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ふるさとのハニービー  作者: ミラ


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平成30年 天涯孤独のふるさと


 年末の恒例行事といえば、帰省ラッシュだ。俺は暖房が効いたワンルームマンションのベッドで寝転びながら、スマホでニュースを見ていた。


「よくやるよなぁ……」


 空から見た渋滞の様子や、百パーセントを超えた新幹線の乗車率、激混みの空港がスマホの中で騒がしく報道されている。


 毎年こうなるとわかっていながら、それでもふるさとへ帰ろうとする人間の執念が俺にはわからない。


 俺はスマホをベッドの上に放って立ち上がり、キッチンでもう昼も過ぎた朝食としてグラノーラに牛乳をかけた。テーブルもテレビない、ベッドだけの部屋なのでキッチンで立ったままグラノーラを噛む。頭蓋骨の中でザクザク噛む音が響く。


 企業の雇われ調律師という職業柄、転勤が多い。高卒で働き始めて十年近く点々と暮らしている。近頃ではミニマリストなんていうライフスタイルが流行っているらしいが、俺は次の引っ越しに備えて荷物を増やさないだけだ。


 突然、持っているものが全てなくなっても、俺は何も困らない。


 ものも、ひとも、関係も。




 白ニットにスラックスのシンプルな服装に着替えて家を出た。北風に晒された顔をマフラーに半分埋めてローファで歩き出す。俺が引っ越すときの唯一のこだわりは、ピアノ貸し出しがある施設の近隣に住むことだ。今の家からは徒歩15分で、駅直結の文化ホールがある。


 他には何もなくていい。

 でもどうしても、ピアノの側にだけはいたい。


 文化ホールを目指す道中、あまりに寒くてコンビニへ逃げ込んだ。このコンビニはできるだけ避けたいが、仕方ない。俺はレジで、ホットコーヒーのカップを注文した。


「いらっしゃいませ~」


 妙に甲高くて不快な音の声。ここのコンビニによくいる若い女のアルバイトは、俺に好意がある。


 俺が来るのを心待ちにしていましたよという声と、濃い化粧に獲物を狙う目の熱量。俺は敏感で、惚れられたらすぐにわかる。彼女はきっと必要のない声をかけてくるだろう。


「今日も寒いですねぇ。どこかお出かけですか?」


 ほらきた。


「支払いはカードで」


 女が俺の手に「偶然」触れようと狙っているので、俺は現金の受け渡しがないようにカード決済を選ぶ。


 無事に女のトラップを回避して、コンビニから出た。ぶ厚い曇り空の下を歩きながら冷え切った手でホットコーヒーのカップを傾けた。熱いコーヒーが喉を通る。じんとあったかくて安らいだ。


 ほっと一息しながらビルの横を通ると、ガラス窓に俺が映る。俺自身と目が合い、いつだって面倒を運んで来るこの顔をじっと見てしまう。



 俺は、顔が良い。



 それを知ったのは中学生の頃だった。


 気がつけば幼少から児童養護施設で暮らしていた俺には、家族がいない。施設の暮らしは慣れたもので、その他を知らない俺にはそういうものだった。たくさんいる子どもの一人として、丁寧に守られていたと思う。


 けれど、思春期になった俺は、なぜだか自分だけを見て欲しくなった。


 何をどうしたいのか、どうして欲しいのかもわからない。けれど、とにかく何かに抗いたい衝動に振り回されて、夜遊びや万引きをして施設の職員たちを困らせた。


 そんな俺に手を焼いた職員が、俺にピアノを与えたのだ。


 当時の施設ではなかなか習い事ができない状態だった。俺が施設のピアノで遊んでいたのを知っていた職員は、ピアノを教えてくれる人を探して来た。


 大学生のボランティアのお姉さんが、個人的にピアノを教えてくれることになった。


「律哉くん、何かもやもやっとしたものが湧いたら、全部ピアノにぶつけたらいいよ」


 俺はお姉さんの自宅を訪れ、狭いピアノ室で指導を受けた。お姉さんが俺のためだけに時間を割いて丁寧にピアノを教えてくれるのは、俺だけを世話して欲しい気持ちと好奇心が同時に満たされた。


 俺はピアノに没頭した。


 施設のピアノを自己流で弾き続けていたが、そこに理論と指導が与えられ、俺はどんどん吸収した。何時間でも弾き続け、音と踊るのが恍惚だった。もやもやは全部、音が吸収してくれた。


 ピアノに没頭するようになって俺の非行は落ち着いた。


 職員たちがピアノを聴かせてくれと笑ってくれて、喜んでもらえて、満たされたのをよく覚えている。


 ピアノが楽しくて仕方なかったある日、俺はいつものようにお姉さんの自宅でレッスンを受けた。夕暮れの狭いピアノ室で、お姉さんの距離が近いなと思うこともあったがそれほど気にしていなかった。


 ピアノに向かい、曲を弾き終えた俺の隣には、指導のためにお姉さんが座っていた。お姉さんはうっとりと悦に浸った声で言った。


「律哉くんのピアノの音はこう、生きてる感じ……綺麗だよね」


 俺が達成感を得て微笑むと、なぜかお姉さんの手が俺の手をそっと握った。

 彼女の手汗でねちょり、とした。


 お姉さんの顔が徐々に俺の右手の指先に近づいてくる。


 俺は何が起きているのかわからずに動けなかった。すると彼女は俺の指先をぱくりと口の中に入れて吸いあげ、ちゅぱっと唇を離す音を立てた。


 彼女がふふっと悪戯に笑う。俺の指先についた唾液がぬめっている。


「これは、ふたりの内緒ね」


 嬉しいでしょうと己に恍惚したお姉さんの笑みに、ぞっとした。


 姉のように慕っていたのに、彼女にとって俺は情欲の対象だった。


 血の気が引いた俺は施設に帰ってすぐ吐いてしまった。青ざめた俺に気がついた職員に話を聞かれ、俺は彼女から受けた行為を職員に報告した。


 そこからはもう怒涛だ。


 お姉さんは俺が報告した行為を否定し、俺が嘘をついていると喚き立てた。だが、職員は徹底して俺の味方をしてくれた。


 何度も行われた職員とお姉さんの話し合いを部屋の外でこっそり聞いていたときに、職員は言った。


「律哉は見目が良いですからね。あなたはそこに溺れたんでしょう」

「律哉くんは綺麗ですけど、才能のある子ですよ?!私がそんな子の将来を潰すような性犯罪者だって言いたいんですか?!」


 お姉さんの声はキーキーしていてノイズでしかなかったが、両者とも俺の「顔が良い」ことは共通認識だった。俺の才能と、顔、は同列であり、事の発端は俺の顔。


 俺の顔が良いことは、災いの種なのだと痛烈に悟った。


 あの「ぬめり」が蘇るたびに俺は二十九歳になった今でも、ピアノに靄をぶつけている。文化ホールの小さな練習室でピアノに没頭していたのだが、ふと集中が切れた。スマホで時間を確認する。


「もうこんな時間か……」


 すでに夜が訪れている時間だ。ピアノを弾いてすっきりした俺は片づけをして練習室を出た。


 練習室の鍵を一階の受付に返しに行くと、よくいる男性職員が迎えてくれた。名札には「橘」と書いてある。彼の艶がある低音ボイスが耳に残るのだ。


「お疲れ様でした。次の予約を取られますか」

「お願いします」


 コンビニのアルバイト女と違って、彼は業務上の定型句しか述べず、俺を利用者としか見ていないので安心できる。俺は男にも色目を使われるので気が抜けない。


 橘さんから予約表の控えを受け取ると薬指にリングが見えた。堅物そうだが、家族がいるなら安全圏、なんて思うのも癖だ。安全そうな橘さんに、俺はお節介を口にした。


「練習室のピアノ、まだギリいけてますけど。そろそろ調律した方がいいですよ。俺、調律師をやってるのでちょっと気になって」

「本職の方でしたか。貴重なご意見ありがとうございます。調律の予定を見直させて頂きます」


 橘さんが丁重に俺の意見を受け入れてくれて、気持ちが良かった。いい気分で文化ホールを後にする。


「腹減ったなぁ」


 白い息を吐きながら腹をさすって歩く。俺は自炊しないのでもっぱら外食派。だがそのせいでナンパに合う率が上がってしまうのがネックだ。


 昼よりもさらに寒さが厳しい夜道を歩いて、駅直結の文化ホールの近くにある行きつけの純喫茶を目指す。


「今日はナポリタンあるかな」


 初めてその純喫茶に訪れたのは、調律の仕事を受けたからだった。だが、だんだんと寂れていくその店には俺を狙う若い猛獣たちが寄り付かず、居心地が良いので行きつけになったのだ。


 ドアを押し開けると、カランと聞き慣れた音がする。


 紅色のソファやステンドグラス調の照明は掃除が行き届いているとは言い難く、停滞した雰囲気が店には充満している。


 カウンターに肘をついてぼんやりしていたマスターが、ドアの音にぱっと素早く振り向いた。だが、俺の顔を見てげんなりしたように言った。


「律哉君か……いらっしゃい」

「いや、全然歓迎してないじゃん」

「あ、わかる……?」


 白髪のマスターの背がどんどん丸くなって、カウンターに額をくっつけてしまうので笑ってしまった。俺を見てため息をつくのはマスターくらいだ。俺は可笑しくなって、マスターの隣に座る。


「あからさまに元気ないね。どうしたの?奥さんにでも逃げられた?」

「え……なんで知ってるんだい?」


 冗談で言ったつもりだったのに、図星だったらしい。二人で顔を見合わせて真顔になってしまった。


 マスターは背を丸めながらも、俺が注文したナポリタンをつくってくれた。


 冴えないマスターだが、料理は上手い。カウンター席に座った俺はナポリタンを口に運びながら、キッチンでしょんぼりし続けるマスターに話しかけた。


「どうして奥さん逃げちゃったの?」

「……それが、わからないんだ」

「ああ、それ一番ヤバいやつだね」

「え、どうしてだい?!」


 マスターはもとからのギョロ目をさらに見開いた。勢いよくカウンターから出てきて俺の隣に座ったマスターが、早口に弁明する。


「わたしは浮気なんてしていないよ?!妻は何か誤解しているんじゃ!」

「いや、マスターが浮気するとか誰も思わないよ?」

「へ?それは辛らつだなぁ……」


 マスターは白髪の天然パーマがもう爆発寸前といった髪型で、装いの清潔さが足りない。昔は女性が放っておかなかったでしょうね、という俺のような顔をしているわけでもない。


 俺はフォークをくるくる回してナポリタンを集めながら言った。


「何が相手の気に障ったのかがわからないのは、自分しか見てないからだよ」


 これは俺が過去の女たちに何度も言われた台詞だ。せっかく綺麗な顔に生まれたのだから、十代のうちは言い寄って来る女全員と関係を持った。全て短期間で破局したが。


 俺だけが奪われて、割を食うのは許せなかったからだ。


 あのボランティア女への復讐を込めて、俺の顔に言い寄ってくる女には報復させてもらった。


 けれど、そんなことは虚しさもわずらわしさも増すだけで、指先のぬめりは消えることがなかった。


 ある日、ああもう飽きたと思って、女を食い散らかすのは止めた。近頃はもう誰の色目も受け付けない。


 すると、俺の周りからはぱたりと人がいなくなった。


 やっぱり俺の意義は、顔なのだ。


「自分しか見てないからか、律哉君は大人だなぁ……」


 マスターがしゅんと肩を竦めるのを見るとくすりと笑える。年を食ってからでも、こうも素直に人の話を聞けるところが彼の美徳だろう。


「妻に電話で何度も理由を聞いたんだけど、自分で考えろの一点張りでね……お手上げだよ」

「俺はなんとなく……理由これかなってのはあるけど」

「え!わかるのか?!教えてくれ!」


 マスターが前のめりになって俺にぎょろ目を向ける。俺はくすりと笑った。


「酒飲ませてくれたらヒントあげるよ」

「わかった!もう店閉めるから!待ってて、とっておきブランデー出すから!」


 慌てて店仕舞いをしたマスターは、ブランデーだけでなく、生ハムとカマンベールチーズも出してくれた。豪華なもてなしに、それほど奥さんと仲直りしたいのかと思うと微笑ましかった。


 俺は、俺ではない誰かを愛している人を見ると、胸の中に小さな花が咲いたような音が鳴る。


 輪に加わらずに離れて見てるくらいが、俺にはちょうどいいのだ。


 マスターがブランデーを手にして声を張る。


「さあ教えてくれ!律哉君!」

「はいはい。じゃあね、奥さん出て行く前にさ、『いい加減にしなさい』とか言わなかった?」

「……い、言われた!」


 マスターがのけぞって驚く。俺はここの常連として、店が急にしょぼくれていく様をリアルタイムで目の当たりにしていた。


 マスターは昨年、心臓を悪くして数日間入院した。


 その後から「治ったはずなのに、あれ以来どうも元気が出ない。ヤブ医者だったかも」がマスターの口癖だ。


 心臓の不具合はきちんと治っている。だがマスターは「もうすぐ死ぬ死ぬ病」に勝手にかかっているのだ。病は気からの典型で、気力の低下と共に店もみるみる寂れた。


「奥さんに怒られた時さ、マスターは大ため息ついて、めんどくさいとか元気がでないとか言ってたんじゃない?」

「……わたしの家で見ていた?律哉君は占い師か何かかい?」

「調律師だっての」


 俺でも彼からもうすぐ死ぬ死ぬ話を何度も聞いた。奥さんはその比ではなかったはずだ。


「調子が悪いって言って……何が悪いんだ……」

「だから、そこだよ」

「どこ?」

「ヒントはここまでね」

「はぁ、やっぱりわからん」


 マスターはブランデーをちびちび飲みながら重苦しい息をついた。俺は店の端に目をやる。そこにはうっすら埃をかぶったアップライトピアノ。


 あのピアノはマスターそのものだ。


 鳴らせばまだまだ良い音が鳴る。なのに、蓋を開けようとしないまま埃が溜まっているだけなのだ。俺は頭を抱えるマスターを見ながら、ブランデーの複雑なアロマを飲み込んだ。




 一月の末日に赴いた仕事先は、行き慣れた文化ホールだった。俺が橘さんに調律した方が良いと助言したピアノのメンテナンスが、たまたま俺に回ってきたのだ。


 文化ホールの受付で俺を迎えた橘さんが、あ、と口を開けた。橘さんが丁寧に頭を下げる。


「この前は貴重なご指摘をありがとうございました。まさかあなたが来てくれるなんて」

「俺も会社から指示を受けて驚きました」

「よほどあのピアノと縁があるようですね」


 橘さんはほろりと笑い、俺を練習室に案内した。プライベートで何度も世話になっているアップライトピアノと、今日は仕事で対面する。


 俺はピアノの前で準備を進めながら、立ち去ろうとする橘さんに声をかけた。


「あの、どうしてこんなに一気に依頼をしたんですか?お金かなりかかるでしょ?」


 橘さんが俺の問いに立ち止まる。


 俺は一台のピアノの指摘をしただけだ。だが、文化ホール内にいくつもある練習室のピアノと、メインホールのグランドピアノの調律も一気に依頼を受けた。スケジュール調整をして通って、三か月はかかる継続案件を俺が担当する。


 橘さんが折り目正しく答えた。


「一台が緩み始めたのなら、他も全て直しておきたいのです。楽器を万全の状態にしておくのが、音楽を愛する方々への『裏方』ができる最大の敬意だと思っています」

「誰も見てないのに……やる気ありますね、橘さん」


 橘さんのしゃんと伸びた背筋が少しだけ緩んで、肩が下がった。


「誰にも見えないところでがんばる人を尊敬しているので……自分もそうありたいですから」


 橘さんの表情がほんのりほぐれる。俺も彼も同じ裏方仕事だ。俺はピアノへの敬意でする仕事だが、彼には音楽家への深い想いがあるように感じた。俺はぴんときた。


「その見えないところでがんばる人って奥さんで、もしや音楽好きですか?」


 手を動かしながら質問すると、橘さんが息を飲んだ。

 俺は、俺を愛していない人には、興味がある。


「ご名答です。妻は毎年ここのメインホールで『ハニービー』という音楽コンサートをしているんですよ……すごい推察力ですね」

「調律師は喋らないピアノ相手なので、察するのが仕事です。喋る上に表情もある人間は、情報量が多くてわかりやすいですよ」


 くくっと笑いながら俺はピアノの鍵盤を一音一音鳴らし始める。すると、橘さんは一礼して静かに部屋を出た。彼は距離感が良い人だ。


「さあ、音楽を愛する妻を愛する橘さんのためにも、がんばりますか」


 俺はふとするとぬめる指先に手袋をつけて、ピアノと対話を始めた。




 文化ホールでの仕事を始めて二ヶ月がたったころ、メインホールのグランドピアノの調律に着手し始めた。三十年以上の歴史を持つ重厚なグランドピアノはまるで高貴なフランス人だ。


「フランス語を話さないと話は聞きませんよ、とでも言いそうな態度だね……」


 メインホールで、俺を試すフランス紳士とじっくり向き合っているうちに時間はあっという間に過ぎる。


 昼を過ぎて休憩を取りに受付に下りていくと、すっかり顔見知りの橘さんと廊下でぱったり会った。橘さんが挨拶してくれる。


「お疲れ様です。律哉さんも昼休憩ですか」

「橘さんもですか。俺は近所の喫茶店に食べに行くんですけど、良かったら一緒に行きませんか」


 決して距離感を侵さない彼を気に入っていた俺は、自ら彼を誘った。彼は控えめに言う。


「ご迷惑でなければ」

「俺が誘ったんだけど」


 俺が笑うと橘さんもかすかに笑った。俺は別に友だちをつくりたくないわけでも、人見知りでもない。だが、友だちと思った女は俺の顔に乱れ、男はやがて、俺に嫉妬して消えていく。俺は追わない。それを繰り返してきただけだ。


 この縁だって、仕事が終わればすぐ切れる。だから気楽なのだ。


 昼下がりの純喫茶を訪れると、相変わらず背を丸めたマスターが張りのない声で迎えた。


「あれ、橘さんに律哉君……二人、知り合いだったの?」

「え、橘さんもここ常連でした?」


 橘さんは含みを持たせて頷きながら、カウンター席に滑らかに座った。まるでそこが指定席であるような座り方。隣に座りながら、何かあるなと直感する。


 橘さんが迷わず注文したハヤシライスに、俺もそれでと言う。俺は謎解きをし始めた。


「橘さんの顔が緩むときは、ほぼ奥さんがらみですよね。これ決定。この喫茶店はそうだな、奥さんが好きな場所、もしくは馴れ初めや記念日に関係があるってとこですか?」


 グラスを傾けて水を一口飲んだ橘さんが瞬きを増やした。ちなみに、橘さんのしっかり糊のきいたブラウスは家庭円満の証拠。奥さんも橘さんと同じ、気配りができる裏方タイプだ。


「ご名答です。律哉さんには何度も驚かされますね」


 目を丸くする橘さんの前にマスターがハヤシライスを置いた。妹のところに居候中の奥さんがまだ帰らないマスターがにやりと笑う。


「今、真紀ちゃんは妊娠中だったかな?」

「はい、来月には二人目が生まれる予定でして」


 俺は橘さんの謎を解き明かして、気分よくハヤシライスを口に運んだ。なぜかマスターも俺の隣に座り、三人並んで、じっくり煮込んだ香ばしいハヤシライスを食べる。俺は話題を提供した。


「橘さんが以前言っていた『見えないところでがんばっている人を尊敬している』ってやつ。真紀さんのことですよね」

「律哉さんには敵いませんね」


 橘さんが苦笑しながら水を飲んだ。俺は続ける。


「真紀さんががんばっているのを見て、橘さんがつい惚れた話、ぜひ聞きましょうか」

「勘弁してください……」

「とか言いながら言うでしょ?」


 俺が橘さんにけしかけると、彼は口元を丁寧に拭いた。そしてきりっと整えた顔で俺を見た。


「実のところ、やぶさかではありません」

「そうだと思った!」

「熱々で良いねぇ、わたしも聞きたいよ」


 俺たち三人はガラガラの喫茶店に響く声で大いに笑った。俺も実はのろけ話が大好物だ。食後のコーヒー片手に、真紀さんの魅力を語る橘さんの横顔は、情熱的だった。


 真摯に人を愛している話を聞くと、俺の胸で可愛い花の音が鳴る。


 俺が関わらない花の音を集めて、花束をつくっていれば、安全で平和。そうすれば、こんな俺でも少しだけ、しあわせでいられる。





 朝から文化ホールでピアノを弾き、俺は休日を満喫していた。街頭の桜咲く道を歩いて純喫茶へ向かう。あれからたまに男三人でお昼を食べるようになっていたが、もうすぐ文化ホールでの仕事は終わり。


 次の転勤も七月末に決まった。俺たちの交わりはここで途切れる。名残惜しい気もするけれど大丈夫、すぐ忘れるから。


 この街で見る桜はこれが最後になるなと思いながら純喫茶を訪れた。カランという音とともに店内へ入ると、髪を切ったマスターが俺を見た。


「いらっしゃい、律哉君」

「髪切ったんだ。まさか奥さん帰ってきたとか?」

「……いや、まだ」


 マスターは肩を竦めたが、全体的に店の感じが少し明るい気がした。窓が透明で、アップライトピアノの上の埃もなくなっている。ナポリタンを調理し始めるマスターの背中がしゃんと伸びていた。


「何かいいことあったんだ?」

「実は、毎年恒例の墓参りは妻と行くことになってね。うちは子がないんだけど、妻は二回流産していて……二人でいつも、生まれなかった子に会いに行くんだ」


 じゅうじゅうと生きた音を立てる石焼きナポリタンが俺の前に置かれた。


「そっか、二人が揃って来た方がきっと、子どもさんは喜ぶよね」


 マスターはうんうんと頷いて、透明な窓の外の桜を見やる。季節の巡りに合わせてマスターも少し動き始めたのかもしれない。俺はマスターの切なげな声を含んだナポリタンを口にした。


 ナポリタンを食べ終えるころ、カランと来客を告げる音が響いた。


 振り返ると大きなお腹をした女性と、5歳くらいの女の子の母娘が入口に立っていた。この店に来るにしては珍しい組み合わせだ。マスターが手を上げて二人を歓迎する。


「おお、久しぶりだね」

「お久しぶりです。もうすぐ予定日なのでナポリタンを食べておこうと思い立って。ほら、雫、ご挨拶は?」

「おはよー!」


 にたっと笑った少女はタタタっと駆け、ソファ席にぴょんと飛び乗った。俺は既婚女性から連絡先をもらうことも多いので、腰を上げようとした。だが、マスターの声が俺を引き止める。


「律哉君、彼女は真紀ちゃんだよ。橘さんの奥さん」

「夫のお知り合いでしたか。お世話になってます」


 真紀さんは物腰が低く、やわらかい声だ。落ち着いた橘さんにお似合いだなと思う。けれど、俺はトラブルを起こしたくないので会釈だけして立ち上がった。


 するとなぜか突然、真紀さんが大きな声を出した。


「あぁ!」


 何事かと思っていると、真紀さんの足元にぽた、ぽたと水が落ちた。真紀さんが両手で口元を押さえて取り乱した声を上げる。


「あ、あ、え、破水?!破水しちゃいました……ど、どうしよう!」


 俺とマスターが状況を理解できていないうちに、タタタッと娘ちゃんがやってきて真紀さんを指さす。


「ママおもらししてる!ママたいへん!たいへんだから!」

「ち、ちがうのよ雫!これはそのママがその」


 娘ちゃんが騒ぐので、真紀さんもつられておろおろし始める。


 俺はスマホで「二人目 破水 出産」を検索した。


 冷や汗をかくマスターはとりあえず真紀さんを椅子に座らせる。スマホの情報によると、急ぐ場合と、のんびりしていても良い場合とわかった。


 椅子に座った真紀さんの顔色が悪くなり、お腹に両手を当てて顔をしかめた。


「……んぅ、これ、陣痛始まったかも、です」

「ママ、いたいの?だいじょうぶ?!」


 あ、ヤバ。これは急ぐやつだ。娘ちゃんが真紀さんにすがりつく。


「ママぁ!死んじゃヤダぁ!」

「えーっとこれはえっとどうしたら!」


 マスターも右往左往し始める。子どもの高い声は周波数的に人の危険アンテナを刺激して、精神をざわつかせる。俺は立ち上がってマスターに店を閉めるように言った。


「マスター車出して、病院に送ろう。橘さんには俺が連絡するから」

「わ、わかった!」


 俺たちは真紀さんと娘ちゃんを連れて病院へ向かった。さすがに傍観者ではいられない状況だった。


 マスターが運転する車内で、俺は助手席の真紀さんに縋りつきたい娘ちゃんを後部座席に座らせる役を担った。


「ちょっと、雫ちゃん危ないから座って」

「やだ!離してよバカばか!」


 俺は泣きわめく女児から殴る蹴るの暴行を受けた。初体験だ。そんな大混乱の車内で橘さんに連絡したものだから、さすがの橘さんも焦り声で、それはちょっと笑った。


 病院に着くと真紀さんはすぐ分娩室へ連れて行かれて、病院の待合室に取り残されたのは俺とマスターと泣きわめく雫ちゃん。


「ママぁあ!!」


 橘さんが駆けつけるまではそれはもう悲惨な状況だった。子どもの絶叫は耳が痛かった。だが、滾る生命力そのものの音には感心してしまった。




 出産に携わるなんて貴重な体験から二ヶ月が経った。俺とマスターは橘さんから出産祝いの会にと自宅へ招かれた。俺は何度も遠慮したのだが、マスターが「子どもが生まれたら全世界で祝うものだ」と固く言い張り、強引に俺を連れて行った。


 流産で子どもを二度も亡くしているマスターは、子どもに深い想いがあるのだろう。俺は断り切れなかった。


 モスグリーンの壁が爽やかな橘さん宅は建売の戸建てで、広くはないが整っていて空気が良い。明るいナチュラル調インテリのリビングに案内された俺とマスターに、橘さん夫婦が深々と頭を下げた。


「先日は妻子がお世話になって、本当にありがとうございました」

「もう本当に落ち着かなきゃって思ってたのに、普通にパニックになってしまって、申し訳ありませんでした!」


 真紀さんが恥ずかしいと言いながら笑う。スピード出産だったらしく、橘さんが駆けつけたときにはもう生まれた後だったそうだ。真紀さんの感謝を受け取ったあと、橘さんが言った。


「お二人のおかげで無事に生まれた息子を、良ければ、抱いてもらえますか」

「ぜひぜひ!」


 マスターは顔を綻ばせ、橘さんが腕に抱いた二ヶ月の赤ちゃんを大事に受け取った。マスターは涙ぐんだような声で赤ちゃんに語り掛ける。


「おお、よく生まれてきたなぁ。偉いなぁ、ああもう、生まれただけで何より偉いよ。最高の親孝行だ」


 マスターの涙声が震えていた。彼が流産で生まれてこれなかった我が子を想っているのがわかる。マスターは目頭を拭ってから、顔を上げて俺に笑いかける。


「ほら、律哉君もどうぞ」


 マスターが今度は俺に赤ちゃんを差し出そうとする。俺はあからさまに一歩引いた。


「いや、俺は……やめとく」


 マスターはそう遠慮するなみたいな優しい顔をする。理由も説明せずに拒否しては、この祝いの会に水を差してしまうだろう。俺はしぶしぶ言った。


「俺、その……気づいたら親がいないような育ちで、あんま綺麗な生き方してないんだよ」


 俺は顔に言い寄る女に復讐めいたことをし続けてきた。そして当然、かつて勝手に触れられた俺の指先は、いまだに汚らわしい。


「だから……俺の指が触れたら、赤ちゃんにぬめりを……なすりつけてしまうような気がして。なんかその……ダメだと思う」


 ボリュームがしぼんでいく俺の声に、橘夫婦の顔が曇った。けれど、マスターは引かなかった。


「律哉君は赤ちゃんを抱くのが嫌なんじゃなくて、赤ちゃんに申し訳ないんだね。じゃあなおさら……抱かせてもらおう」


 顔を上げると、マスターは顔全体に皺を刻んで自信に満ちた顔で笑っていた。


「いいかい、律哉君。間違っちゃいけない。君の手はピアノを直す手で、この赤ちゃんが生まれる助けになった手だ」


 マスターは俺に赤ちゃんを優しく抱かせた。俺は小刻みに震える手で赤ちゃんを受け取る。


 ふにゃふにゃの身体。今にも折れそうな首が頼りない。

 なんて弱々しくて、なんて全身で人を信頼している存在なのか。


「赤ちゃんは、たくさんの手で育てるんだよ。律哉君の手も、そのひとつさ」


 俺は赤ちゃん落とすのが怖くて、その場にゆっくり座り込んでしまう。


 俺の周りにマスターと橘夫妻が同じように座って輪ができる。赤ちゃんに向けて全員が日向みたいに微笑んだ。


 俺は壊さないように傷つけないように、赤ちゃんをきゅっと少しだけ抱きしめた。あまりにも無防備で、どうしてもあたたかい。


 ああ、たしかに、俺なんかにこのどこまでも清いものを汚すことなんてできない。あったかくて小さくて、でも確かに重みがあって、生きている。


 粘膜が張りついていたかのような指先の触感が繊細に戻り、赤ちゃんのやわい感触が俺の指先に直に伝わる。触れるのを強くためらったのに、このふにゃりとしたものに触れてしまうと、もっと触れていたくなってしまった。


 俺の目から涙が一滴、赤ちゃんの産着にぽとりと落ちた。


 もう、ずっと泣いたことなんてなかったのに、目が痛いくらいに熱かった。喉の奥から思わず声がこぼれた。


「か……可愛いー……」


 俺の口からそんな言葉が出るなんて、俺が一番驚いていた。けれど、真紀さんがそうでしょうと笑い、わかりますと橘さんが言った。マスターは朗らかに笑った。


 俺が静かに鼻をすすると、赤ちゃんがふにゃふにゃと泣き始めた。俺は慌てて橘さんに赤ちゃんを返す。橘さんが赤ちゃんを優しく揺らしながら微笑んだ。


「律哉さん、転勤されるんですよね」


 俺は鼻声で答えた。


「そうなんです、来月末で」

「寂しいですね……」


 橘さんはそう言いながら、小さな体で明るい泣き声を轟かせる赤ちゃんを俺に見せる。


「実はこの子の名前はあなたに出会う前から決まっていて」


 橘さんと真紀さんがお互いに顔を見合わせるので、俺は聞かずにいられなかった。


「何ていうんですか?」


 真紀さんがよくぞ聞いてくれたと顔いっぱいに大きく笑った。


「『律』と言います」


 橘さんの深い声が俺に届く。


「律哉さんは遠くへ行ってしまいますが、私たちきっとこれからも、長い縁があると思いませんか」


 俺はどうしようもなく涙がこみ上げた。俺は旅立てばその土地に戻ることはない。でも俺は今、俺と同じ響きをもつこの赤ちゃんにまた、会いたいと思ってしまっている。


 まだ、つながっていたいと思ってしまった。


 マスターが俺の背をぽんぽんと叩いていたずらに笑う。


「律くんの誕生お祝い会と見せかけて、実は今日は律哉君の転勤いってらっしゃい会なんだよ!」

「えー……それはさすがに読めなかったよ」


 俺が泣いたことを誰もからかわず、律くんがうにゃあと大音量で泣いた。俺はずっと、遠くから誰かが誰かを愛するところを見て胸を綻ばせていた。


 けれど、いつの間にか日向の和の中に入れてもらっていた俺の胸にはまるで、花が育つような音が鳴っていた。


 俺が涙を拭っていると、二階からバタバタと駆け下りてきたのは雫ちゃんだ。俺の顔を見て立ち止まり、ハッと俺に向かって指を差す。


「あ!王子様っぽいおにいちゃんだ!」


 昼寝でもしていたのだろうか、顔に寝跡がついている。俺はきゅっと身を固くした。通りすがりの女児にプロポーズされたことも一度や二度ではない。


 雫ちゃんは俺の前にきて、俺の顔をじろじろ見て言った。


「おにいちゃんは王子様っぽいけどー、王子様じゃないね。純也くんの方がずーっとかっこいいし、王子様だもん!」


 雫ちゃんは申し訳なさそうに眉をハの字にした。


「だから、しずくとけっこんできないけど、ごめんね?」


 俺の隣でマスターがぶふっと噴き出した。


「残念だったなぁ律哉君!」


 俺は一瞬呆気にとられたが、マスターと同じように笑わずにはいられなかった。顔で選ばれない俺は新鮮で、雫ちゃんの心を掴んで離さない純也くんがどれほど王子様なのか一度会ってみたいくらいだ。


 誰も俺の顔なんてどうでも良くて、ただ和にいさせてくれるこの場所にいつまでも、いたくなってしまう。初めて、転勤をしたくないと、柄にもないことを思ってしまった。





 それでも否応なしに転勤の日は近づき、七月最後の日曜日がやって来た。


 俺は真紀さんが毎年参加しているアマチュア音楽コンサート「ハニービー」に招かれた。


 俺が早朝からコンサート用に微調整をしたグランドピアノは、メインホールいっぱいに荘厳な音を奏でた。真紀さんは舞台上で最終演目の「ふるさと」を歌っていた。


「良い音だと思わない?律くん」


 俺は子どもが泣いても外に音が漏れない「家族室」という場所から舞台を鑑賞していた。橘さんはハニービーの裏方で役目があるそうで、頼まれて律くんを預かっているのだ。


 律くんは俺の腕の中でつぶらな瞳をぱちぱちしているが、いつ泣き出すのかとひやひやしている。ふるさとの音が流れる中で、俺は律くんに話しかけた。


「あのさ……もし律君がピアノを弾く日がきたら、俺に調律させてよ」

「あー」


 返事のような喃語をもらって、俺はふと微笑んだ。

 小さな未来の約束を、いつか叶えられたらいい。



 ハニービーが無事に終了して、閉演後のメインホール前は人でごった返していた。向日葵の花束を持った橘さんと合流する。俺は花束を見て冷やかした。


「真紀さんへの花束ですか?お熱いですね」

「いや、これは毎年ハニービーに贈られてくるファンの方からでして。私が今預かっただけです」

「へぇ、そうなんですか」


 毎年花を贈る熱心なファンがいるなんてすごいなと思いつつ、律くんを橘さんにお返しした。橘さんは器用に律くんと花束を両方抱いた。


「律哉さん、お世話かけました。とても助かりました」

「律くんすごくいい子でしたよ」


 律くんを無事に返せてほっとしたと同時に、あったかい重みを失い、軽くなった腕が切なかった。橘さんに抱かれた律くんの頭を撫でると、瞑る目蓋がとても可愛い。


 律くんをあやしていると、人混みの中からマスターがやって来た。


「律哉君、橘さん。探したよ」


 観客席から鑑賞していたのだろうマスターは女性を伴っていた。おそらく奥さんだ。俺たちと会釈だけを交わした奥さんは席を外した。俺はマスターと向かい合う。


「マスター、あれから店のアップライトピアノの調子はどう?」

「ばっちりだよ。妻も気に入ってる」


 律くんを抱いたあの日の帰り、俺はマスターから店のアップライトピアノの調律の依頼を受けた。


 マスターは律くんを抱いて、生まれてこなかった子たちの分まで、まだまだ元気でいなくてはいけないと思い直したそうだ。


 調律したアップライトピアノで、マスターが「ふるさと」を演奏するからと言うと、奥さんはすぐに帰って来たという。


 きっと奥さんはマスターの弾く「ふるさと」を待っていたのだ。


 律くんを抱いた橘さんが、俺に訊ねる。


「律哉さん、もう行くんですか。子守りのお礼にお茶でもご馳走したかったのですが」

「気を遣わないでください。俺、今から引っ越しなんで、すぐに行かないと」


 橘さんとマスターは横に並んで、一足先に帰る俺を見送ってくれる。橘さんもマスターも穏やかな笑顔だ。


「また来年もハニービーに来てください。七月最後の日曜日です。ずっとその日に、私も、律も、ここにいますから」

「それで、ハニービーの帰りには、わたしの店に必ず寄ってくれよ。美味しいナポリタンと、わたしの腕が上がったふるさとで、もてなすよ」


 二人の声が俺のために、約束の音を奏でてくれた。


 俺は唇の奥で涙を飲み込ん、胸に咲いた大輪の花の音に負けない強さで笑い返した。


「また来年。必ず……戻ります」


 俺は二人に別れを告げて踏み出した。


 道が渋滞して、新幹線の乗車率が百パーセントを超えて、帰省ラッシュに巻き込まれたとしても。


 またここに、会いに来よう。


 

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