プロローグ
はじめまして。今回、小説を新たに書いていく事にしました。
プロローグは3分くらいで読めるよう短く作りましたので気軽にどうぞ。
新学期の幕を切ったところなので、今日の学校生活は午前中のみ。
相変わらず何を伝えたいのかサッパリな校長の話を右耳から左耳に流し、一新したクラスでの顔合わせを軽く済ませた後、少年は近所のゲームショップに寄り道をしている。
商品棚に整然と並べられたゲームソフトを流し目で物色しながら、早足で目的の場所へ。買うものは決まっている。
通常版と限定版で迷ったが悩んだ挙句、通常版を手に取った。高校生のサイフは厚くない。
店先の貼紙でも明記されてあったがこの時期、何かのフェアで福引をやっていてレジの横には30センチ四方のカラフルな箱が設置されている。
商品の購入が成立した後、言われるがまま箱に手を伸ばす。
結果を言えば四等賞。
一等賞ではない事に少年は肩を落とすが次の瞬間、店内に甲高いベルの音が鳴り響く。
どうやら最後の当たりクジを引いた人に贈られるラストワン賞を獲得したようだ。
商品受取証に福塔一颯と名前を書き、周りの羨望の眼差しを身体に受けながら店をでた。
これは三日前の出来事。
そして現在。
少年の取り柄は、この幸運なワケだが――今のこの状況からして絶対的な幸運ではなかった。
一颯は崩れたビルを前にして言った。
「なんなんだよコレ。悪い夢か何かか」
両腕で抱えている兄の体温が徐々に下がっていくのを肌で感じる。
兄を瀕死に追いやったと思われる目の前の男はゆっくりと視界から消えていった。