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エリーのおきらく孤島生活  作者: 久留米
4/7

4 のうじょう

 武器の名前を考えるのに2ヶ月以上かかるってありえない。

 ハーヴェストクロニクル。それは絵里が毎晩趣味で遊んでいるMMOゲームの名前である。農場を開拓しながらモンスターとも戦えるというどこかで聞いたことのあるゲーム内容で、一部のコアなファンがつく中堅MMOとしてまぁまぁの知名度であるゲームだ。

 

 絵里はそのハーヴェストクロニクル、通称ハクロで(某chではオハグロとか言われて生ぬるい視線のスレが脈々と続いていた)まぁまぁのプライヤーとしてそこそこ活躍していた。


 「こ、この展開で行くと『ステータス』とかの設定とかがそのままになってるんじゃないのかな?」


 なんとか立ち直った絵里は、そう呟くと


 「ステ(ータス)オープン!」


 勇気を出して言ってみた。しーん。何も起こらない。自分で自分を殴りたくなったがどうにかしてたぎる左手を抑える。


 「うう・・・は、恥ずかしいなこれ・・・で、でもこれウインドウも」


 ウイーン。ウインドウがポップアップしてきた。


 「ふぐおおおお!!」


 32歳の妙齢な女性が絶対にだしてはいけない感じの声を発して、絵里は腰を抜かした。


 「こ、腰って本当に抜けるんだ・・・」


 といって呆然といきなり登場したウインドウを見つめる。ウインドウはちょうど絵里の視線に入るように調整されているのか、ぽわわんと移動してくる。


 「タッチパネルかな・・・?」


 ためしにステータスを押して見る。別ウインドウでステータスがポップしてきた。


 Name エリー・マグナット

 Level 67

HP/MP 5370/600

Str: 50

Agi: 43

Vit: 38

Int: 20

Dex: 60

Luk: 40


一応解説してみる。エリーのやっていたハクロではバランス型と呼ばれるまんべんなく上げるステ振りが主流で、彼女も多分にもれず、その型のステ振りをしていた。ただ、魔術師でも無いのにIntを上げてしまっていたのはおっちょこちょいのなせる技かもしれないが。


 「ぐっ、Intそのままか・・・で、でも、賢さなんだからなんか現実には影響あるかもしれないしっ、希望は捨てちゃ行けない! うん!」


 途中で止めておいて良かったな~と思いながらItem欄へ。


 アイテム欄には期待していたほどの蓄積はなかったが、一番肝心な「種子」類や、それを育てる農機具類が揃っていた。 まあ、あとはあまり戦闘するのが得意出なかったエリーでも簡単な装備類が少しに、ポーション類が・・・・たくさん。


 エリーはハクロでは農業中心プレイヤーだったため、戦闘は、武器やプレイヤースキルなどが足りない関係上、料理に使う肉などを採取するためだけのものだった。それも、ギルドの仲間達と(似たようなステ振りで、似たようなプレイヤースキルが足りないのがやっぱり他にもいて、エリーとその友人たちはギルドを作って交流していた)、数でゴリ押ししながら牛を追い掛け回したりするようなやり方だった。


 「んでも、もう少しVitとかに降っときゃよかったなあ。Agiは素早くなるのはいいけど避けるほどじゃないんだよね・・・」


 残念、それは残像だ(キリッ(`・ω・´)とかになるにはAgi特化とかにしなくてはならず、そういったプレイヤーは農業系プレイヤーや、職人系プレイヤーの用心棒や、純粋に戦闘を楽しむ人たちが中心で、居ないことはないがあまり多いとは言えないのが実情だった。だって農場経営系ゲームだったし。


 「むむむ・・・お腹も空いたし・・・ご飯を食べないと! というか料理アイテムは無事なんですかね」


携帯用のItemウインドウしか料理は保存出来ないので、ここにエリーが作った過去の料理がないと、3日ぐらい野菜が出来るまでノーミールである。


 ちなみに携帯出来るアイテムは、30個までと意外と少ない。アイテムウインドウをスクロールしていく。


 「あっ・・・狩りに行く時用のなにかになってないかこれェ・・・」


 よりによってギルドメンバーとお肉獲得の約束をしていたらしく、基本の農機具(鋤、整地用ハンマー、草刈がま、ジョウロ)と、お肉を取ってから植えようと考えていたらしい種子「ドングリ」の実*5、

『へっぴり腰エリー』の異名を取って仲間内から定評のあった戦闘用装備一式、「赤いバンダナ」「ガールスカウトの服」「金属製お鍋のフタ」「伝説のフライパン」「瞬足のスニーカー」が入っている。ここまでは問題ない。むしろないと困る。ここまでで使っている枠は、10個。同じものは10個まで枠を使える。ポーション類はというと、30個ある枠のうち、10個を使い切って実に100個所持していた。


 「ここのチュートリアルマップでは、倉庫が無いんだよね・・・」


 エリーは『お弁当』と称して、おにぎりやサンドイッチなどを10個単位で持っていくことを習いとしており、虎の子のおにぎりや、サンドイッチがウインドウにちんまりと鎮座していた。


 「あー。よかった。とりあえずの食料だー。」


 おにぎりをちょいっとクリック(?)してみると笹の葉につつまれた塩むすびが二個、たくあんっぽいものが添えられて出てきた。


 カリカリポリポリ。おにぎりの前にたくあん派なエリーはかじってみる。


 「うまうま。」


 割と切実におなかがすいていたので、美味しく頂きました。


 最後の貴重な8枠空いたウインドウには、サブ武器の「どんぐり専用ピストル」(威嚇射撃用)、ピストル用のどんぐりが30個、剥ぎ取り用の「バタフライナイフ」が枠を使って、それで終了していた。


 残りは収穫したモノを入れる予定だった、というわけで、モノを入れる枠は3枠のみ。アイテムボックスに入っていたものは愛用していたものばかりだったので、(消耗品除く)エリーは一息つくことが出来た。


 「さ、じゃあもうちょっとよくわかんないけど、どんぐり植えちゃうか。この流れなら言える。『どんぐりがオレに植えろと囁いている・・・』と。」

 もう少し真面目に投稿します。

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