。」


 ボールにどんぐり粉をいれ、木べら(小)を使いぐるぐるしながら水をデュラレックスもどきで少しずつ入れる。


 「ヴッ。」


 間違えてびしゃっとしてしまう。


 「うえーん。入れすぎた。」


 ちょっと泣きが入った。入れすぎた水はどんぐり粉が吸ってしまい、どうしようもない状態だ。


 「あ、諦められるかーっ!!」


 意地になっているのを自覚しつつ、ぐるぐるする。


 すると、なんていうことでしょう。どんぐり粉は水を吸いつつもちゃんと生地になったではありませんか。ホットケーキみたいな。


 「うーむむむ・・・これが限界・・・かっ」


 仕方ないのでどんぐりホットケーキ(?)を作ることにする。とりあえずグルグルした生地を意味があるかはわからないが、パンのレシピ通り30分寝かせてみる。


 30分暇なのでキッチンを荒らし回るエリー。フライパン、ミルクパン、片手鍋、はグリルっぽいところに掛かっていて、なんとなく使った木べらを発見したキッチンカウンターにはおたまや泡立て器、フライ返しなど基本的なものが入っていた。キッチンカウンターにはそのほかにも、ボールや、タッパーの出来損ない(陶器製なので)なども入っていた。


 調理器具というかフライパンなどを使うキッチンストーブがあり、薪を入れて燃やす所の隣にはオーブンがあり、熱を利用して調理をする雰囲気だった。余談だが、薪は標準装備されていなかったので、全部納品するんじゃ無かった・・・とつぶやきながら草ドーナツを作りに外に行って、10個程作ってひいひい言いながらストーブの傍に置いたというエピソードがあったらしい。


 「30分寝かせた生地がこちらですねーっ」


 どこかの3分クッキングに出てくるアナウンサーのような事を口走りながらボールをお玉で突っついてみる。木べらさんは外で洗ってひなたで殺菌中です。あ、ちなみにボールは金属製だけどお玉は木製です。


 「・・・? なんかモチモチしてきてない?」


 お玉でつっつくと生地はモチモチ弾力を返してきた。


 とりあえずフライパンで焼いてみる。フライパンは鉄製です。テフロンじゃない。テフロン禿げた後困るので鉄なのはありがたい。


 と、ストーブで点火しないといけないので草ドーナツを適当にトサトサといれ、スキル種火を発動させる。スキル種火は料理スキルの中で一番最初に取るもので、文字通り指先にライターっぽい日がつくスキルである。指は火が付いているのでちょっと熱いなと思いながら草ドーナツに点火。チロチロと燃え始めてきたので扉をしめてグリル部分が温まるのを待つ。


 多分油だろうなという感じのものを薄く引いてフライパンに油をなじませる。生地を流し込んでホットケーキの形にすると、ぷくーっと膨らんで来た。フライ返しでひっくり返し、お皿に乗っける。じーっと見ていると完成品の情報が入ってきた。


 『どんぐりホットケーキ』:どんぐりパンから派生したホットケーキ。食べるとモチモチして、独特の食感を味わえる。何故か最初から少し甘い。


 ちょっと情報が優しく捏造してある気がしなくもないが、ほうほう、と味見をしてみる。モチモチ。


 「めっちゃモチモチ! モッチモチ! あとホントにちょっと甘い!!」


 パクパクと完食してしまった。

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