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私は善い人間になりたかった

作者: 宮沢芋けんぴ

 私は善い人間になりたい


 困っているひとがいれば誰であろうと手を差し伸べ

 他人に迷惑をかけている者がいたら厳しく注意し

 自分が嫌な目に遭わされたら広い心で許し

 見知らぬ醜い老婆を母のように愛し


 私が存在するだけで世界を善くするような

 そんな人間になりたい



 じめじめと蒸し暑い夜に

 ぽつんと街角に立つ自動販売機で清涼飲料水を買って

 キャップを開けたところに子どもがやって来た

 

 痩せ細った、しかし腹部のみ膨らんだ、陰鬱な目をした男の子だった


 彼は言った

「貧乏で、一週間何も口にしていません。どうか、その清涼飲料水を僕にくれませんか」


「いや……、君、それじゃほっといても死ぬやろ」


 私はその子の前で、ペットボトルの中の清涼飲料水を飲み干した





 私は善い人間になりたかった


 すべてはじめじめが悪いのだ


 不快指数のあまりの高さが、私をこんな人間にしたのだ


 私は地球をこんなじめじめした星にしてしまった人類を憎む!






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― 新着の感想 ―
過去形になってしまったのですね。しかも他人のせいにして……。あまりの責任転嫁に、梅雨も「え!?」と驚きそう。面白かったですが、ジャンル:アクションとなっているのが腑に落ちませんでした。でも、この視点人…
貧乏な少年って、仏教の飢鬼道に堕ちた亡者とかと関連があったりするのかな...お腹だけ膨らんでるし 記憶が怪しいけど人間の心から遠い鬼は自分さえよければ他人はどうなっても良い、とにかくもっと食わせろ!!…
(連投失礼) ひょっとして冒頭のは、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のパロディ? そこから着想を得たのかな…
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